拙ブログで何度も書いている被写界深度の話。mini35digitalを使ったドラマ風VPの撮影の直後、別作品で似たようなイメージ映像を今度は池上のDVCAMカメラで撮った。ま~、これがつまらない。フォーカスという決定的な表現方法が欠けているため、なんだか三次元から二次元の世界に戻ったような気分だった。
最近の映画、特に邦画はハイビジョンビデオカメラを使って撮っているものが多い。僕の記憶では2001年公開のフランス映画「ヴィドック」がHDビデオカメラを使った最初の映画のはずだ(確か「ヴィドック」はVX2000も使ってたように思う)。スターウォーズep2より前に採用したことで話題となっていた。
あれ以来、HDカメラを使った映画は飛躍的に増えたと思う。HDビデオカメラはCG合成にはぴったりだし、メディアがテープだからバカ高いフィルムのような「あああ予算が~」みたいな恐怖がないので、低予算の邦画では仕方がない一面がある。でも映画なのに被写界深度が深い映像を見たら興ざめしてしまう。「ヴィドック」や「SW」のようにHDビデオカメラを使う理由がある作品は許せるけど、たいていの場合単に「安いから」使っているだけなので、絵も安っぽい。僕は被写界深度に自分でも異様に思うほど固執しているのでそのことに気を使わない映画はあまり納得できない。
テレビドラマはそもそもビデオ撮影が基本だから、非常に苦心しながらボカシを作っているのが良く分かる。スタジオセットでの撮影ではボケはほとんど不可能だが、外ロケのときは長ダマを使ってカメラ前に植木を置いたりしながら、奥行きを出そうとしている。頑張ってるなあ~といつも思う。
僕はピン送り(※)が大好きで、mini35を使うときはやたらめったらやってしまう。それだけでなんだか映像に高級感が出る気がする。なんでかな?僕の趣味?先日のドラマ風VPではそのピン送りが決定的な演出効果を生んで、クライアントには結構好評だった。そのカットはmini35を使ったからできた技で、普通にビデオで撮ってたらできなかった、、なんてクライアントは知らないんだけどね。
というわけで改めてフォーカスって表現力が高いなあと痛感した日々でした。
※手前にピントが合っている絵から奥のモノにピント(あるいは奥から手前)をずらしていく撮影手法。最近はテレビアニメでもよくやってますね。
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