美意識を磨く 文田聖二の『アート思考』

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紙に鉛筆

2012年03月20日 10時06分45秒 | 日記
現代の作家であるロバート・ロンゴのドローイング。
トランポリンを使い、モデルが空中で静止した瞬間を捉えたポーズを描いたもの。
紙に鉛筆とチャコールといった一般的な方法(写実)で描いたものです。
作品の新鮮さや魅力は画材の種類や技法ではなく、作家の視点やアイデア、欲求だということが伝わってきます。

手描きのメディア

2012年03月20日 09時44分42秒 | 日記
ジャコメッティのドローイング。
彼は彫刻作品だけではなく絵画作品も多数描いています。
そもそも画家、彫刻科、版画家と分けるのは日本特有で、海外ではジャンル関係なしに表現の幅をひろげ活躍しているアーティストが少なくありません。
空中で静止した瞬間のドローイング作品を発表したロバート・ロンゴもドローイングから立体、インスタレーション、映画まで制作したりしています(ビートたけしが出演したキアヌ・リーブス主演「JM」)。
ジャコメッティに話を戻しますと表現が細長いデフォルメが特徴で、どんどん作品が晩年になればなるほど細長くなっていきました。油彩作品では構造や空間性を意識していることがわかります。                                
「油彩」とか[油絵]とか、芸大では「油画専攻」なんていったりします。「油絵」といういい方はどこか「絵描き」や「画家さん」をイメージしませんか?
欧米から入ってきた技法を「洋画」と呼んでいた芸大でも「日本画」に対して日本の「油画」という意味があるようです。
なので「油彩」という言い方は、そのジャンルや職業を示すのではなく、その画材や技法を用いるといった意味で使うことが多いです。
たとえば版画を主に制作している作家が「先日の水彩スケッチを今回は油彩でやってみた。」といった感じで使います。         
世界のアーティストは、その扱っている画材や技法でジャンルを分けるのではなく、テーマや目的によって表現手段(メディア)を多用しています。
大学では彫刻を専攻し、卒業後は写真作品を発表している人がいますが、絵画(平面)畑出身の作家とは違った視点でファインダーを覗いていることが分かります。