黒猫のつぶやき

法科大学院問題やその他の法律問題,資格,時事問題などについて日々つぶやいています。かなりの辛口ブログです。

「全裸亀甲縛り+肛門バイブレーター挿入」事件について(ボツネタ経由)

2006-01-10 21:13:57 | 法律関係事件
「ボツネタ」経由。

http://d.hatena.ne.jp/okaguchik/20060107/p4

 ちなみに,こっちは判決文の本文。
http://courtdomino2.courts.go.jp/kshanrei.nsf/%24DefaultView/C3CA68C050A8F5F3492570EE00059B69?OpenDocument

 この事件については,いくつか疑問があります。
1 犯罪事実は
「被告人は,平成16年5月10日午前3時ころから同日午前5時ころまでの間,松山市三番町a丁目b番地c甲d号室において,Aに対し,同人を全裸にさせてその身体をロープで緊縛し,その肛門にバイブレーターを挿入するなどの暴行を加えたものである。」
ということであり,飲み代の付けを払わない人を脅すための犯行らしいのですが,どうして強盗(利得)罪などではなく,暴行・脅迫のうち特異な行為のみを取り上げて暴行罪だけで起訴したのか。
(暴行罪以外に,判決文から被告人にどのような罪責を問えるか考えてみるのも,刑法の学習にはよいかもしれません。)

2 なんで,こんな手の込んだ脅迫方法を採ったのか。
(趣味と実利を兼ねたのか,それとも脅迫のため女性のレイプ写真を撮影するのと同じ感覚で,思いっきり恥ずかしい写真を撮るのが目的だったのか・・・?)

3 ボツネタの管理人さんは,長い判決文の中でなぜ
「SM行為が撮影された写真にはAが陰茎を勃起させて興奮していたことをうかがわせる内容のものはないこと」という一文に着目したのか。
 でも,これをあまり重視してしまうと,肛門に挿入されたバイブレーターがあらぬところを刺激したために偶然勃起してしまったとか,共犯者に女性がいてSMプレイ中に勃起させたとかいうこともあり得ますし,そういう状態のところを写真撮影されたら,勃起していない状態よりさらに恥ずかしい上に,刑事事件でも無罪になってしまうおそれがある,という不合理な結果を生じるおそれがあります。
 したがって,被害者が勃起していたか否かを過度に重視すべきではないように思います。

 ・・・何をくだらないことをくそまじめに議論しているんだ,私は。