美意識を磨く 文田聖二の『アート思考』

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『アートにおけるエッジエフェクト化』

2020年02月24日 11時18分34秒 | 日記
『アートにおけるエッジエフェクト化』

※Edge effect(エッジ効果)とは、
生態学において、生物の生息地の境界部分が外部からの影響を強く受けることを示す。
エッジ効果は、林の辺縁部分や、孤島の海岸線近くの区域などに生じ、その範囲の環境は林の中心部や島の中央部とは異なる特性を示す。
このエッジ効果により、生物が進化をしてきた。


他分野との多角的な情報交換ができるエッジエフェクトを生み出すことが、ヒトや社会が成長する条件だと考えています。
いつの時代もそれまでのアートシーンの枠を超えて社会で注目(支持)される新しい価値観“現代美術”の研究が求められてきました。進化するビジネスの領域においてもArt思考や美意識、創造性が必要とされている今日、実社会を直視して問題点を的確にとらえて、限られた専門性の壁を越えて協働していく「芸術教育」が必要とされています。



SDGsを目指し始めた世界で、デザインやArt思考が重要視されていることやSTEM教育に[Art]が加えられたSTEAM教育が次世代に求められているように“Art”の社会的役割がますます見直されてきています。日本でも藝大・美大・美術学校で研究する学生の思考力や創造性が実社会で増々、必要とされている昨今、その才能を社会で機能させていくために他分野との協働を実践する『アートにおけるキャリア教育』の研究が重要視されていくと考えています。





持続的な経済成長社会であるSociety5.0の実現のために未来志向を持ちながらもアナログへの回帰、伝統文化の継承の重要性が高まってきている社会で、文化庁や文部科学省の教育改革だけではなく企業や行政の「働き方改革、社会人の学び直し」と社員教育、職員研修も“新しい教育”に取り組んでいます。
アートシーンだけに留まらず、様々な分野で「正解のない問題」への対策で迷走している行政や様々な企業、伝統文化の工房、リカレント教育やSTEAM教育の現場などで、多様な人脈との協働関係を築き多角的な視点を活かした“創造性の促進”が求められています。
想定外な実社会のあらゆる場面で、クリエイティビティを開放し機能させる『アートにおけるエッジエフェクト化』といった従来の美術教育では実現できないArtキャリア教育の必要性を感じています。
「アートにおけるキャリア教育」によって磨かれる“感覚や創造性”は、想定外な社会環境に順応して生き抜いていく力を身につけていくために子供から大人まで生涯、継続して必要なものなのです。



現社の問題に合致した“教育改革”を実現するためには、アートと他分野との協働により多角的な視点で思考して、実社会における諸問題の本質を洞察し創造性によって提唱していく『Artキャリア教育』の研究者と実践プログラムを継続的に牽引していく各分野でのリーダー的存在が必要だと考えています。

「なぜ、人はアートを生み出したのか」

2020年02月22日 08時47分30秒 | 日記
「なぜ、人はアートを生み出したのか」

身近なもの、見慣れているものでも改めて見直すと新しい発見があります。誰もが知っていると思っている歴史的な出来事でも常に時代時代の状況で見直され、塗り替えられています。
情報は、更新していくのです。
じつは「知っているつもり」でいる大半のことが自分の勝手な「思い込み」なので、「真実に近づいている」といえることは、いま実際に深く関わっていることだけだと言えます。

なぜ、一本の線を描くにも意識の違いがでるの?
なぜ、光と影にこだわるの?
なぜ、人は絵を描いてきたの?

なぜと関心を持つことが、楽しさのはじまり。
「どうして」が分かると
今まで見えていなかったことが見えてきます。


ちょっとだけアートのはじまりの話

昨今、アートが教養や教育だけではなく、創造性や美意識、アート思考などこれまでとは違った視点でビジネスマンにも注目され見直されていますが、そもそもアートって何?でしょう。アートは、美術館や美術の教科書に載っていた画家や彫刻家がつくった芸術作品?でしょうか??アートには、「影響」「技」「術」「創造」…さまざまな意味があり、国や時代の違いによってもその意味は変わってくるし、ちゃんと定義づけされていません。

学校教育や社会人講座など、さまざまな世代に向けたアート指導の現場で
「どんなアートをしたいですか?」という問いに対して「写真、絵画、映画、彫刻…がしたい。」といったモチベーションではなく限定された制作手段を答えてしまう人がほとんどです。「どんなことがしたいですか?」と質問をかえると
「旅、開発、物語つくり、ゲーム、冒険、新発見、人助け、研究、語り部、教育…」と答えます。そんな時代を象徴する人々のさまざまな欲求・願望、ワクワクさせてくれるモノゴトこそ、その時代のアートといえるのです。

アートのとらえ方によって”芸術のはじまり“を古代エジプトのピラミッドにファラオと一緒に埋葬された副葬品と考える人もいますし、美を定義づけた古代ギリシャ彫刻、あるいは4万年前の石器時代に描かれた最古の壁画だと考える人もいるのです。そうなると人類初の芸術家は石器人に生まれたとも考えられるのです。


アートの「原因と結果」

19世紀フランス パリでは、若き芸術家たちがモンマルトルの丘のバトー・ラヴォワール(洗濯船)を憧れ愛し、引き寄せられるように集まり、お互いをリスペクトし切磋琢磨していました。
そんな街の小さな一角から世界を大きく変える芸術作品(新しい価値観)が次々と生み出されていきました。



産業革命が起こったイギリスでもそれまでの芸術を引き継ぐ保守的な新古典主義とその頃、時代を台頭した革新的なロマン主義の芸術家たちが、それぞれの信じる表現を主張し対立しながらも創造性を高めていき、サイエンス、アート、思想、世界の経済までも大きく揺るがす爆発的なパワーを発信していたのです。





14世紀のイタリアのルネサンス期では学術的な縛りがなく、お互いの考え方や気づきと技術をぶつけ合いながら研究を繰り返し、数千年前の古代ギリシャ人は自由を愛し身体と精神を調和させ、古代エジプト人は、誰も観たことのない死の世界を書に綴り想像力を覚醒させていきました。





数万年前、最初の芸術家(石器人) が、天敵であるライオンの頭をもつ人型の彫像を象牙から造り、日常の記録、思考、伝達手段として洞窟に絵を描き、アートで飛躍的な進化をしたのです。
このような時代背景からアートの成り立ちや発展の「原因と結果」が読み取れるのです。





観察眼

2020年02月20日 02時00分07秒 | 日記


デッサンを描くことで必要な観察眼とは


表面的な描写力だけではなく、

対象となるものごとの構造や

その周りからの影響を読み解き、

理解する力である。


このリサーチ力、思考力、伝達力は

絵を描くことにとどまらず、


様々な仕事にも必要とされる。


「デッサン」は、モチーフを単に写し取るだけの

表面的な描写の作業ではない。

「デザイン」という言葉の語源と同じラテン語の

designare(デシネーレ)。

計画を記号に示す、図案、設計図、意匠の本質を捉える意味がある。




線一本描くにしても集中力とイメージが大切。

クロッキー力は、書道や華道、茶道,料理、スポーツ、音楽など様々なことに繋がっていく。

上達させるには描く枚数も大切ですが、

やはり何を意識して描くかで

随分と成長の仕方に違いがでてくる。



『芸を志すものは、まず基礎を学ぶ』

2020年02月19日 23時08分39秒 | 日記

『芸を志すものは、まず基礎を学ぶ』

「型ができていない者が芝居をすると型なしになる。メチャクチャだ。」
「型がしっかりした奴がオリジナリティを押し出せば型破りになれる。どうだ、わかるか?」    立川談志


“基礎”とは専門的な知識でもスキルのすり込みでもなく、使い慣れていない感覚を呼び覚ますことだと考えています。

アインシュタインが「直観は聖なる授かりものであり、理性は誠実なる従者である。私たちは従者を敬う社会をつくり、授かりものを忘れてしまった。
人の脳に備わる本当に大切な能力、知覚・直感・想像力・創造力を近代社会や教育で、ないがしろにしてきたことが現代に影響している。」といった言葉を残しています。


また、
「凡庸な人間は、注意散漫に眺め、聞くとはなしに聞き、感じることもなく触れ、味わうことなく食べ、体を意識せずに動き、香りに気づくことなく呼吸し、考えずに歩いている」
とレオナルド・ダ・ヴィンチは嘆き「あらゆる“楽しみ”で、感覚的知性を磨くことができる」と提唱していました。


社会に必要とされる美術教育

2020年02月19日 22時36分20秒 | 日記
社会に必要とされる美術教育


美術史は可視化された思考の歴史であり、ヒトの進化の歴史でもあります。

数万年前、最初の芸術家(原始人)がライオンの頭をもつ人型の像を象牙から彫り出し、日常の記録、思考、伝達手段として絵を描いて認知革命を起こしていたようにヒトの思考の進化を芸術が促進させていると考えています。


芸術と科学、社会背景など多角的に西洋美術史を見直し、古代から現代までを4つの構造に分けてみました。


【アートの起源:古代サバイバル(狩猟社会)から中世宗教(農耕社会)の時代】
ヒトが絵を描きはじめてから地中海をゆりかごに育ったアートを見直し、アートがなぜ生まれたのか、その社会的役割を読み解く。


【アートの発展:ルネサンスからバロック、神の時代から人の思考・権力の時代へ】
社会でのアートの役割とその目的の変化に伴って、求められる題材が変わり絵画技法も進歩した。時代のエポックとなる名画を鑑賞しながら社会とアートとの関係や芸術家の役割、社会とアートの発展を研究する。


【アートの革命:新古典主義・ロマン主義(工業社会)、産業と芸術の革命】      
革命の時代。アートも社会への影響力が問われ始め、創作研究と新しい価値観の発信手段になった。そんな時代にイノベーションを起こしてきた芸術家たちの創造性が、後世へどのように影響していったのかを検証する。


【アートの多様化:印象派と近代(情報社会)、加速する多様化】         
サイエンスの進歩と共にアートも多様化していき、創作の目的も手段も拡大していく。古代から続くアートを様々な視点で受け継ぎ、新しい価値観をもった芸術家たちが社会に影響を与えていった足跡を見直す。


19世紀に産業革命が起こった西洋社会で、文明の急激な発展に翻弄されて取り残された人々が閉塞感に苛まれたように現代でもAIの発展によって、人の仕事が奪われると懸念されています。
どの時代でも創造性を身につければ、芸術家のようにサイエンスの発展に刺激されることで新しい価値観を発見し、人の可能性が拡がっていくと考えられます。
これから先の未来もアートとサイエンスが人の成長を推進していくことでしょう。