al baritono

アマチュア声楽家の独り言 ~ 歌ときどき仕事(笑)

【声楽修行】その1~ あるものを磨く

2013年06月10日 | 声楽
ご無沙汰です。すっかりFacebookだけになってしまって申し訳ありません。日常的なネタはFacebook、中身の重いネタはコチラにもと言う感じで【声楽修行】をしばらく連載(笑)しますので御覧ください。


「鈴木さん、これから鈴木さんの一番良い声を見つけてソレを磨きましょう!」

師匠について初めて言われた言葉です。今思えば当たり前の言葉ですが、その当時はよく理解できていませんでしたね。一流のオペラ歌手のホヴォロストフスキーやレオ・ヌッチになりたくてね、彼らのCDを聞いては真似をして(笑)

自分の頭の中に”バリトンとはこういうもの”という像を勝手に作ってしまって、それに囚われて数年。まあ稽古の成果はそれなりに出て声に厚みが出てきたり、音域も多少は広がったり。しかし喉を下げ力で押す声に変わりはなく、力任せに怒鳴る割には響かない飛ばない声でした。でも、自分では結構いい気になってたりして今になると赤面の至りですねえ(汗;

ひとつの大きな変化は師匠について3年後の2011年の秋の発表会に貰った課題曲「ドン・ジョヴァンニのセレナーデ」とトスティの「理想の人」でした。ともかく甘くレガートに!
重く深くから甘く軽くへ(笑)
その変化になかなか付いていけませんでしたね。どうしてもバリトンらしく歌わないと!という意識が強すぎて・・。そこでトスティの歌曲をyutubeで片っ端から聞きました。トスティの歌曲は元々がテノールの声域で書かれているんですね。理想の人の原調はA-dur。それをキーを下げてF-durで歌うわけです。youtubeで歌っている人は殆どがテノールです。

そこで、自分はバリトンだ!と思うのをヤメて、声域を全く意識せずに単に譜面に書かれている音高の声で歌うことにしてみました。したら・・何だかテノールっぽく歌えるじゃないですか(笑)
自分に聞こえる自分の歌声は、やけに軽々しいロマンチックな凡そバリトンらしからぬ声なのですが、録音してみるとどうでしょう!ちゃんと甘いバリトンの声じゃないですか!!

こうして”バリトンってこういうモノだ”という自分自身の呪縛から解き放たれて、今まで気が付かなかった自分の声を知りました。力任せに押す声ではなく、声帯を引っ張って声を引き出すような発声。声帯を呼気が通過する際の正圧で声紋が振動するのではなく、通過した後の負圧で声紋が振動するような・・。
後から調べたら、それを声門閉鎖とか声帯伸展と言って、息の力ではなく声帯を引き伸ばすことによって高音を出す正しい方法だったんです。

この時、ホヴォロストフスキーになりたい!とかレオ・ヌッチになりたい!という少女の様な夢をバッサリと捨て、僕の本当の声楽への道が始まったような気がします。師匠について3年目。石の上にも3年とよく言いますよね。毎週1回、浜松まで2時間(往復4時間)かけて1時間のレッスン。30分は発声練習。後半は練習曲コンコーネ。毎回同じ事の繰り返し。飽きること無く(実際は飽きたけど)続けた成果です。

つづく(笑)

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