al baritono

アマチュア声楽家の独り言 ~ 歌ときどき仕事(笑)

【MET2011】ドン・カルロ

2011年06月20日 | オペラ
6月18日(土)15:00 NHKホール・・・・・
待ちに待った5年ぶりのメトロポリタン歌劇場日本公演「ドン・カルロ」です。



震災の影響でキャストに大幅な変更がありました。タイトル・ロールのヨナス・カウフマンとエボリ公女のオルガ・ボロディナがキャンセル。休暇中の代役を急遽招聘したり、「ボエーム」のネトレプコもキャンセルのためにバルバラ・フリットリが急遽代役に立ち、その煽りでエリザベッタがマリーナ・ポプラフスカヤに代わるなど、招聘元のジャパン・アーツは相当苦労したんじゃないでしょうか。

多少のお目当ては外れましたが、フォリッポのルネ・パーペとドロリーゴのディミトリー・ホロストフスキーは予定通りで、「男のドラマ=男声がキモ」なので、事情が事情ですからヨシとしましょう(笑)

体調不良で降板したレヴァインに代わって指揮を振るのはファビオ・ルイジ。レヴァイン降板と聞いてがっかりしていたんですが、ルイジさん・・・堂々とした端正な指揮です。3幕4場でしたか、民衆の合唱とソリストの重唱の場で微妙にテンポがズレそうに感じたんですが、?と思った瞬間にルイジさんを見たら大きく振ってぴしっと立ち直って”おおっ!”って。凄いですよ。

ヨン様(笑)も、最初は響きが薄い感じで線の弱さを感じましたが、場が進むにつれて調子を上げ、途中からは見事なものでした。身体が小さいこと、演技にまだ多少のぎこちなさがあることで、共演者の存在感に負けていたのが少し残念ですが、東洋人の限界なんでしょうか・・・。でも、最後のほうではそれほど意識しませんでしたから歌唱力は相当なものですね。


エリザベッタのポプラフスカヤは、ちょっと高音域が硬質なのが気になりましたが良く演じていたと思います。エボリ公女は普通は眼帯をするんですがしてなかったですねえ。どうしてなんでしょ?衣装もエリザベッタと際立った違いがなかったので老眼の遠目では声で判別(汗; お隣りのお祖母様は、カルロがエリザベッタとエボリを間違えて秘密を暴露する場面では、ご自身も間違えたらしくて????な小声を上げられていました(爆)

フィリッポのルネは流石の貫禄です。「一人寂しく眠ろう」は鳥肌モノでした。ストーリー上ではエリザベッタをカルロから奪う憎々しい父親ですが、その胸中を切々と歌う心情溢れるアリア。これだけで元を取れるような(笑)

パーペの歌うフィリッポのアリア



ロドリーゴも4幕2場の「ロドリーゴの死(終わりの日は来た~カルロよ聞き給え」は圧巻でした。息絶え絶えに歌うホロストフスキーは演技力も含めてちょっとした感動もの。

ホロストフスキーのロドリーゴの死



もう一人のバス、裁判長は低い声は良く通るものの、少し浅かったですね。もっと奥深い声が欲しかったと思いますが、プロフィールを見るとステファンは随分と若いですね。年齢を重ねれば素晴らしいバスになるでしょう。将来が楽しみです。

と・・指揮者は交代し、キャストも大幅に入れ替わった舞台でしたが、幕間も含めて5時間近くの超大作を飽きさせもせず、素晴らしいオペラに仕上げていました。流石にメトの面目躍如と言ったところです。

演出もデクスターで古めかしいと言われていますが、古典的演出好きの僕には十分満足のいくものでした。



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