黒猫のつぶやき

法科大学院問題やその他の法律問題,資格,時事問題などについて日々つぶやいています。かなりの辛口ブログです。

上位ローもますます敷居が下がる?

2013-08-13 09:43:41 | 法科大学院関係
 Schulze先生のブログでも紹介されていましたが,中央ローと慶應ローの志願者数が公表されたようです。

● 中央大学法科大学院
<志願者数>
既修 945人(入学定員200人)
未修 218人(入学定員70人)
 ちなみに,昨年は既修945人,未修328人で,入学者数は202人でした。

<昨年からの変更点>
・既修者の試験科目から行政法を外す(法学既修者試験,論述試験の両方)
・論述試験で商法の配点を下げる(120点→80点)
・法学既修者,法学未修者の両方に出願可能となった模様(前年度のデータが削除されたため確認不可)

● 慶應義塾大学法科大学院
<志願者数>
既修 935人(定員約160人)
未修 269人(定員約70人)
 ちなみに,昨年は既修911人,未修199人で,入学者数は216人でした。

<昨年からの変更点>
・既修者コース・未修者コースの併願が可能になる
・既修者コースでも飛び級出願が可能になる
・昨年まで必須だった外国語能力証明書の提出が任意化される

 どちらも,入試制度の変更を行い敷居を下げているのですが,中央ローはそれでも志願者減,慶應ローも微増にとどまっています。来年度は,中央ローの入学者数200人割れはほぼ確実でしょうし,慶應ローも入学者数は減るかも知れません。

 ちなみに,文科省の方針で法科大学院の競争倍率は2倍を維持しないと補助金削減の対象となるおそれがあるのですが,既修と未修の併願が可能な法科大学院の場合には,抜け道があります。例えば,

既修者コース専願者 800人
両コース併願者   100人
未修者コース専願者 200人

 このような場合,社会一般の常識では「志願者数は1,100人」になると思いますが,法科大学院業界の常識では「志願者数は1,200人」となるのです。競争倍率2倍という最低条件を満たすためには,合格者数が既修者コース450人以下・未修者コース150人以下である必要はなく,全体で600人以下であればよいのです。
 下位ローでは,既修者・未修者の併願どころではなく,入試を年3回か年4回くらい行って複数回受験した人を重複カウントしたり,受験料を1回支払えばすべての回の入試を受けられるようにしたりして,あからさまな志願者数・受験者数の水増しを行っているところもありますが,中央や慶應といった私立の上位ローまでが,そういった手口を使い始めたことになります。
 どちらも,法学部としては定評のある大学が運営しているローであり,入学しやすくなったなら入学してもよいと考える人はいるかも知れませんが,こういうことをやるローは,今後もさらに様々な手口で敷居を下げてしまう可能性が非常に高く,修了できてもステータスとしては全く無意味,ということになりかねません。いわば,今後暴落していると分かっている株に手を出すようなものです。
 政府・自民党としては,まだ当面の間法科大学院制度を廃止するつもりはないようなので,黒猫としては法科大学院の犠牲者を少しでも減らすため,①(学生・社会人の皆さんは)法科大学院に入学しない,②(学生や若い社会人の親御さんは)子供を法科大学院に入学させない,③法科大学院の奨学金や教育ローンの保証人にならない,の『3ない運動』を呼び掛けていきたいと思います。
 法科大学院のために,自分やお子さんの人生を破滅させる必要は全くありません。



2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Unknown)
2013-08-13 14:20:10
中央の既修は、909人です。昨年が945人です。リンクさきをご参照ください。
ただ慶應義塾にしても中央にしても減少が目立つのは未修です。

ところで余談ですが、甲南ローは5000円で、6回分の入試を受験できるようです。
返信する
Unknown (Unknown)
2013-08-14 15:30:53
中央は2007年時点から併願は可能のようです。

http://web.archive.org/web/20070703110145/http://www2.chuo-u.ac.jp/law-school/q_and_a/index.html

なお、早稲田大学も併願は可能です。
むしろ私大においては今まで併願が不可だった慶應の方がイレギュラーだったのではないでしょうか。
返信する