自宅で映画「イミテーション・ゲーム」(2015年、米=英、モルテン・ティルドゥム監督)を観た。
この映画は第2次大戦時、英軍が独軍の暗号エニグマを解読できずに苦労していた時、解読できる能力のある天才数学者アラン・チューリング(ベネディクト・カンバーバッチ)と他の天才数学者がチームで苦労してエニグマ解読をする物語。
解読するまでに軍の上層部と衝突し、仲間とも衝突するチューリング、その彼が選んだ天才の若い女性のジョーン・クラーク(キーラ・ナイトレイ)との恋物語や彼の性的嗜好が絡み、彼女のアドバイスでチームメンバーとの関係も改善し、解読マシーンを作って対応する、そして夜のバーでチームメンバーで飲んでいるときに、思わぬ偶然で解読のヒントをつかむ。
解読できるまでの話で1時間半、後の30分くらいはどういう話になるのだろうと思っていたら、実は、そこからがこの映画の本当の核心であった。暗号解読によって独軍の戦艦、Uボート、航空隊の位置を正確に把握できたので直ぐに軍の上層部に報告して味方の犠牲を防ごうしたところ、チューリングはその連絡を必死に阻止する。その意図は・・・・
この映画は実話をベースにしているそうだ、この最後の30分でイギリス(MI-6)はエニグマ解読で把握した敵軍の配備情報を使って、自国軍や国民の誰を守って誰を犠牲にするか毎日検討を重ね、人知れず連合国軍を勝利に導いた、エニグマの解読なしにスターリングラード、ノルマンディイーなどの勝利はなかった、解読により連合国軍は戦争終結を2年以上早め、1400万人以上の命を救ったと歴史家はみている、とのテロップが流れる。この事実は50年以上も機密だった。それは多分、政府最高首脳はエニグマ解読の情報を明らかにせず、自国軍にさえ知らせずに対処したと映画の中でも述べられていたことがあったからだろう。
この辺は勝者によって作られた映画なので美化や誇張があるだろうが、日本人が学ぶべきは勝負に徹する白人リーダーの冷徹な計算である、今の日本人リーダーは大丈夫であろうか、それが心配だ。有事になればそれが国の存続に直結するからだ。
身内に犠牲者が出ても、より大きな勝利のためにはそれを受け入れる、という冷徹な判断は以前みたチャーチルの映画(こちらを参照)でもあった。イギリス人はこういう冷徹な指導者がいたことを誇っているのだろう。情緒的になりがちな日本人からこういうリーダー出るだろうか。