おかえりのすけBOOK

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Pinpoint Gallery 製本ワークショップ

2005-06-02 | 製本
今日は製本していてダンボールの角で親指の腹を切りました。わたしは紙でよく手を切るのです。紙の扱いに慣れたひとの手つきをながめていると、紙に湿度を感じる。しっとりと、手の動きによりそってそのつど紙がまとわりつくように動き、その近しさに嫉妬をおぼえるね。しかし実際はそんなことはなくて、紙たちは、作業するヒトの肌よりその環境と近しく在って向かってくる。痛いです。即バンドエイドです。

ピンポイントギャラリーの、夏のワークショップ申込受付が6/10よりスタート。六回目となる小井戸幸子氏による製本ワークショップは、「ソフトカバー」と「画帳(ケース付)」とのこと。昨年の模様もウェブサイトで見ることができます。
ピンポイントギャラリー/05 Summer Workshop Information

非石油系インキ

2005-06-02 | 本、雑誌
『通販生活』は、非石油系インキで刷っているんだそうです。いわゆる「大豆油インキ」にも割合は少ないが石油系の溶剤が含まれているので、非石油系インキとは言い切れない、それで新たに開発したのだそうです。特許権を放棄して開発費をおさえたが、印刷時にやはり一手間必要なようで、まだこのインキを使っている例が他にはないという。
カタログハウスのウェブサイト/ほんとうにちゃんとエコしてるの?

石油に替わって大豆をはじめとした植物系の油を用いるようになったことは大きな変化ですが、ソイシールさえあれば「環境にやさしい」印刷物だとわたしたちが思い込むようになったのは妙なことです。おかげで刷り物にミニチュア米国旗がいっぱいだ。
アメリカ大豆協会/ソイシールについて

トラックバックの不毛

2005-06-01 | Weblog
数日前から、新着トラックバックを表示しないことにしました。そもそも「トラックバック」には違和感ありましたが、実害ないのでほっといたんですが、やはりまちがいなく無用との判断ができたのでそうしました。歩く人のうしろからベル鳴らしてやってくる自転車ありますね。ベルじゃなくて口ですみませーんってなんで言えないのかなぁと思うのですが、それと似たところがあります。それに、言いたいことは直接言え。ハイエナは好きですが、ハイエナのようなヒトは気味悪いです。
田川市/ハイエナ
アフリカの野生動物たち/ハイエナの仲間

自費出版の本展

2005-06-01 | 本、雑誌
スパイラル・マーケットで「自費出版の本展」(6/1-15)。「デザイナー、コピーライター、フォトグラファー、画家、作家など約50名のものづくりに携わる人達が自費で制作した本や小冊子を集めた」とのことで、そのあたりに興味のあるひとには馴染みの冊子が、一堂に会しています。bookbar4の本も自費出版なんだけど全く対象外だったみたい、声がかかりませんでした。おっと極地的地震がいま。東京です。犬がワンワン吠えています。
展をひととおりみたところ、詩集的ジャンルが少なかったのは、このたびの展の主旨に反するのか企画者が嫌いなのか、そもそも「詩」の絶対的孤立なのかわかりませんが寂しいことです。ほんものの現存する詩人たちの声をもっと、作品として詩壇に発表するのとは別のところで汲み取り伝えねばなりませんと思います。それはかなりだいじな仕事のように思えます。

『ウィスキー』

2005-05-31 | 映画
『ウィスキー』 2004 ウルグアイ=アルゼンチン=ドイツ=スペイン 
監督:フアン・パブロ・レベージャ、パブロ・ストール
 

撮影時「はい、ウィスキー」って言われて顔がほころぶのかどうか疑わしいところですけど、「はい、チーズ」よりは口が横に開くかも。でもそれなら「はい、ウィスキー飲もうよ」まで言ってくれ。

ふいの申し出にそれなりにわくわくするマルタ。長年いっしょに仕事していながら、きっとハコボには得意の逆さ言葉を言ったこともなかったのだろう。髪を整え、饒舌になってゆく。母親の介護をひとりで負ってきたハコボに、弟のエルマンはわびて金を渡す。性格が全く違う兄弟、それぞれの不器用。そのあいだで、別の種族の不器用マルタが「振れ」、そのわずかな振動が周囲に伝わる。どうでしょう、偽装夫婦なのはとっくにお見通しで、弟はそれほど絶好調ではなくて、マルタは手切金と思い身を引いただけであって、そのすべてにハコボは気づくことなく、マテ茶飲みながらまた古い機械まわして靴下を作り続ける、のか。

兄弟は常に対極にありますか? 親という同一の視点があるから対極がなりたちやすいです。ふたりは互いに自分の商売である靴下をプレゼントするでしょう、兄は、商品自体は安いけど丁寧に包装する、対して弟は、デザインも品質も値段もいいのだろうけれど、値札をはずすことにも気がまわらないといった風。確かに日常は、身近な誰かの態度に触れて、それを糧に逆をいくのは楽。弟妹の苦しみはその先だ。

リゾートホテルで出会った新婚夫婦とのからみがいまひとつわかりません。彼女は金の指輪を、狙っていたの? 

『無意味の原像』

2005-05-28 | 
奥成達氏の新詩集『無意味の原像』が出ました。表紙挿画は合田佐和子氏、発行はジョン・ソルト氏のhighmoonoon社、製作はbookbar4、くわしくは奥成達資料室からご覧下さい。

 虹の
 梱包を
 解
 くと
 跳ね
 る
 想
 いが
 身
 を
 よじ
 ら
 せ
 る暗

 い
 緑
 の
 魚
 の
 群れ
 の
 覆われ
 て
 いた
 泡
 を吹く
 風
 の味

 「風味」より一部抜粋

都市で青いウンコ

2005-05-27 | 
「都市」創刊号(1969 ) 田村隆一編集 詩を中心とする文学・芸術季刊誌

吉本隆明、金子国義、種村季弘、西脇順三郎、飯島耕一、加藤郁乎、吉岡実、入沢康夫、中村稔、吉増剛造、金子美恵子、高橋睦郎、萩原葉子、塚本邦雄、唐十郎ほか。詩作品の多くには自他注釈がほどこされている。堀内誠一の構成によるアジェやブレッソンらの写真、「底」と題された吉岡康弘によるお尻写真も。巻末には原稿募集のよびかけが。テーマは、汚物としての人間、または、何よりもだめな日本。

表紙:絵=野中ユリ、構成=神田昭夫
編集:田村隆一、守谷耀子
製作:矢牧一宏(矢牧一宏年譜/ふくろう叢書/皓星社参照)
発行所:株式会社都市出版社
グラビア・オフセット印刷:麹町美術印刷
活版印刷:光明社
製本:栄久堂製本

吉岡実の詩の世界の吉岡実詩集《神秘的な時代の詩》評釈1969年の項によると、同年、田村隆一の命名により都市出版社開業、「都市」創刊するも本号四冊と別冊一冊で廃刊。このころ田村は思潮社より第三詩集『緑の思想』を刊行しているが、その数カ月前吉岡に「おれは今度『青いウンコ』という詩集を出す」と言ったそうです。

人間学研究所/田村隆一詩集『緑の思想』

豆腐はジョニーで番長で

2005-05-25 | 料理
豆腐好きですからよく食べます。素材やパッケージに凝ったものはエスカレートしてどつぼはまってますし、コンビニの日持ちどうふは研究進みすぎてすでにエサ、その振れのなかならもう時と場合によってどれだってよいのですが、見つけたら買うのはやはり男前豆腐店シリーズ
「風に吹かれて豆腐屋ジョニー」はパッケージの曲線がスプーンでしゃくるによろしく、器にうつさず薬味と醤油でぺろりと食べます。「喧嘩上等やっこ野郎」は、かかってこいよ、上等だぜ!って言われるんですけどいや別にかかっていきたくないですと言いながらさきっぽつまんでやはり器にうつすこさないで食べたいわけです。「厚揚げ番長」なんかはここらじゃ顔の……って言うんですけど、はっきり言ってここらじゃ顔じゃないし、がんも番長にゃ負けないぜ!って言うけどあんたらこの売り場で隣あうだけよね、など、夜のスーパーで豆腐らと黙会話しながら30円引きシール貼られたジョニーや番長を連れ帰って一杯やるのがよい。食品もペット化か、いやでもうまいから。いやでもかわいいからと一緒か。

この男前豆腐をいちはやくとりあげたのはライターの奥山貴宏氏とのこと。ゆっくり眠れジョニー・豆腐、in 山形。

和光の製本家たち

2005-05-25 | 製本
和光大学表現学部イメージ文化学科津野ゼミナールによる「製本展」が、同大学図書館梅根記念室にて開催中(5/23-27)。東アジアに焦点をあてて本と紙の研究をおこなった昨年度は、和綴じ製本の基本を学んだり和紙の手漉きも体験したゼミ生+αが、最後にそれぞれがイメージする和綴じ本を、内容から素材の選択や装丁まで各自おこない、その提出作品が展示されている。

このゼミにわたしは製本相談員的にときどき行くのだけれど、ここ三年で基本的な洋綴じと和綴じを一回ずつ教えただけ。あとはゼミ生たちが勝手にしっかりやっていて、無謀な発想を時間をいとわず力づくででもかたちにしていくようすは、驚きであり心強くもある。木やビニールを使うにしても、本として開きがよくて丈夫であるためにはどうすればいいのか、苦心がみえる。いいぞ、和光の製本家たち。パチパチ。

昨年度の展示のようす

福井良之助孔版画展図録

2005-05-24 | 本、雑誌
現在確認しうる全作品を収録したという福井良之助展の図録がようやく到着。印刷も美しく、とくに鉛筆で描かれた作品の、堅さと粉末感までが呼び起こされるのはすばらしい。装丁は角背ハードカバー、背の部分だけ茶色の布、表紙は冬枯れの木立を描く孔版画の一部、裏表紙はまさにその作品を彫っているところだろうか福井のすらりとした手の写真。抜群の選択。今年一番の図録となりましょう。はて値段はいくらだったかなと思い出してみるになんと2000円!!!!
佐倉市立美術館で観たときに気になってしょうがなかった一枚の下絵もありました。それは《小さな世界》(1957)の下絵で、その空きスペースに、やがて《小花の少女》(1957)に結実したのであろう、いたずら描きのような最初の瞬間をとらえた走り描き。

福井良之助孔版画展図録
2005.3.8発行
学芸担当:黒川公二、柴田純江、住田常生、吉田尊子
編集:黒川公二
企画協力:株式会社アート・ベンチャー・オフィスショウ
海外作品調査:南平妙子、スティーブ・マロニー
翻訳:南平妙子
デザイン:梯耕治
印刷:光村印刷株式会社
発行:岩手県立美術館、佐倉市立美術館、高崎市美術館