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信楽のMIHO MUSEUMに行く

2024年05月24日 | 美術

京都旅行に行ったとき、滋賀県甲賀市信楽町にあるMIHO MUSEUMに行ってみた、前から行きたいと思っていた美術館だ、美術館を紹介する雑誌や本に、必ず紹介されている美術館だからだ。ただ、場所が不便なところで、車で行かないと時間がかかるし、閉館している期間も長いためで、なかなか都合が合わなかった。


(両手付小壺、東地中海地域、前2-前1世紀)

今回、京都旅行を計画し、その時期を5月にしたのも、その時期は開館していることと、美術館が森の中に位置しており、新緑のときに訪問するのが良いと思ったからだ。

京都旅行の2日目、朝食を食べて、車でホテルを出発、高速道路を使用して約1時間程度で到着した、近くのインターを降りてから結構走ったので、本当にこんな山中に美術館があるのだろうかと、そういう雰囲気のところだ。


(レセプション棟を出たところ、この先のトンネルに続く道)

MIHO MUSEUMは、1997年に開館。ルーブル美術館ガラスのピラミッドで知られる中国系アメリカ人のI.M.ペイによって設計され、中国の詩人、陶淵明の『桃花源記』に描かれた理想郷である桃源郷をモチーフにした、敷地面積は100万㎡とあるから驚きだ、18ホールのゴルフ場で大体50万㎡から100万㎡の間だから、その広さがイメージできよう


駐車場からレセプション棟に入り、チケット1,300円を買い、アプローチロードをいくとトンネルが出てくる、そしてトンネルを出ると吊り橋があり、その先に美術館棟が見えてくる

ここでは環境を保護するため美術館全体の80%が地中に埋設され、山に溶け込んでいる、同じような発想の美術館が箱根にあるポーラ美術館であろう。

美術館棟に入ると、正面に広いロビーがあり、そこはガラスの屋根から降り注ぐ光とベージュ色のライムストーンの壁面で包み込まれ、彼方まで穏やかな山々が連なる大空間となっている、窓外の山林の景色が借景になって目の前に広がっている

写真をご覧いただければわかる通り、このロビーはルーブル美術館のガラスのビラミッドの規模を大きくしたような感じだ。

この日の企画展は北館全部を使って「古代ガラス-輝く意匠と技法」が開催されていた、ガラスが宝石であった時代の貴重な作品が展示されており、ファラオ頭部、獅子頭形杯、古代地中海のコアガラス香油瓶やビーズの数々、繊細の極致であるモザイクガラス、色とりどりに銀化したローマンガラス、正倉院にも伝わったカットガラス、中国で瑠璃や玻璃と呼ばれた玉類などが展示されていた、きれいなものが多く、また、古代にこんなに精巧なものが作られていたことに驚く

館内は写真撮影禁止だが、企画展の一部の作品のみ撮影可能だった。
(アラバスター文壺、東地中海地域あるいはイタリア、1世紀)


(碗、東地中海地域、前2-前1世紀)


(円筒形容器、ササン朝ペルシア、7世紀)

南館は展示室がいくつかあり、エジプト、西アジアとギリシア・ローマ、南アジア、古代中国、ペルシャなどの古代美術作品(像、彫、リュトン、鉢、モザイク画、フレスコ画など)が展示してあった。

展示作品はいずれも古代のもので、日ごろあまり鑑賞することがないので、興味を持って観られた。個人的な好みは16世紀以降の絵画にあるので、作品としてどうしても観たかったものが観られたということはなかったが、美術館自体が一つの美術作品となっているので、そこを訪問して鑑賞できたということだけで満足だ。

さて、この美術館については、詳しいことはあまり調べないで来たが、実際に鑑賞してみて、その広さ、豪華さ、雄大さなどに驚き、いったいこの美術館の所有者は誰だろう、と思った。入口を入ったところのロビーから見える信楽の森林の少し先に、何か大きな建物と塔のようなものがくっきりと見える、あれは何ですか、とスタッフの方に聞くと、「あれはこの美術館のオーナーの作った宗教団体の本殿とベルタワーである」とのこと。

ネットで調べると、この宗教団体とは、神慈秀明会(しんじしゅうめいかい)、教祖は、世界救世教の教祖である故岡田茂吉氏であり、この教団の立教者(開祖)は、世界救世教秀明教会の会長であった小山美秀子(みほこ)氏である。この教団は、世界救世教の分派教団の中では最大規模の団体であり、公称信者数は35万人とされている、そして小山美秀子はこの美術館の創立者である

どうりで金があるわけだ、ロビーから見える本殿は富士山をイメージした屋根で、霊峰富士の景色が美術館の借景としてロビーから見えるというわけだ、美術館のほうが後からできたそうで、こう見えるように美術館を設計したようだ

しかし、宗教団体がこんなすごい財産を持っているとは、いやはや・・・そういえば、創価学会も東京の八王子に東京富士美術館を持っている

複雑な気持ちになって美術館を後にした



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