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3RD EYE STUDiOS
街角の映像制作下請け零細業者のブログ




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妙なタイトルだが、これが僕の持論。不思議なことに記憶に残る映像は稀であるが、音はとても記憶に残る。タケモトのピアノのCMが話題になったのはあの音楽のおかげであって、決して映像が原因ではない。名作と呼ばれる映画にしても、かならず素晴らしい音楽が鳴っている。音楽が一番。間違いない。間違いないのに、そのことを忘れているディレクターが多すぎる。

映像に合わせた音楽を選ぶ作業を「選曲」と呼ぶ。音響効果さんの音の記憶とセンスに頼って、膨大な音楽の中から最適の答えを導き出してくる、とてつもない作業だ。音響効果さんの腕の見せ所でもある。ただしテレビを見てると安易な選曲が多い。タレントが自転車を乗るシーンにはクイーンの「Bicycle~♪」が流れるし、お金がからむところではピンクフロイドの「マネー」が選ばれていたりする。あるいはABBAの「マネーマネーマネー」だ。流行の音楽はどの番組でも使うし、なんだかなあ、という気がする。

僕は後から音楽をつけるやり方が苦手だ。一番最初に音楽をつけることが多い。映像を作る前に音楽をつけるとなると音響効果さんにお願いするわけにもいかず、自作になることも多い。そのほうが作る映像をイメージしやすく、音楽と映像が一体化したものができやすいからだ。テロップを出すタイミングやカット変わりが音楽に合っていると気持ちがいい。ビデオクリップの映像と同じやり方だ。

最近は自分で音楽を作る時間がないので、作曲家さんに音楽を作ってもらう。その際、映像の目的や表現したいことを考慮して、まずはBPMを決める。ナレーション原稿が決まっている場合は、そのシーン転換にタイミングを合わせて作曲してもらう。

もちろん、その映像のナレーション原稿は、試写の段階を経ていくにつれ変わっていくから、音楽の長さも変わる。そのたびごとに曲を作り直していってもらうのは大変だから、ギリギリまで自分で音楽の長さは調整し、最後の段階で音楽を決めてもらう、という行ったりきたりの作業が繰り返される。

そういう細やかな作業によって、映像と音楽の相乗効果が出てくると僕は信じている。できた映像に音効さんに音楽つけてもらう、以上おわり、なんてやり方はサイテーだと僕は思う。しかも、音効さんが持ってる音楽なんて、そこらで売ってるみんなが使うフリー素材なんだから。たとえば映像を練りながら音楽も作ってもらう、、、これが映像制作の最高のやりかただろう。

もうひとつ重要なのは録音。同録、つまり現場で音を録るという映像制作においては必須の工程だ。セリフやインタビューはもとより、音楽ライヴの収録、現場の環境音やSEの録音など、いろいろある。マイクの仕込み方やガンマイクの振り方、フィールドミキサーでインプットレベルの調整、空調音や飛行機の音をきらうなど、音の収録は絵の収録より難しいかもしれない。何しろ絵はミスってもなんとかなるけど音はミスっていたら致命傷ってことは結構あるのだ。まずは100%の信頼性、それに余裕があるときは芸術性の追求である。僕はそこまではできないが録音技師の手にかかると素晴らしい音を録ってくれる。

ほんとうに駆け出しDの頃、テレビ番組のロケでMCが道路でトークするというのを撮ったことがある。OKを出したんだけど後で聴いたらカラスがカーカー鳴いていてうげーとなり、なんで現場で言ってくれなかったのと録音してた人に恨めしく思ったが、ちょうどMCの人がナレーションをやったんでアテレコをやってもらうことにした。ところがやっぱりスタジオで録った音と現場で録った音はぜーんぜん全く100%別の音なんだよね。同じ人間の声でもまるで違う。ということで泣く泣くカラスの声が入っているのでOAすることにしたんだが、そういう失敗って音はどうしようもないんだよねやっぱ。

ということで、音は重要ですよという話。




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