風を紡いで

旅の記録と料理、暮らしの中で感じた事などを綴っています。自然の恵みに感謝しながら…。

(18)英国の味と天使の笑顔

2005年07月14日 | 2005年コッツウォルズ母娘旅
料理を注文しようとしている時、ちょうど私達の席の近くに営繕関係のおじさんが姿を現した。なにかチェックをしている様子だったので、手が空いたのをみてから尋ねた。

「すみません、このお店のおすすめ料理お分かりですか?」
「いや~。この辺の者じゃないのでわからんねぇ~」
 そういうとまた作業に取り掛かった。スノーズヒルの人ではないようだった。

 
「イギリスでは、フイッシュ・アンド・チップスが有名なんだよ」
さっきまで、食欲がなかった娘だったが、目の前に運ばれて来た狐色にこんがりと揚がった、白身魚のフライと拍子切りのジャガイモを見て言った。彼女はすっかり目を奪われたようだった。魚のフライは、外側がサクサクしていて魚肉はしっとり軟らかく…たまらない美味しさなのだ。揚げたてだから、ふうふう言いながら食べた。

「私にもちょっと頂戴!」
そう言って娘が食べ始めた。食欲が出て良かったと思いながら、見ていると、少しと言ったけれど結構食べている。
「美味しいね、お母さん!」


昼時になったからだろう、パブの中が少しずつ賑やかになってきた。お年寄りが増えて、中年の夫婦や女性客もランチに集まって来た。それぞれにビールを飲んだり、食事をしたり、話し声も高くなり、パブに活気が出てきた。厨房も忙しそうだった。

「あのカウンターにいる郵便屋さん、お母さんがさっき道を聞いた人だよ」
「あの白髭をたくわえた人?」
「そうそう。彼もランチタイムなんだね」


波が引くように、パブの賑わいもいつの間にか静まった。厨房で忙しく立ち働いていたお年寄り(女性ばかり)4、5人が仕事を終えて、ちょうど私達の席の反対側の奥の席で休憩を始めたようだった。彼女たちも1人帰り、2人帰り…、それぞれ帰る場所へと散って行った。店内もかなり空いてきた。


料理を食べ終わり、食後にコーヒーを飲みたくなった。
「コーヒー頼もうかなぁ~」
「私はいらないけど、買ってこようか」娘がカウンターに行き注文してきた。

のんびりとした時間を過ごしていると、近くの席に小さな男児を連れた若い母親とその友達らしき女性が座った。ぽっちゃりとしてあまりにも愛らしかったので声をかけてみた。彼はジェームスという名で、誕生前だという。ちょうどハイハイを始めた頃らしい。

天使のようなジェームス君との触れ合いに心なごませたあと、彼らにさよならをして、コッツウォルズの小さな村スノーズヒルのパブを後にした。




コメント (2)
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