左手の指の包帯を取りましたが,出血はしていないものの皮膚のめくれ方がものすごいことになっています。傷口は塞がっているのでしばらく様子を見るつもりですが,まだ包帯を巻いていた方が良いのかと悩んでいる今日この頃です。
本題。龍谷大学法科大学院が,再来年から学生の募集を停止する旨の報道がなされています。
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/trial/667771/
龍谷ローは今年の入学者数が15人であり,今までの例で考えると「直ちに募集を停止しなければならない」ほどの状態にはありませんでした。以下に,募集停止の先例を挙げてみます。
● 姫路獨協大学法科大学院
平成22年度の合格者数・入学者数がゼロとなったことから,同年5月27日,翌年度(平成23年度)からの学生募集停止を表明。平成25年3月31日付けで廃校。
● 大宮法科大学院大学
平成23年8月8日,桐蔭法科大学院との統合を発表し,これに伴い平成25年度からの学生募集停止を表明。平成23年度の入学者数は27名,平成24年度の入学者数は11名。
● 明治学院大学法科大学院
平成24年度の入学者数が5名となったことから,同年5月28日,翌年度(平成25年度)からの学生募集停止を表明。
● 神戸学院大学法科大学院
平成24年度の入学者数が2名となったことから,同年7月4日,翌年度(平成25年度)からの学生募集停止を表明。
● 駿河台大学法科大学院
平成24年度の入学者数が5名となったことから,同年7月6日,翌年度(平成25年度)からの学生募集停止を表明。
● 東北学院大学法科大学院
平成24年度の入学者数が2名,平成25年度の入学者数も4名にとどまる見込みとなったことから,同年3月7日,翌年度(平成26年度)からの学生募集停止を表明。
● 大阪学院大学法科大学院
平成25年度の入学者数が2名となったことから,同年6月3日,翌年度(平成26年度)からの学生募集停止を表明。
● 島根大学法科大学院
平成25年度の入学者数が2名となったことから,同年6月17日,翌々年度(平成27年度)からの学生募集停止を表明。
なお,島根ローは,廃校ではなく他大学との連合化を目指す趣旨であると主張している。
以上のように,経営統合に伴う募集停止を行った大宮ローの例を除けば,過去の法科大学院学生募集停止は,いずれも直近の入学者数が5名以下という状況で行われました。さらに,未だ募集停止を表明していない法科大学院の中で,平成25年度の入学者数が一桁にとどまったところが20校もあることを考え合わせると,入学者数15名という段階で募集停止を決めた龍谷ローの決断は,かなり潔いものだったと評価することができます。他の下位ローにも是非見習ってほしいところです。
ただし,龍谷ローの発表には不可解な点があります。それは再来年からの学生募集停止であり,言い換えれば来年(平成26年度)の学生募集は行うという点です。
公表時点で既に統合先の決まっていた大宮ローは別として,同様に再来年からの学生募集停止を表明した例には上記の島根ローが挙げられますが,一般論として廃校が決まっているような法科大学院に敢えて入学する学生はほとんどいませんから,廃校方針に伴う学生募集停止をするのであれば,公表の翌年度から募集停止をするのが通例のようになっていました。
しかし,島根ローは来年からの募集停止ではなく,敢えて「再来年からの募集停止」を選びました。平成26年度の学生募集は行うというものの,今年の入学者数2名で既に廃校方針の決まっている法科大学院に入学しようという人はほとんどいないと思われ,平成26年度は入学者数ゼロとなる可能性すらあります。
島根ローが,廃校ではなく他大学との連合化だと主張しているのは,存続のための募金活動などをやってしまった手前廃校するとは言いづらい,素直に廃校と言ってしまうと平成26年度の入学者数が本当にゼロになってしまうおそれがある,といった事情によるものと考えられますが,現時点では具体的な連合先も明らかにされておらず,法曹関係者やマスコミの間でも,島根ローのいう連合構想が本当に実現すると考えている人はほとんどいないでしょう。
大学側のつまらない見栄のために,募集停止を1年先送りにし,連合化だの実現の見込みもない構想をぶち上げ,ある意味学生を騙して入学させる。このような手法の先鞭を付けたのは島根ローであり,黒猫は以後このような手法を「島根手法」と呼ぶことにしますが,龍谷ローもいわば「島根手法」を採用したものと考えられます。
龍谷ローの入学試験要綱には,「龍谷大学では,2013年度中に新たな法曹養成制度のあり方を構築した上で,法科大学院の学生募集を停止する方向です。」と書かれていますが,一つの大学が単独で「新たな法曹養成制度のあり方」など構築できるはずもなく,学生募集にあたり「廃校するわけではないから来てくれ」と言い繕うための詭弁である可能性が極めて高いです。
各法科大学院当局に自覚はないかも知れませんが,「島根手法」は立派な詐欺行為です。具体的な実現見通しもないのに「連合化の予定である」などと学生を騙して入学させ,その後何事もなかったかのように廃校するのであれば,場合によっては学生側から不法行為に基づく損害賠償を請求される可能性も覚悟しなければならないでしょう。
「法科大学院の態勢は詐欺的である」というのは,法曹養成制度検討会議の井上正仁委員ですら認めている事実ですが,学生を騙してその将来を奪い国の税金を浪費している法科大学院は,その廃校に至るまで学生を騙し続けなければ気が済まないのでしょうか。せめて,最期くらいは潔く散ってもらいたいところです。
本題。龍谷大学法科大学院が,再来年から学生の募集を停止する旨の報道がなされています。
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/trial/667771/
龍谷ローは今年の入学者数が15人であり,今までの例で考えると「直ちに募集を停止しなければならない」ほどの状態にはありませんでした。以下に,募集停止の先例を挙げてみます。
● 姫路獨協大学法科大学院
平成22年度の合格者数・入学者数がゼロとなったことから,同年5月27日,翌年度(平成23年度)からの学生募集停止を表明。平成25年3月31日付けで廃校。
● 大宮法科大学院大学
平成23年8月8日,桐蔭法科大学院との統合を発表し,これに伴い平成25年度からの学生募集停止を表明。平成23年度の入学者数は27名,平成24年度の入学者数は11名。
● 明治学院大学法科大学院
平成24年度の入学者数が5名となったことから,同年5月28日,翌年度(平成25年度)からの学生募集停止を表明。
● 神戸学院大学法科大学院
平成24年度の入学者数が2名となったことから,同年7月4日,翌年度(平成25年度)からの学生募集停止を表明。
● 駿河台大学法科大学院
平成24年度の入学者数が5名となったことから,同年7月6日,翌年度(平成25年度)からの学生募集停止を表明。
● 東北学院大学法科大学院
平成24年度の入学者数が2名,平成25年度の入学者数も4名にとどまる見込みとなったことから,同年3月7日,翌年度(平成26年度)からの学生募集停止を表明。
● 大阪学院大学法科大学院
平成25年度の入学者数が2名となったことから,同年6月3日,翌年度(平成26年度)からの学生募集停止を表明。
● 島根大学法科大学院
平成25年度の入学者数が2名となったことから,同年6月17日,翌々年度(平成27年度)からの学生募集停止を表明。
なお,島根ローは,廃校ではなく他大学との連合化を目指す趣旨であると主張している。
以上のように,経営統合に伴う募集停止を行った大宮ローの例を除けば,過去の法科大学院学生募集停止は,いずれも直近の入学者数が5名以下という状況で行われました。さらに,未だ募集停止を表明していない法科大学院の中で,平成25年度の入学者数が一桁にとどまったところが20校もあることを考え合わせると,入学者数15名という段階で募集停止を決めた龍谷ローの決断は,かなり潔いものだったと評価することができます。他の下位ローにも是非見習ってほしいところです。
ただし,龍谷ローの発表には不可解な点があります。それは再来年からの学生募集停止であり,言い換えれば来年(平成26年度)の学生募集は行うという点です。
公表時点で既に統合先の決まっていた大宮ローは別として,同様に再来年からの学生募集停止を表明した例には上記の島根ローが挙げられますが,一般論として廃校が決まっているような法科大学院に敢えて入学する学生はほとんどいませんから,廃校方針に伴う学生募集停止をするのであれば,公表の翌年度から募集停止をするのが通例のようになっていました。
しかし,島根ローは来年からの募集停止ではなく,敢えて「再来年からの募集停止」を選びました。平成26年度の学生募集は行うというものの,今年の入学者数2名で既に廃校方針の決まっている法科大学院に入学しようという人はほとんどいないと思われ,平成26年度は入学者数ゼロとなる可能性すらあります。
島根ローが,廃校ではなく他大学との連合化だと主張しているのは,存続のための募金活動などをやってしまった手前廃校するとは言いづらい,素直に廃校と言ってしまうと平成26年度の入学者数が本当にゼロになってしまうおそれがある,といった事情によるものと考えられますが,現時点では具体的な連合先も明らかにされておらず,法曹関係者やマスコミの間でも,島根ローのいう連合構想が本当に実現すると考えている人はほとんどいないでしょう。
大学側のつまらない見栄のために,募集停止を1年先送りにし,連合化だの実現の見込みもない構想をぶち上げ,ある意味学生を騙して入学させる。このような手法の先鞭を付けたのは島根ローであり,黒猫は以後このような手法を「島根手法」と呼ぶことにしますが,龍谷ローもいわば「島根手法」を採用したものと考えられます。
龍谷ローの入学試験要綱には,「龍谷大学では,2013年度中に新たな法曹養成制度のあり方を構築した上で,法科大学院の学生募集を停止する方向です。」と書かれていますが,一つの大学が単独で「新たな法曹養成制度のあり方」など構築できるはずもなく,学生募集にあたり「廃校するわけではないから来てくれ」と言い繕うための詭弁である可能性が極めて高いです。
各法科大学院当局に自覚はないかも知れませんが,「島根手法」は立派な詐欺行為です。具体的な実現見通しもないのに「連合化の予定である」などと学生を騙して入学させ,その後何事もなかったかのように廃校するのであれば,場合によっては学生側から不法行為に基づく損害賠償を請求される可能性も覚悟しなければならないでしょう。
「法科大学院の態勢は詐欺的である」というのは,法曹養成制度検討会議の井上正仁委員ですら認めている事実ですが,学生を騙してその将来を奪い国の税金を浪費している法科大学院は,その廃校に至るまで学生を騙し続けなければ気が済まないのでしょうか。せめて,最期くらいは潔く散ってもらいたいところです。
このブログは司法制度や法科大学院について、黒猫先生からの貴重な情報やご見解を基に、自由な意見が交わされ、大変参考になっています。
しかし、ログインが必要になった途端書き込みが激減したことは大変残念です。
別に自分の名前が特定されるわけでもないのに。
みなさん尻込みせず書き込みされたらよいと
思いますが・・。
あらためて匿名社会をつくづく実感します。
さて、龍谷大学の募集停止について
確かに全体からみればいずれ募集停止に至る
であろうとは予想されましたが、
黒猫先生ご指摘の通り、今年の入学者数からすると、
まだ先に募集停止すべきところが多いように思えます。
たとえば、既修者の学費無料とか司法試験合格者に200万円の報奨金を出すとか、本末転倒なローがありますが、こういうやり方をしてまで学生を集める意味はいったいどこにあるのでしょうか?
先日の日経新聞の記事で、こういうでたらめな運営が批判の対象とならなかったのは大変残念です。
こんなに大盤振る舞いする一方で国から補助金を受け取っているとすれば、これは納税者に対する冒涜です。
国民を納得させられるはずはありません。
私立大学には年間3千億円以上の補助金が交付されており、(それはそれで大きな問題ですが)、全体の金額からすれば、法科大学院への補助金なんてしれたものなのでしょうか?
法科大学院への補助金なんぞすべて撤廃すべきでは?
今までのローの募集停止と異なり、龍谷が入学者15名と入学者一桁ではない段階で廃校を決めたことについては大きな意義があるように思います。
今年度入学者一桁の学校が20校以上あるとのことですから、少なくとも20校以上のローはいずれ潰れる運命にあるということが明らかになりましたし(国立はもしかしたらそのまま残って税金を食いつぶすおそれはありますが)。
やはり常識的に考えて入学者一桁では経営は苦しいでしょう。
どれくらい経営をするのにお金がかかるのか知りませんが、入学者一桁のローが得る入学金、授業料でまかなえるほど安くはないでしょうし。
検討会議で下位ローの撤退を議論するとかいう話題をオ偉い人たちがちんたらと議論していますが、その基準を決めたり実行する前にほとんどの下位ローが募集停止をしているのではないでしょうか。
そうなるとあの議論に費やすお金は税金の無駄なようにも思います。
今朝の日経に法科大学院入学定員来春11%減という何を今さら笑止な記事が出ています。
13年度に学生募集した69校のうち東北大や立命館大など24校が定員削減を計画。関西大学では定員100人→60人減らし40人に絞る。とのこと。
関西大学は実態に照らしただけの話で、いまさら感が強いですが、それでも定員を減らそうとする良心があるだけだけましといえるのではないでしょうか。
東北大学でさえも定員減による生き残りを模索する中で、定員割れの著しい他のローは危機意識を持たず拱手傍観しているのみでしょうか?
たった24校しか定員を減らそうとする策を講じようともしないとすれば、もはや末期症状ですね。
それとも定員削減どころの騒ぎではなく、募集停止発表のタイミングを計っているからでしょうか?
都合の良いことに「島根手法」(私は島根「手口」と呼ぶべきと思いますがいかがですか?)という姑息で無責任な撤退方法も編み出されたことですし、今後はシレッとこの手口で募集停止を発表するところが増えるような気がします。
文部科学省もまるでかつての江戸幕府のようにお家お取り潰しに躍起になっている様子ですね。
黒猫先生ご指摘の通り、法科大学院はすべて即時廃止が一番公平かつ有効な司法改革かもしれません。
受験資格をはく奪されたら、本法科大学院で法曹になる夢は実現できないのですが。。。
一般社会だったらとても通用しないキャッチフレーズやコピーをパンフに用いることに対しての罪悪感はないのでしょうか?
「美しく散る」ということに、活路を見出してほしいです。
募集前に退散し、しかも「島根手法」を用いないなら、良心的だと私なら拍手をおくりますけどね。世間では賢者といわれる人たちの良心を見たいものです。
学歴経験など一切なくても、一定の学力さえあれば予備試験に合格後司法試験に合格し、司法修習を受ければ誰でも法曹になることができるのですから。
それなら最初からそんな面倒な負担を強いるのではなく、司法試験の受験資格など廃止すればよいのでは?
予備試験を廃止して、誰でも司法試験を受けられるようにするのが一番公平でしかも無駄がない。
さらには職業選択の自由にも適う。
何の不都合もなく、最高最善の策だと思います。
法科大学院はやりたいところだけが引き続き理想を追及されたらよろしいでしょう。ただし、補助金なしで。
そこで、凡人がわれもわれもと殺到したわけです。
ところが、蓋をあけてみると、合格率は25パーセント程度に低迷し、試験の難易度も決して低くはない、夢見る凡人の期待は露と消え、人生を狂わせる人が続出しました。
ローが人寄の常套句として用いている「多様性」はまやかしで、逆にローのいう意味の多様性なら、学歴を問わず司法試験が受験できる従来の試験こそがその多様性の理想を実現できるのではないでしょうか?
決断の時期が早ければ早いほど、人々のその大学に対する好感度は高いような気がします。
法科大学院制度が撤廃されて、公平に競争できる世の中になることを切に祈ります。
ロー関係者には、良心とか、ないんでしょうか。
普通の神経なら眠れないと思うんだけど。
教育研究評議会議事要録 平成25年度
第104回 (H25.6.10)(226KBytes)
http://www.shimane-u.ac.jp/_files/00107266/no_104.pdf
臨時(法科大学院関連の審議のみ) (H25.6.17)(206KBytes)
http://www.shimane-u.ac.jp/_files/00107273/no_rinji20130617.pdf
臨時(法科大学院関連の審議のみ)(H25.6.26)(187KBytes)
http://www.shimane-u.ac.jp/_files/00107280/no_rinji20130626.pdf
ここで感想をいうとうるさそうな人がでるので直接は言いませんが黒猫先生と同じことを思っていると考えてもらっても差支えないくらいです。