梅雨前線の影響による4日未明からの豪雨が襲った熊本県南部に4、5両日、日本共産党の田村貴昭衆院議員(党国会議員団梅雨前線豪雨災害対策本部事務局長)、まじま省三衆院九州・沖縄ブロック比例予定候補(同本部員)が入り、被災者を見舞い、当時の状況を聞き取りました。 5日、人吉市の調査には仁比聡平前参院議員(同本部員)、本村令斗、塩見寿子の両市議など地方議員らが合流しました。
茶色い濁流、宅地の中に入り込んだ泥、陸に上がった川下りの船―。降りしきる雨の中、2階にも浸水した家から住民やボランティアは必死に泥をかき出していました。
商店街のある事業者の女性は「老舗の酒屋が廃業を決めた。人吉には古い店が多いのが魅力。経済的な支援をスピード感を持ってやってほしい」と訴えました。
長靴が埋まるほどの泥に漬かった国登録有形文化財・人吉旅館の取締役社長、堀尾健次朗さん(63)は「男手がないと手がつけられない。コロナ対策のお金に加算してほしい」と話しました。
田村氏は「敷地内の泥は公費で撤去できます」と励ましました。
まじま氏は「今回はコロナと豪雨の複合災害。熊本地震や西日本豪雨で適用されたグループ補助金を豪雨災害にも適用させたい」と話しました。
避難所に指定された東小学校の会議室。独り暮らしの男性(92)は「服がない。避難所は畳で痛い。自分のところは住めん。市営住宅に移る」と話しました。
一行は破堤した堤防を調査しました。
4日夕、芦北町佐敷で、自身も床上浸水の被害を受けた坂本登町議らと現地入り。男性(70)は、平屋の自宅が自身の身長を上回る水に漬かりました。近所の女性(83)が溺れているのを見つけ、警察と消防署に何十回も電話しましたが救援は来ず、死亡。「かわいそうだった。助けてやっていれば」と悔やみました。避難所が遠く、高齢者も多いため「食料品を持ってどうやって避難するんだ」と、かつて町役場に言ったことがありました。「朝から何も飲まず、今やっとおにぎりを食べたところ。車も水没した」と語りました。
大部分が床上浸水
熊本・芦北町新町地区 手厚い被災者支援必須
再び激しい雨に見舞われた熊本県芦北町。日本共産党の坂本登町議は6日、同町の高齢者を訪ね、被害の状況と要望を聞きました。 同町では、佐敷川が4日に氾濫し、新町地区の住民のほとんどが床上浸水の被害を受けました。独り暮らしの男性(80)は4日午前1時ごろ、記録的な大雨で目を覚まし、午後2時まで2階に避難。流木やテーブル、ホイール付きのタイヤなどが流れてきました。男性は弟やその息子の力を借りて畳や家財道具を搬出。しかし、今も床下に泥水がたまっています。
坂本町議は5日に竹﨑一成町長宛てに被災世帯ボランティアの要請をはじめ11項目を要望したことなどを紹介。「6日から町のボランティアセンターが開設しました。住めない家は全壊扱いにするなど、国に予算をつけさせるよう国会議員と連携して頑張りたい」と話しました。
自宅が床上浸水の被害を受けた坂本町議は「単車も水没して動かないので歯がゆいが、お年寄りなど1人でも多くの人の声を聞いて、スピードを持って水害復旧に当たりたい」と被災者支援に懸命です。
家財散乱 どうすれば
被災者の心折れさせぬ支援 急務
九州各地を襲った豪雨の被害の実態をつかもうと、日本共産党の真島省三前衆院議員は7日、避難所や住宅に浸水被害が出た福岡県大牟田市の被災地を調査しました。田村貴昭衆院議員は、停滞する梅雨前線による豪雨で筑後川が氾濫した大分県日田市天ケ瀬地区や北友田地区で被災者らを見舞い、要望などを聞き取りました。
福岡・大牟田 真島前議員調査 「60年住んだが…」
避難所が浸水した市立みなと小学校の近くに住む男性(87)は、「60年来住んでいるがこんなことは初めてだ」と話しました。地域は1日たっても水が引かず、いたるところで壊れた車が道路をふさいでいました。車や事務所が被害にあった住民は「今はどうしようもないです」と肩を落とします。
熊本県荒尾市との境にあたる神田町では住宅の被害を調査。自宅1階が浸水し2階で避難生活をしている女性(67)は「昨日の夕方、気づくと道に川から水が入ってきて避難できる状態ではなく、そのうち床のあちこちから水が噴き出してきた」と語りました。室内には泥が入り込み、冷蔵庫などあらゆる家財が散乱した状態。「手のつけようもなくどうしたらいいかわからない」と語りました。
真島氏は「床上浸水なら生活再建支援金も出ます。早く元の生活に戻れるよう党も支援に全力をあげます」と被災者を激励。調査後、真島氏は「床上浸水の世帯が非常に多く、迅速な支援が必要。支援策をお知らせするなど被災者の心を折れさせない活動を、党県議や市議、地域の党と連携して展開したい」と語りました。(福岡県・田中正一郎)
大分・日田 田村議員調査 「コロナに加え…」
筑後川の支流、玖珠(くす)川の両岸、約700メートルに沿って旅館、商店などが立ち並ぶ天ケ瀬温泉街では高齢の女性1人が激流にのまれました。温泉旅館の経営者、男性(67)は「コロナ禍に加えてこの被害。とうていやっていけそうにない」と肩を落としました。田村氏調査に堤栄三、猿渡久子の両県議と大谷敏彰、日隈知重両市議が同行しました。(大分県・丸小野一民)
氾濫の温泉街 女性流される
日田玖珠広域消防組合によると7日、支流の玖珠川が日田市天瀬町付近で氾濫し、温泉街から「妻が流された」との連絡がありました。消防などが捜索しています。
現地は山に挟まれた川沿いに旅館などが建ち並ぶ地域。市によると1カ所で橋が流されたといいます。
また、下流の同市北友田付近でも三隈川(筑後川)の水があふれ、商業施設や保育施設、市営住宅などが浸水。20人以上が一時孤立し、消防に救出されました。
市によると少なくとも12カ所で土砂崩れが発生。複数地点で道路の通行止めも続いています。
人命救助に全力を
避難所3密回避 資材を現場へ
小池書記局長が会見
日本共産党の小池晃書記局長は6日、国会内で記者会見し、梅雨前線で九州全域に大きな被害が広がっている豪雨災害について、「現時点はまさに人命救助最優先の段階なので、全力を尽くして人命救助にあたるよう政府に求めていきたい」と述べました。
小池氏は、日本共産党が対策本部を立ち上げ、事務局長の田村貴昭衆院議員、本部員の真島省三前衆院議員、仁比聡平前参院議員が被災地での聞き取り、激励、支援の取り組みを開始していることを報告。被災地では、新型コロナウイルスによる深刻な打撃に加え、豪雨災害が起こり、業者らからは「心が折れそうだ」「持続化給付金などを追加支給してほしい」などの声が寄せられているとして、「まさに『複合災害』の様相を呈している。政府には被災地を全面的に財政で支えていくというメッセージとともに、実際の行動を求めていきたい」と強調しました。
また、パーテーション(仕切り)も段ボールベッドもなく、“3密”に近い状態の避難所もあるとして、「すみやかに必要な資材を現場に届けることを政府に求めたい」と述べました。
そのうえで、小池氏は「日本共産党として2020年豪雨災害救援募金を始めている。全国の党組織、国会議員、地方議員が災害救援募金に取り組むようにしていきたい」と語りました。
― しんぶん赤旗より ―