3月4日に,弁護士会館2階クレオで第二東京弁護士会主催の「シンポジウム 法科大学院教育の現状と今後の課題」が開催されました。
ブログで既に法科大学院についていろいろ書いている黒猫としては,できれば参加したいなとは思っていましたが,先週事務所の所長が入院して仕事が忙しかったのでブログの更新も滞りがちな状況であったため,今回は休息の欲求に勝てませんでした。
ただ,このシンポジウムについては,Yuichiroさんのブログで概要とかなり詳細な感想が書かれていますので,紹介とともに黒猫の感想を若干述べさせて頂きたいと思います。
http://waseda.livedoor.biz/archives/50481078.html
このブログでの感想を読む限り,どうやらシンポジウムの内容は法科大学院の推進者たちの議論を中心にした,意地悪く表現すれば「大政翼賛会」ならぬ「法科大学院翼賛会」と言うべきものであったようです。黒猫はむしろ行かなくてよかったですね。行ったら激昂したかもしれません。
パネリストたちの発言要旨では,いずれも理想論としては一見まともなことが言われているようなのですが,そもそも法科大学院制度がまだ一期生も法曹にならないうちから批判的な物議を醸すようになったのは,
(1)法科大学院構想は,外見は「新しい形の法曹教育」などといった美辞麗句で固められていますが,目指すべき具体的な方向性は論者によって言うことが違っており,あまり一貫していない。
(2)法科大学院構想は,質の高い法曹を数多く養成するという,考えてみればかなり難易度の高い目的を実現する必要があるのに,その目的を実現するための具体的な制度設計がかなり杜撰で,実際の教育内容は各法科大学院の野放しに近い。
もっとも,(1)がそもそも一貫していない以上,(2)も作りようがないが。
(3)実際における各法科大学院の教育体制もばらばらで,噂によると大学法学部と大して変わらないような授業をしているだけの教授もいるようであり,法曹に必要な「質」を確保できるような教育がなされているのか大いに疑問である。
なお,出席者のうち那須先生が
「弁護士はプロフェッションでなければならない。」
「教え子には受かってほしいが急激な増員は質の低下を招く。」
「対応策としては、法科大学院自らの選抜意識だ。」
「不適格者には1年目で引導を渡すべきだ。」
「ときに退学させる強い態度が各法科大学院に必要だ。」
といった発言をされているようですが,これは裏を返せば,現実にはそういうふるい落としが全く出来ていないということでしょう。
(2)と(3)については,(2)が建物の構造設計の問題,(3)を施工の問題になぞらえれば,ヒューザーが起こした耐震強度偽装事件の問題とも一脈通じるところがあると思います。
質の低下という問題については,那須先生のほか横井先生もそれを危惧する趣旨の発言をしているようですが,それに対する四ノ宮先生の反論は「その議論はすでにおわったと考えている」だそうです。
穿った見方をすれば,このシンポジウムは,杜撰な法科大学院制度が社会問題化する直前期における,狼狽した関係者の悲鳴に近いものであり,一般参加者はそうとも知らずに素直に聞いて拍手していたという,非常に滑稽なものだったのかもしれません。もちろん,感想を書いた人が批判的視点を持った人なのでそのように読めるのかも知れませんが。
ブログで既に法科大学院についていろいろ書いている黒猫としては,できれば参加したいなとは思っていましたが,先週事務所の所長が入院して仕事が忙しかったのでブログの更新も滞りがちな状況であったため,今回は休息の欲求に勝てませんでした。
ただ,このシンポジウムについては,Yuichiroさんのブログで概要とかなり詳細な感想が書かれていますので,紹介とともに黒猫の感想を若干述べさせて頂きたいと思います。
http://waseda.livedoor.biz/archives/50481078.html
このブログでの感想を読む限り,どうやらシンポジウムの内容は法科大学院の推進者たちの議論を中心にした,意地悪く表現すれば「大政翼賛会」ならぬ「法科大学院翼賛会」と言うべきものであったようです。黒猫はむしろ行かなくてよかったですね。行ったら激昂したかもしれません。
パネリストたちの発言要旨では,いずれも理想論としては一見まともなことが言われているようなのですが,そもそも法科大学院制度がまだ一期生も法曹にならないうちから批判的な物議を醸すようになったのは,
(1)法科大学院構想は,外見は「新しい形の法曹教育」などといった美辞麗句で固められていますが,目指すべき具体的な方向性は論者によって言うことが違っており,あまり一貫していない。
(2)法科大学院構想は,質の高い法曹を数多く養成するという,考えてみればかなり難易度の高い目的を実現する必要があるのに,その目的を実現するための具体的な制度設計がかなり杜撰で,実際の教育内容は各法科大学院の野放しに近い。
もっとも,(1)がそもそも一貫していない以上,(2)も作りようがないが。
(3)実際における各法科大学院の教育体制もばらばらで,噂によると大学法学部と大して変わらないような授業をしているだけの教授もいるようであり,法曹に必要な「質」を確保できるような教育がなされているのか大いに疑問である。
なお,出席者のうち那須先生が
「弁護士はプロフェッションでなければならない。」
「教え子には受かってほしいが急激な増員は質の低下を招く。」
「対応策としては、法科大学院自らの選抜意識だ。」
「不適格者には1年目で引導を渡すべきだ。」
「ときに退学させる強い態度が各法科大学院に必要だ。」
といった発言をされているようですが,これは裏を返せば,現実にはそういうふるい落としが全く出来ていないということでしょう。
(2)と(3)については,(2)が建物の構造設計の問題,(3)を施工の問題になぞらえれば,ヒューザーが起こした耐震強度偽装事件の問題とも一脈通じるところがあると思います。
質の低下という問題については,那須先生のほか横井先生もそれを危惧する趣旨の発言をしているようですが,それに対する四ノ宮先生の反論は「その議論はすでにおわったと考えている」だそうです。
穿った見方をすれば,このシンポジウムは,杜撰な法科大学院制度が社会問題化する直前期における,狼狽した関係者の悲鳴に近いものであり,一般参加者はそうとも知らずに素直に聞いて拍手していたという,非常に滑稽なものだったのかもしれません。もちろん,感想を書いた人が批判的視点を持った人なのでそのように読めるのかも知れませんが。
として参加された大宮法科大学院の
現役の学生の方のブログの、
3月4日の記事に、
シンポジウムの詳細な報告がなされて
います。
http://blog.livedoor.jp/t_yonetani/
と、
http://blog.livedoor.jp/t_yonetani/archives/50610734.htmlになります。
普通に民間会社で働いている人々の中にも(というか中にこそ)ほんとうにたくさんの有能が人がいます。
そもそも法律サービスなど一定の能力があれば大方は用が足りるでしょう。また特に何度が高い仕事はそもそも現行の司法試験にうかったくらいではできないでしょう。
法科大学院はそんなに駄目でしょうか?
法科大学院いいんじゃない? (Unknown へ
横から意見言わせてもらいます。
民法の危険負担の処理や刑法の故意論についてあいまいな知識しかない法科大学院卒未修生が弁護士になったら、司法制度自体にたいする国民の信頼が失われます。
社会経験という優秀さと、法律家として十分ということは次元が違います。これは、公認会計士の場合も当てはまりますが、我々が目指しているのは専門分野でのエキスパートです。上司にゴマすりがうまいだけでは法律家として仕事はできません。
それは論理飛躍ですよ。
それから社会経験があれば法律家の適正があるなんてことは誰もいっていませんよ。ただ,ロースクールに進学するたくさんの社会人入学生が法律家として生きていく適性をもっているとは思いますが。
上司にゴマすりがうまいだけって。なんともステレオタイプな(笑)
【公法系科目】
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
優秀・・・・・・・・ 0 ( 0.0%)
良好・・・・・・・・ 14 ( 2.8%)
一応の水準・・・・・ 239 (47.8%)
不良・・・・・・・・247 (49.4%)
【民事系科目】
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
優秀・・・・・・・ 0 ( 0.0%)
良好・・・・・・・ 19 ( 3.8%)
一応の水準・・・・・ 224 (44.8%)
不良・・・・・・・・・257 (44.4%)
【刑事系科目】
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
優秀・・・・・・・ 0 ( 0.0%)
良好・・・・・・・ 20 ( 4.0%)
一応の水準・・・・ 218 (43.6%)
不良・・・・・・・262 (52.4%)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
どの科目においても
「優秀」評価は、0(!)、
「良好」評価も、5%以下しかおらず(!)
「不良」評価が、およそ半数を占める
という状況である。
この結果について、九州大学大学院法学研究院・七戸克彦教授は、受験新報2006年1月号の特集記事において「惨憺たる結果」 「目を覆わんばかりの惨状」
と表現している。
http://lswatch.blog32.fc2.com/blog-entry-41.html
公法系科目 1507名(80.4%)
民事系科目 1645名(87.8%)
刑事系科目 1053名(56.2%)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
刑事系科目だけで約半数が「足切り」される。
http://lswatch.blog32.fc2.com/blog-entry-44.html
政府が決めたんですよ。少なくとも国民のある一定程度の一般意思がはいった政府が。弁護士増員を望むか?って一般の人に聞いてみるとそりゃ望むっていうでしょう。
だから法科大学院をいかによりよい制度にしていくかを議論してけばいいんじゃないですか?頭から駄目だ駄目だって決め付けたい力が働いているような気がしてとても気になります。
司法試験の一点選抜より法科大学院の教育のほうがそりゃいいでしょう。普通に。制度の過渡期に混乱なしってことはないですよ。ありえない。趣旨としてはいいんだからじっくりよいものにかえていく議論をしませんか?
本気でロースクールを法曹養成の中核に据えたいのなら、
1 学習指導要領の策定
2 少なくとも必修科目の単位認定は全国共通試験で行う
など、卒業生の粒をそろえる措置を採って、学部とは違うところを示す必要があると思われます。