風を紡いで

旅の記録と料理、暮らしの中で感じた事などを綴っています。自然の恵みに感謝しながら…。

(16)雪舞う小さな村のパブ

2005年07月02日 | 2005年コッツウォルズ母娘旅
スノーズヒルに着いたのは昼前だった。B&Bは、小高い丘の上の、眺望のいい場所にあった。建物の周辺は人影もなくひっそりとしていたが、オーナーが1人で出迎えてくれた。

「妻は今出かけているけれど、どうぞ!」
そう言って2階の部屋へ案内してくれた。荷物をほどき、くつろいでいると階下に女性の声がして、オーナーの奥さんが顔を出し、いろいろ説明してくれた。ひと休みしてから、下に降りていった。さあ昼食をどうしようか、思いあぐねている私たちに、「ランチはどうしますか?」と彼女。近くにあるパブの場所を教えてくれた。

歩いてもすぐだということなので、散歩をしながらパブに向かう。雪が降りしきる田舎道を歩いて行くと、教会はあったが、目指すパブは見つからない。雪の中、写真を撮ったりしながら探すが、なかなか分からない。スノーズヒルには、仰々しく、派手で、景観をこわすような看板は見あたらない。美しい風景に感動しながら歩く。

ちょうどその時、郵便配達の車が目に入った。その近くに、郵便物を手にした、白い顎髭を持つ背の高い男性の姿があった。渡りに舟とはこのこととばかりに、近づいて行き、パブの場所を尋ねた。

「この坂を登るとすぐそこにあるよ」と教えてくれた。

お礼を言って、なだらかな坂を登って行く。途中、道路の左側にある一軒の家の前に、初老の男性がいるのを見つけたので、もう一度パブの場所を確認しようと聞いてみた。

「ほら、そこにあるよ」
建物を指しながら答えてから、彼は家の中に入っていった。

「すぐそこにパブがあるって~」
坂の下の方で、夢中になって写真を撮っている娘に、私は大声で叫んだ。
「ここなんだね」娘が言った。

小さなドアを開けると、入り口のすぐ左にゲーム機が1台あった。その先にカウンター、内側にはウェートレスらしき若い女性を相手に、数人のお年寄りがビールを飲みながらおしゃべりしている。カウンターの反対側には暖炉、テーブル席があり、その奥にL字型にテーブル席。まだ、昼前なのでテーブル席にはほとんど客がいない。私たちは、右奥の席に向かった。 (つづく…)


※写真は、英国コッツウォルズの小さな村、スノースヒルにある唯一のパブ

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