黒猫のつぶやき

法科大学院問題やその他の法律問題,資格,時事問題などについて日々つぶやいています。かなりの辛口ブログです。

東京弁護士会・審査補助員の推薦に関する問題点

2013-05-09 07:31:47 | 司法一般
 最近,東京弁護士会が推薦した検察審査会の審査補助人について,ブログ界である問題が取り沙汰されています。

<参照記事>
東京弁護士会に公開質問状を出してまいりました(八木啓代のひとりごと)
http://nobuyoyagi.blog16.fc2.com/blog-entry-685.html
検察審査会の闇について考える(法と常識の狭間で考えよう)
http://beatniks.cocolog-nifty.com/cruising/2013/04/post-dee2.html#more
東弁「審査補助員」推薦問題の深刻度(元「法律新聞」編集長の弁護士観察日記)
http://kounomaki.blog84.fc2.com/blog-entry-680.html
検察審査会議決の不透明・補助弁護士はわけあり元検察幹部
http://bylines.news.yahoo.co.jp/egawashoko/20130422-00024521/

1 検察審査会の審査補助人とは?
 話の前提として,まず検察審査会の審査補助人制度について簡単に説明しておきます。
 検察審査会では,審査を行うに当たり,法律に関する専門的な知見を必要とするときは,弁護士の中から事件ごとに審査補助員を委嘱することができるものとされています(検察審査会法39条の2)。審査補助員は,法律の専門家として事件に関する法令やその解釈を説明したり,法的な問題点を整理したり,事件の審査に関して法的助言を行ったり,議決書の作成を補助するといった職務を行います。なお,事件によっては審査補助人が選任されないこともあります。
 審査補助員制度は2009年5月の検察審査会法改正で導入されたものですが,審査補助員は事件毎に1人しか選任されず,また実務上審査補助員の推薦は弁護士会が行っていますが,弁護士会は審査補助員の推薦者を1人しか出しませんので,審査補助員の選任は事実上弁護士会の主導で行われていることになります。
 検察審査会の審査員は法律の素人であり,しかも任期は6ヶ月しかないので,検察審査会の審査は審査補助員の資質に大きく左右される可能性がありますが,陸山会事件の捜査報告書に虚偽の記載をした田代元検事らに対する虚偽公文書作成・同行使罪被疑事件に関し,東京弁護士会による審査補助員の推薦人事に重大な疑問が示されています。

2 審査補助員はワケあり元検察幹部
 上記事件の審査補助員に選任された澤新弁護士は,秋田地検検事正や新潟地検検事正,さらには最高検検事まで務めた元検察庁幹部ですが,澤弁護士は秋田地検の検事正だったとき,妻の父親である元検事が死亡し,遺産を相続した妻と義母に代わって相続税の申告を行ったところ,その後の税務調査で2億数千万円の申告漏れが発生し,これを澤検事側は否認したため,国税当局との間で争いになりました。
 澤検事は,新潟地検の検事正に異動した後,同検事正の名前で税務署に抗議文を提出し,これが法務・検察当局により「検事正名で抗議をしたことで、国民から見てその地位を不当に使ったのではないかとの疑いが生じる恐れがあり、不適切な行為」と判断され,1998年6月19日に澤検事は国家公務員法に基づく戒告処分を受け,同日付けで辞職しました。
 その後,澤氏は1999年3月に弁護士登録をしているのですが,東京弁護士会から上記事件の審査補助人に推薦されたのが,この澤弁護士だったというのです。
 上記事件については,審査の申立てから議決まで8ヶ月を要しており,田代検事に対しては不起訴不当,佐久間元部長に対しては不起訴相当の議決が出されているため,この議決を甘いとする市民団体からは,澤弁護士が起訴相当にならないように議論を誘導しつつ,起訴相当の議決が出そうになると議決を先送りしていたのではないかという疑念が持ち上がっており,審査補助員の推薦方法について東京弁護士会に公開質問状が提出されています。

3 事案の評価
 黒猫自身は,田代元検事の事件について不起訴とした検察の判断が不当とまでは言えない,という立場を採っています。田代元検事が作成した報告書はその体裁上あくまで検察の内部文書であり,実際の裁判では刑事訴訟法上証拠能力が無く,これを有罪認定の証拠とする余地がないことは,基本的に法曹関係者であれば容易に理解できることです。したがって,田代元検事が単に上司を説得するために件の報告書(文書の内容からして,おそらく石川氏の署名が得られなかった調書案の文面を流用したものではないかと思われる)を作成したのであれば,「行使」の目的があったとは言い難いことになります。
 その一方で,一部の市民団体等が主張しているとおり,検察審査会に提出される証拠書類に件の報告書を紛れ込ませ,証拠能力の問題を理解していない検察審査員に小沢氏を有罪にできる証拠があるものと誤認させ,起訴相当の議決をさせるよう仕向けたというのであれば,たしかにそのような目的で内容虚偽の報告書を作成することは虚偽公文書作成・同行使罪に該当します。
 しかし,検察内部で起訴するかどうかの議論をしている最中に,検察で不起訴処分になり検察審査会に持ち込まれる場合のことを通常考えるとまでは言い難いですし,検察審査会に審査補助人がいれば当然こういう文書は証拠として使えませんと説明するでしょうから,報告書自体が検察審査会の判断を誤らせる目的で作成されたと断定するのは,いささか論理的に無理があるように思われます。
 そして,田代元検事が報告書の作成当時において,検察審査会の判断を誤らせる可能性まで認識していなかったとすれば,行使の目的に関する故意はないという結論にならざるを得ず,起訴相当としなかった検察審査会の議決も不当とまでは言えないと思われます。
 ただし,おそらく実際には自分から手を挙げた人を推薦してしまっただけだとは思いますが,東京弁護士会が,審査補助員として職務の中立性・公平性に疑問を呈されるような経歴の持ち主を安易に審査補助人に推薦してしまったことは,会務活動のあり方として不適切だったと言わざるを得ません。
 ただでさえ副会長経験者から逮捕者を出し,弁護士会の会務に対する一般市民の信頼性が大きく揺らいでいるときに,問題のある人事で一般市民の余計な不信感を買ってしまうのは,弁護士会の任意加入化論・解体論に拍車をかける結果にもなりかねないのですが,東弁の執行部はそのような問題を十分認識しているのでしょうか。
 下手に騒ぎが大きくなる前に,東京弁護士会はさっさと謝った方がいいでしょう。

10 コメント

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Unknown (Unknown)
2013-05-09 11:43:55
任意加入団体にして欲しい。高すぎる会費と弁護士のためにならない活動をする弁護士会はいらない。
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Unknown (Unknown)
2013-05-09 19:26:01
アンダーソン毛利の話はもういいっちゅうねん!
他人のブログを荒らしている暇があったら自分でブログ書けば良いだろ。
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Unknown (Unknown)
2013-05-09 19:27:04
東京弁護士会が任意団体になるところ見てみたい。
あ、それ、一気、一気、一気、一気
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Unknown (Unknown)
2013-05-09 19:27:31
一揆、一揆、一揆、一揆
でも良いな。
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Unknown (Unknown)
2013-05-09 19:47:43

ロー制度で美味しい思いをしたのは、一期(既修)、一期、一期、一期・・・
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Unknown (Unknown)
2013-05-10 07:41:55
↑だからって関係ない人のブログで自分の憂さ晴らしする理由になるか?

もう、こいつ受信拒否にした方がいいんじゃないの?
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Unknown (Unknown)
2013-05-10 08:45:11
アンダーソン毛利の話は
http://m.blogs.yahoo.co.jp/nb_ichii
へどうぞ。

またそのご本人を懲戒請求すればいいと思います。
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Unknown (Unknown)
2013-05-10 11:23:21
懲戒請求したところで必ず懲戒してもらえるとは限らないのでは?
自分は職場結婚したのに、他の人が職場で仲良くなりそうになると、妨害するサイテーな奴なんですよ。
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Unknown (Unknown)
2013-05-10 12:05:34
ブログ主さま、上の投稿他は、速やかに削除した上、この人出入り禁止にした方が良いですよ。


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Unknown (Unknown)
2013-05-10 13:05:43
猥談が怖い
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