al baritono

アマチュア声楽家の独り言 ~ 歌ときどき仕事(笑)

実用美声学

2011年11月27日 | 声楽
洗足学園音楽大学名誉教授、松尾篤興氏が刊行した「実用美声学」(カワイ出版)の副教材の様な参考動画がYoutubeにアップされています。

その中から、参考になったバリトンのレッスン風景の動画を紹介します。







ある声楽ブログではパッサージョでキューゾ(声を飲み込むように絞る)してアクートに・・と言っています。今までそれを意識していましたが、この先生はキューぞせずに口蓋を更に上げて口腔を広げ、同じ響きの位置で・・と指導しています。やってみると、その方が自然な感じです。師匠もパッサーレ(パッサージョの通過)で響きが曇るのを嫌いますので、このやり方の方を支持するのでは・・

ちなみに、Don Carlo、"Dormiro sol~"のA3からE4へのジャンプが響きを変えずに楽に出来ました。

次回の師匠レッスンで確認してみますが・・・


「実用美声学」http://editionkawai.jp/biseigaku/

プログラム決定

2011年11月26日 | 演奏会
来春ですが、4月1日(日)の浜松声楽研究会のコンサートが開かれます。そのプログラムが決定しました。

「イタリアオペラの巨匠 ヴェルディ・プッチーニ」
日時:2012年4月1日(日)
場所:浜松アクトシティ中ホール

何と24人の門下生による25曲のアリア!

僕の出番は最後の演目「ドン・カルロ」の最初の曲です。
トリは、今年の静岡音楽館AOIの「静岡の名手たち」のタイトルを獲得した有賀美総の「椿姫」ヴィオレッタです。

ご覧になってお分かりの様に、男声は僕を数えて二人きり。いかに男性の少ない世界かがよく分かりますね。だからこそ、音大声楽科出身や、学校や音楽教室の先生、中には結婚式場の聖歌隊などで職業として歌っている人など、いわば専門家の人たちに混じって出演させてもらえる訳ですよ(笑)

Personal Recommendは・・・

トップバッターの村井萌乃ちゃん。なんたって飛び切りの美人(^^
第1部最後の大谷千佳子さん。彼女もAOIのタイトルを取ったことのある実力者。そして今年のアワード、有賀ちゃん。
そして勿論・・ぼく(爆)

ポスターやチラシが出来たらアップしますが、ぜひご来場下さい。

って鬼が笑う来年のお話でした。

RICORDI

2011年11月24日 | 声楽
RICORDI Anthology of Itarian Opera (Baritone)

リコルディ社のイタリアオペラ・バリトンの楽譜です。
バリトンの名アリアのヴォーカル譜が39曲収録されています。

ご覧のように表紙も装丁も日本のものよりも美しいですが、譜面も音符フォントが違うのか別物のようです。

何とコレが1866円!

ちなみに音楽の友出版のヴェルディ、オペラ名アリア独唱・重唱曲集は11曲収録、色気も何もない装丁で1600円(笑)

MET「ドン・ジョヴァンニ」

2011年11月24日 | オペラ
批評などやめて単純に楽しめばイイ。高尚な講釈など垂れる必要は何も無い。娯楽なんだから!

METライブ・ビューイング「ドン・ジョヴァンニ」を観てそう思いました(笑)

どうも、多少声楽を齧ってるからって・・多少オペラを観てるからって、変に評論家みたくなっている自分が馬鹿げてます。

文句なしに楽しんで、深夜に帰宅して、今朝あらためてWEBで感想などを読んでみると、他人の批評が煩わしく思えた。ってこたぁ・・今まで書いた自分の記事も随分とウザったいものだったんだ(滝汗;

まあ、確かに細かいところを言えば幾つかの気になるところはあるサ。自分の好みと少し趣の違う演出とか、歌手のその日の出来とかね。何もかもが完璧で全てに満点の出来の舞台なんてあるわけもなく・・、その日その時の目の前に与えられた舞台を自分なりに存分に愉しめばイイ。それに尽きる。

ドン・ジョヴァンニはまり役のクヴィエチェンが生き生きと演じ、フリットリがエルヴィーラを見事に歌い、レポレロのピサローニは演技力で観客を魅了し、アンナのレベッカは美声を響かせ、ヴァルガスは相変わらずの甘い声、ツェルリーナのエルドマンは若くキュートでマゼット(誰だっけ名前忘れた)もいい味。

ファビオのレチタティーボ部のチェンバロ演奏もご愛嬌(^^

放蕩無頼の女たらしが、その悪業により最後は亡霊に殺されるという悲劇なんですが、モーツァルトの美しい音楽と軽妙なタッチで喜劇的に描かれて・・

なにはともあれ、是非ごらんなさい。

とは言っても、明日までですが(笑)

6th静岡国際オペラコンクール本選

2011年11月20日 | 声楽
世界15カ国、177名の応募者のうち1次、2次予選を勝ち抜いた6名のファイナリストによる本選です。
出場者リスト
オケは神奈川フィルハーモニー管弦楽団、指揮は現田茂夫さんです。

会場の浜松アクトシティ大ホール、1階はほぼ満席!2階以上の自由席も結構埋まっているようです。コンクールなのに思いの外の入りです。

出演順に
1番、韓国の Yeo Ji Won(sop)。シャルパンティエ「ルイーズ」より「その日から」、ドニゼッティ「アンナ・ボレーナ」から「懐かしの故郷に連れて行って」。伸びやかで力のある声で”おっ!”と思わせる。一番バッターで比較の対象はないけど”グランプリかな?”と思ってしまった(汗;

2番、同じく韓国の Yoon Jung Nan(sop)。グノー「ロミオとジュリエット」より「私は夢に生きたい」。ヴェルディ「椿姫」より「ああ、そはかの人か~花から花へ」。どうも力任せで歌ってる感じが否めない。番外か?

3番、またまた韓国の Oh Dong Kyu(Br)。モーツァルト「フィガロの結婚」より「溜息をついている間に」。ヴェルディ「仮面舞踏会」より「立て、息子に会うのは許してやろう」。声はいいのですが、変に演技するので聴く方も歌に集中できません。微妙・・・

20分の休憩

4番、やっと日本の高橋絵里(sop)。チャイコ「エフゲニー・オネイギン」より「一筆お手紙を差し上げます」。ヴェルディ「運命の力」より「神よ平和を与えたまえ」。高音の響きは文句なし。ただディクションが曖昧なのがちと残念かなあ・・、結構イイ線ではある。

5番、韓国から Lim Chang Han(Br)。ゴルンゴルド「死の都」より「わが憧れ、わが幻」。ヴェルディ「ファルスタッフ」より「夢か現か」。柔らかで軽めのバリトン。選曲の妙で声質とビジュアルと歌う仕草がピッタリ。

そして最後が日本で吉田珠代(sop)。プッチーニ「ラ・ボエーム」から「私の名はミミ」。ヴェルディ「オテロ」から「柳の歌~アヴェ・マリア」。出演者中最年長?堂々たる歌でした。文句なしのグランプリでしょう・・

と言うのが私の感想でした。

で、先ほどWEBで結果発表がありましたが・・

グランプリ: 該当なし
第2位: 吉田珠代
第3位: 高橋絵里
第3位: Lim Chang Han
三浦環特別賞: 吉田珠代

このブログを書きながら吉田さんを調べたら、愛知県立芸術大学音楽学部を首席で卒業、ボローニャ王立音楽学校留学、その後ヨーロッパでデビューして既に海外で活躍中とか。なるほど(笑)

家内はすっかりバリトンのLim Chang Hanがお気に入り(w
僕は番外でしたがYeo Ji Wonが好み(^^

今回は日本人2名が入賞しましたが、ここ数年の結果を見ると韓国勢の躍進は眼を見張るものがあります。日本人がんばれ!

松本美和子リサイタル

2011年11月19日 | 演奏会
「古希を迎え、父のふるさとで歌う」というサブタイトルで、御前崎市民会館でソプラノ歌手、松本美和子さんのリサイタルがありました。

大荒れの天候のせいか観客の入りがあまり良くなかったのが残念でしたが、とても古希とは思えない素晴らしい歌声をゆっくり堪能できました。

何よりも感銘したのは歌詞の処理というか、日本語をとても綺麗に歌われていたことです。クラシックの歌唱法で日本語の歌を歌うのはとても難しいと思っていました。この5月の声楽研究会の演奏会で日本歌曲を歌わせて頂いた時に、母音の浅い日本語を音符に乗せるのに随分と苦労した経験があるのですが、流石に一流の歌手は・・・。一語一語しっかり聞こえるのに滑らかです。舞台近くの席でしたので口元をしっかり拝見して発音の仕方をじっくり研究させて頂きました。

プログラムは・・第1部は「この道」「落葉松」などの日本の歌を6曲、地元の合唱団と共演で「赤とんぼ」「乾杯の歌(椿姫)」

休憩を挟んで「故郷と歌」をテーマに主催者スタッフとの対談。ちょっと松本さんに喋らせ過ぎ!と心配したら、案の定最後には少しきつそうでした。声楽家にとってお喋りって意外にダメージがあるんですよね。自分もMCやりながら歌ったりするので良く分かるんです。もう少し配慮がほしかったなあ・・

そして引き続き第2部に。プーランクとショパンのピアノソロ。このピアニストの椎野伸一さんの演奏がまた柔らかで素敵。独奏も素敵でしたが、伴奏は感動的でした。あ!自分が歌い手なので伴奏の素晴らしさに気がいっちゃうんですね(汗;

ともかく柔らかなタッチで自己主張をしない。歌にそっと寄り添うように歌のために仕事をしている。そんな伴奏でした。ああ!この人のピアノで歌ってみたい!そう思わせるピアノでした。

第2部はイタリア歌曲やナポリターナ、オペラのアリアの名曲など7曲。時に日本語で時に原語で。

そしてアンコールはマイ・ウェイをはじめ3曲も・・

途中のトークでの長話が少し祟ったのでしょうか、アンコールの頃にはちょっとお疲れの様で、流石に高音は衰えを感じませんでしたが低音域に僅かな掠れが。とは言っても、私のように何一つ聞き逃さない様に聞き耳立ててやっと気がつく程度ですから、70歳という御年を考えれば驚異的です。

隣町とはいえ、地元のご縁のあるこんなに素晴らしいクラシック歌手がいることが、ちょっと誇らしくもあり、新たな発見も出来て・・何という幸せな1日だったでしょう。

さて、明日は静岡国際オペラコンクールのファイナルです!


「晩祷」国立モスクワ合唱団

2011年11月18日 | 演奏会
17日、ウラジミール・ミーニン率いる国立モスクワ合唱団の「晩祷(ラフマニノフ)」を東京オペラシティ、タケミツ記念ホールで聴いてきました。

午後7時からの公演でしたが、前日16日が結婚記念日でもあったので一日遅れのアニバーサリー、1日休みをとって朝から上京し、二子玉ライズのレストラン「Coat de Rouge Table(Maximの支店)」でランチ(^^
ゆっくりお買い物をしてオペラシティに。

いつものように面影珈琲店で一服。ウエイトレスがとても素敵で家内と見とれちゃいました。「お嬢さん、彼は居るんですか?もしフリーだったらウチの次男坊の・・」と言いたくなるような(笑)
200円のエキストラでお代わりまでしてまったり。開演を待つのこの時間が大好きです。

座席はS席。1階の中央少し後ろ寄りの、最も音響の良さそうなシートを取ったのですが、何と隣の席は合唱団「郁の会」のプロ団員の岩村マリコさん!彼女は東京トロイカ合唱団のメンバーで何度もこの「晩祷」を歌っています。ここ数年はミーニンの追っかけで来日の度に聴きに来ているそうです。

オープニングは3.11被害者にスヴィリードフの合唱のためのコンチェルトより「哀歌」。お寺の本堂での大人数での読経にも通ずる厳かな不協和音の波に包まれて不思議な感覚です。

そしてお待ちかねの「晩祷」。今回は抜粋ということで1,2,5,6番の4曲だけですが、流石にロシア人ならではの地を這うようなオクタビストの低音と、倍音いっぱいの厚みのある和声にすっかりヤラレちゃいました。普通のバスはせいぜいD(レ)くらいまでなのですが、それより更に低い♭B(シ♭)まで出すんですから、もう声というよりも低周波振動の様に心身を揺さぶります。重厚な和音の渦の中に身を置いて脳みそと心を存分に揺すられて1部は終了。

2部はお馴染みのロシア民謡。重めのメインディッシュの後のデザートのシャーベットのような(w
「赤いサラファン」とか「カチューシャ」「アムール川の波」「ステンカラージン」「黒い瞳」などなど。
アンコールは「カリンカ」そして大サービオで「ソーラン節」

ロシアならではの厚みのある合唱をたっぷり堪能させて頂きました。

声帯の動き

2011年11月16日 | 声楽
Youtubeで発声時の声帯の動画を発見しました。







これを見ると、声帯の上部にある傘状の披裂軟骨が声門閉鎖や声門伸張をコントロールしていることが分かりますね。

この披裂軟骨を意識的に自在に動かすことが出来れば低音高音何でも来い!(笑)

発声の違い

2011年11月15日 | 声楽
ここ数日はフィリッポばかり歌ってます(^^

この金曜日はシンフォニエッタの練習日なので、少しばかりFaure Requiemをば・・
音取CDのマイナス1で。このマイナス1ってのは、自分のパートだけ無いバージョンです。つまり他パートとのアンサンブル練習です。

まあ、曲が曲だからってこともあるのですが、どうしても声楽レッスンと発声のポジションが違っちゃいます。というか、いつものように咽頭を下げて声門を強く閉鎖して呼気圧を高めて密度の高い声を出すと他パートと声が混ざりません。特に高音域をアクートで歌うと変です。大体がアクートで歌う歌じゃないですけど(笑)

何を言いたいかというと・・普段の声楽レッスンと全く違うプレースメントで歌わないといけないんです、特にこの曲。いや、合唱曲ってオペラ合唱以外は・・多分・・みんなそうなんでしょうね。

低音域は声門閉鎖を弱くして多少息漏れするようにして声を薄くする(爆)
高音域はアクートせずにファルセット気味に力のない声を出す(爆)
まあ、いつもの全く逆をする訳ですよ。

浅めのポジションで暫く歌っていたら・・何か変になっちゃいました。

そういえば、ミサ曲のソロもオペラのアリアとは全く違うものが要求されますよね。
「郁の会」でFaure Requiemを歌った時、ソプラノソロは藤原歌劇団のプリマ清水智子さんでした。一流のオペラ歌手の声は素晴らしかったのですが、彼女のPie Jesuは少し艶っぽすぎた気がします。

オペラでは説得力のあるオケに負けずに最後列にまで届く力のある声・・たとえそれがピアニッシモであろうと・・が求められますが、宗教曲では澄み切った透明感のあるシャンパンのような声が求められます。コラールに置いても然りで、ノンビブラートのミックスボイス・・・。

ミックスボイスなんかやったら師匠に破門されそうだし・・・、何と言っても今の僕にはそれらを使い分ける力はありません(汗;

やはり合唱との両立って無理なのかなあ・・・


やっぱり僕はバス

2011年11月09日 | 声楽
昨夜は2週間ぶりの声楽レッスンでした。

いつものように発声練習&ウォーミングアップ。
高音域は#Fくらいまで。以前は#Gあたりまで引っ張ったけど最近は#F止まりです。

前回からコンコーネを再開しました。50番低声用の25番からです。
久し振りのコンコーネでしたが、練習曲ながら綺麗な曲多いですね。
母音を変えながら何度か練習。声の出だしのコントロールの甘さを注意されました。レガートに歌うには第一声の出だしがポイントですね。ここを唐突に入っちゃうと全体が何かぎこちなくなります(汗;

そしてフィリッポ。そろそろ歌詞が音符とくっ付いてきたので、アリア部分をたっぷりレガートに歌う練習と、喋る部分(レチタティーボともちょっと違うけど)の言葉をはっきりと音に乗せる練習。特にA2~A3にオクターブ飛ぶところと、A3~E4に5度上がるところを入念に。6連符で昇り降りするところも・・

今までヴェルディのバリトンのアリアを歌ってましたが、初めてバスのアリアを歌って・・

やっぱり僕はバス!

そう思いました。

でも、バスのアリアってあまり多く無いので、今後もバス/バリトンとしてやっていくとは思いますけど。この機会に様々なバス歌手の演奏を聞いてすっかりバスが好きになり、テノールへの嫉妬が無くなりました。役柄としては羨ましいけど(爆)