美意識を磨く 文田聖二の『アート思考』

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遠近法

2012年04月04日 19時56分22秒 | 日記
パースペクティブ = 遠近法
遠近法とはざっくりと言うと平面上で奥行きやスペースを感じさせる、あるいはイリュージョンをみせる技法です。
水墨画のように濃淡で奥行きをみせる“空気遠近法”、日本の絵巻物のように空から俯瞰して、雲の重なりの間から屋根の無い家屋の様子などを見るような“吹抜け屋台”、西洋のルネサンス以降に完成された“透
視図法“など様々な遠近法があります。
例えば、アニメの世界でも空を飛び回るドラゴンボールのような世界は3点透視図法が使われ、サザエさんやちびまる子ちゃんの部屋の中などは斜投影法といった遠近法が使われています。

今回紹介している画像は、ボッティチェルリの“ビーナス誕生”とダ・ヴィンチの“最後の晩餐“”モナ・リザ“です。
これらを比べるとダ・ヴィンチが如何に遠近法の研究をしていたかが分かります。
情報が複合的に重なってくることで信憑性が増すように名画“モナ・リザ”は、様々な遠近法(空気遠近法、透視図法、重ね(吹抜け屋台と同じ技法)が複合的に使われています。そこらヘンが同時代の名画の中でも目立ってしまうリアルさがあります。
さらに薄いベールを頭にまとうことで輪郭線をソフトにし、対照的に手の輪郭をハッキリとみせることで手前にあるインパクトを出すことも遠近法の技術と言えます。やっぱりダ・ヴィンチはすごい!

目の前のものが目立って大きな問題としてみえてしまうが、視点を変えると違うものが大きくみえてくるといったことを哲学者のニーチェは“遠近法的思考”と呼んでいます。
遠近法は、絵画の世界だけでなく人生にも役立つのです。

西洋の展開

2012年04月03日 22時28分54秒 | 日記
西洋美術の展開
初めての絵画といえば,1万5000年前に描かれたラスコーの壁画(フランスのアルタミラ)といわれていましたが、最近,3万年前に描かれたというショーベイの壁画が発見されました。
その後、紀元前3000年からエジプト文明の王家の墓に埋葬された副葬品がアートの始まりと考えてもいいでしょう。
その長い歴史の後に地中海をゆりかごとして,ギリシャ、ローマ、ビザンチン、ルネサンスと西洋美術が展開していきます。
下記は,その美術の暗黒時代と呼ばれた”ビザンチン(宗教美術)”からの展開です。

5-14世紀
ロマネスク ・ ゴシック ・ 国際ゴシック ・ 初期フランドル派

14-16世紀
ルネサンス ・ 盛期ルネサンス ・ 北方ルネサンス ・ マニエリスム

17世紀
バロック ・ 古典主義

18世紀前半
ロココ

18世紀後半から19世紀
新古典主義 ・ ロマン主義

19世紀
写実主義 ・ ビーダーマイヤー ・ ハドソン・リバー派 ・ バルビゾン派 ・ ラファエル前派 ・ ジャポニスム ・ 印象派 ・ ポスト印象派 ・ 新印象派 ・ クロワゾニスム ・ ナビ派 ・ 象徴主義 ・ アーツ・アンド・クラフツ ・ アール・ヌーヴォー

20世紀前半
モダニズム ・ アバンギャルド ・ フォーヴィスム ・ キュビスム ・ ダダイスム ・ 未来派 ・ ブリュッケ ・ 表現主義 ・ 新即物主義 ・ ミュンヘン新芸術家協会 ・ 青騎士 ・ シュプレマティスム ・ 構成主義 ・ 新造形主義 ・ デ・ステイル ・ バウハウス ・ アール・デコ ・ シュルレアリスム

20世紀後半
アンフォルメル ・ 抽象表現主義 ・ コブラ ・ ネオダダ ・ カラーフィールド・ペインティング ・ ミニマリズム ・ ヌーヴォー・レアリスム ・ ポップアート ・ フルクサス ・ ポストモダン ・ コンセプチュアル・アート ・ ランド・アート ・ パフォーマンスアート ・ ビデオ・アート ・ インスタレーション ・ 新表現主義 ・ アウトサイダー・アート ・ メディアアート

昔は,何千年、何百年で歴史が動いていたが,近代,現代では数年で流行のように生活スタイルが動いているのがわかります。

絵の威力

2012年04月03日 21時54分38秒 | 日記
私の父は、数年前に紺綬褒章をいただきました。その理由は何十年も描きためてきた油絵作品のほとんどを公共施設や必要とされている方へ無償で提供したからです。
父は洋画家であり教育者でもありました。日常の中で美術史を語り、絵画表現の現場で制作する姿を私にみせてくれています。
しかし、私が実際に影響を受けたのは、一生懸命しゃべってまわりの人を喜ばしたり、風呂好きで入浴を楽しむために毎朝、風呂掃除などをしたりしながら、自分のスタンスをみつけて生活する父の姿なのです。
また、父の描く絵画のどれがすばらしいということよりも50年以上も描き続けているということが何よりも父が父親であり、画家であるという説得力を感じています。

アーティストの生活、姿やデッサンの効果は,この日本では一般的に知られていないというか違った見方をされているようです。
私はアーティストの活動やデッサンを学ぶことが、日本の現代社会でもあらゆる分野でその威力をまだまだ一般的にひろく発揮できると感じています。その効果の対象として、教育、医療、スポーツ、科学、政治などその可能性ははかりしれません。
その威力、効果の中にバランスの崩れた環境によってアイデンティティーを見失いかけた人の精神状態を修復し和らげる作用があります。また、物事を遂行するための最良のシステムを解明できる可能性も秘めています。

教育の面での一例として、ニューヨークの現代美術館でみかけたを紹介します。作品の前の床に10数名の生徒を座らせて、ひとりひとり自分の推測で作品の解説をさせては場所を移動するといった行為を繰り返していました。
日本では、美術館で行う授業は大抵美術史とか、美術作品鑑賞とか美術の枠内から出る発想がありませんが、その時、ニューヨークの美術館で行われていたのはディベートやプレゼンテーションの授業であって美術品を格好の教材として利用していただけなのです。
これも美術館の活用の可能性をひろげた効果と言えます。
このような実現可能な取り組み方が、他にもたくさんあるにもかかわらず、少なくとも日本には芸術の素材やシステムを社会的にひろい分野で活用するためにコーディネートする仕事が少なく、その効果の研究が十分に成されていません。
このようなデッサンの未開の部分を開拓していこうと考えています。