三浦俊彦@goo@anthropicworld

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魔界・悪霊系5

2005-07-02 03:00:46 | モンスター映画
 ■魔界転生■ 2003年版。へえー、これ、いいですね! 1981年版に比べだいぶ評価低いらしいけど、そんなことありませんよ、こっちのほうが上ですよ。リメイクってだけで風当たり強くなるんだな。いや、お話はただひたすら転生した魔性たち相手に柳生十兵衛が順番に戦ってくってだけの単調ぶりなんだけど(徳川内紛モチーフは凡庸すぎて無きに等しいってことで)、とにかくメリハリ利いてるよ。冒頭のいきなり首スッパーンにゃ驚いちゃったし、なんつってもラスト十兵衛の自爆串刺し殺法ね、ありゃあノケゾリもんです。剣豪アクションものにはああいう手って普通に使われてるのかなあ、俺時代劇あんま観ないんでびっくりしちゃったよ。魔性が光粒状の紅エキス流出状態ではじけ飛んでくビジュアルも、安易っちゃ安易ながら見てて素直に魅せられるし、十兵衛も81年千葉真一よりこっちの人のほうがナチュラルではまってたよなあ。天草四郎ですら、俺は81年版ジュリーよりこっちの人のほうが無表情で脱力してて無個性でそのぶんリアルだった気がするんだよね。ま、女性陣の色合いだけは81年版に劣るけど。いやそれにしても、のっけから荒木又右衛門が無駄遣いされ、終盤ではなんと徳川家康が無駄働きさせられるとこなんか、まあこのジャンルの好きな人なら怒るとこでしょうな。私は別に歴史物に思い入れないしああいう手駒浪費は大好きですけど。一番最後、雨中の十字架微動も、余韻として断然旧作にまさってるよなあ。あそうだ、肝心なこと言い忘れてたけど、本作の圧巻は、すすき野での宮本武蔵登場シーンの美景です。姿なき波状襲撃場面たら、すわ猛獣型モンスター登場か、てなもんでしたよ。
 ■伊賀忍法帖■ 妙ォ~な映画だぞこれは。BGMがまるっきりテレビドラマ路線の安っぽさなのでそれで貫くのかなと思いきや、微妙にシュール。忍法対妖術の荒唐無稽さはもとより、そもそもヒロイン格――渡辺典子って俺名前聞いたことあるかないか程度だったんだけど美人ですね、薬師丸ひろ子や原田知世とは段違いの。角川は全部この人でいけばよかったのに――と思わせる女が早々に虐殺されてしまうと(厳密には自殺みたいだけど)。渡辺典子にはあと二役たっぷり残されてるから大丈夫、って問題じゃあるまいし。とこの時点でただの娯楽作ではなくなってる。特撮もセットもけっこう本気で、東大寺炎上場面なんかあれ、相当入れ込んでますよ。大仏の首が落ちるあたり重量感出てたなあ。惚れ薬っつーしょーもないアイテムが軸になる関係でエロとグロが程よく暴走してて(首スッパーン血飛沫シュバーッを♂♀各々バージョンで。巨乳と準貧乳も見れたし。ともに垂れ気味ってとこが良し)。ところで果心居士って何者だったの? つーか何したかったの? 妖術僧たち使って遊びたかっただけなのかな? あと千葉真一の役割って? つーかモチーフは? まーわかんないとこがいいんだけどね。そ、だから正直言うと俺、スゲー面白かったんですよぉ、こんな映画がさぁ。いや面白いよ、正直これ。そりゃいろいろあるよ、最後、二人ともちゃんと焼死してたらもっとよかったのに、とか。スゲー俗っぽい主題歌でエンドクレジットに雪崩れ込んじゃいましたね、とか。ま、始めからそんなの了解済みに等しかったからいいんだけど。あそうだ、そのエンドクレジットでストロング金剛(小林改め)が出てたっての初めて知りましたわ。どれ、どれ? そういや確かにバックブリーカーやってたっけな?
 ■魔界転生■ 1981年。03年版に比べ見た目モンスター性の薄い映画なので、唯一異形っぽかった細川ガラシャの姿をちゃんと見せてほしかったんですけど。本格転生前の。未練を残すやつらを次々に転生させるとこの簡潔な会話はわくわくさせてくれたけど、どーも後半になるにつれて科白も雑になっていったような。いや始めから、魔性の存在をみんな既成事実として承知しきってたようなリアクションがね、表面上の陰鬱きわまる緊張感と矛盾してて観てる方としちゃ拍子抜けしてたんですけど。見どころはそうね、うん、妖艶な狂女と生娘丸出し娘のコントラストを暗黙に楽しめたことだけど、おつうがいまいち。決闘場面に笛って邪魔だし。笛にしても顔と手の魔よけ呪文にしても、あまり明白な効果は発揮しなかったってとこだけは気に入りましたがね、リアルで。しかしどうも、あの終わりかたってどーにかなんなかったんだろうか。「ハレ? これでおしまい?」的ガックリ感ばかり残ったんですが、いかがなもんでしょ? もろ尻切れトンボじゃない?
 ■里見八犬伝■ あのをう。いくら角川でも限度ってもんがあるんじゃあ。俗っぽすぎまっすって言いたいわけだけど。半分以上は薬師丸ひろ子×真田広之のラブシーンで話題をとること目的とした映画らしーからまあしょうがないにせよ、限度ってものがな……。俗に徹するってなら正統的に徹底して、八犬士にはっきり個性的なメンバーだけそろえてほしかったね。お定まりの巨漢豪傑風を入れるとか、仙人風老人を配してみるとか、犬を一匹入れとくとかさ。8人の中に全然目立ってない人が何人もいたのは、せっかくの設定を無にした致命的な損害よ。あととにかくBGMが邪魔なこと邪魔なこと。オケの出しゃばりがこの映画のセンスの悪さを宣伝してるようなもんです。大ムカデも大蛇もムゴイ出来だったしなあ。ただのゴムのでっかいオモチャじゃねえか。こんなのに出演しなきゃなんなかったとは、薬師丸ひろ子のファン(ただし歌唱力のみ)としてはややツライものが。ま、酷評ばかりになったのはクライマックス、魔像に向けて矢を放ったところで、てっきり妖怪本体が大暴れしてくれるのかと思いきや何もお出ましにならずただ城が崩壊して終わりという、期待の空振りに私ャすっかり機嫌悪くなったからで(あの弓をくれた千手観音にしてからが動き出すものと期待したのにガックリだったし)。そこまでの流れはまあまあ普通に観賞してたんですけどね。ラブラブのハッピーエンドなんかいいからラスボスで締めといてくれよと。あ~あ。ただまあ、「エ? 真田広之は八犬士じゃないん?」とハズしといてじきに手首の妖怪アザが珠に変化するって二段返し、あれだきゃ優良ポイントだったなーと感心しましたよ。
 ■ヘルダミアン/悪霊少女の棲む館■ ああ……はや冒頭でジャンク映画ぶりがバレちまってはつらい。ボスッと腹に手ぇつっこんで引き抜くときのアップが、胴体ペラペラの紙細工丸出しじゃないのよぅ。予算の都合で自信なかったらアップにせんでくださいよ。『地底人アンダーテイカー』(人間型系1参照)よりゃわずかにマシかといった程度のクリーチャー(ラブクラフトの原作ではもっとブッ飛ビまくった形ってことになってるらしいけどこれまた予算の都合でただの人間型……トホホ……)が最後妙に弱っちいのは、それまであんだけ派手に惨殺といて何だいと脱力するが、まあすでにカーターの呪文が始まって効果出してたと考えれば辻褄合うってか。ま、緊迫感の異様に乏しいお化け屋敷映画でしたが、首掻っ切りと頭プチ割りの血糊描写だけは無駄にリキ入っていたような。なんでもいいけど3人でただ歩いて立ち去るという気の抜けたラストはやめといてや~。ってこれべつに「魔界」ものじゃなかったわけだが続編『ダークビヨンド』合わせてまあまあそのジャンルかなってとこで。
 ■ダークビヨンド/死霊大戦■ 『ヘルダミアン』よりずいぶん良質の作品になってます。ただそれでも穴だらけは如何ともしがたく……、まずあの3人、いちおうフタ閉めて帰ってくれないと。そもそもその前に、インシュリン注射で女と怪物の合体が解けるってどういう理屈? なんでそれわかったのかな? クライマックスであの扉が破れないというのもどうしたことでしょうか。どう見ても二人で体当たりなら楽勝の扉だったですぜ。それと予算ないのはわかるけどやっぱ女が老婆化→骸骨化してゆくプロセスはちゃんと連続で映してくれないと。ブツブツ切って同じショット内で変化無しってのはあまりにナサケナイっすよぅ。まがりなりにも見せ場なんでしょうから。例により緊迫場面で無駄なラブシーン演じさせたくらいの真正ヒロインてわけだから。とまあ文句はきりがないが、いろいろロケーション移っていったわりには結構引きつける求心力はあったんですよ。予算ってほんと悲しいファクターだなあ……。