休校・出勤半減など対策
インドの首都ニューデリーとその周辺で、大気汚染が深刻化しています。今月上旬から、大気汚染指数(AQI)が「危険」レベルの日が続き、子どもの呼吸器疾患が急増するなど市民の健康と生命を脅かしています。地元政府は、石炭火力発電所を停止し、休校や出勤者数半減などの対策を次々に打ち出しています。
南アジアの大都市では、毎年冬になって気温が下がると汚染物質が空気中に滞留してスモッグが発生します。なかでもニューデリーは、昨年まで3年連続、世界でもっとも空気の汚れた首都の不名誉な称号を獲得しています(スイスの団体IQAir調べ)。
デリー首都圏の政府は17日、連邦政府の環境省の委員会からの命令を受けて、火力発電所11基のうち石炭火力発電所6基を停止。学校・大学も無期限で休校としました。
自動車の交通量を減らすため、すでに必需品を除くトラックの乗り入れを禁止したほか、役所や民間企業で働く人の半数を自宅作業にし、民間バス1000台を使ったバスの増便で自家用車の利用を減らすなどの手を打っています。
市内の建設、取り壊し、掘削などの作業の無期限停止も命令。ただ日給制で働く労働者や零細企業からは、収入の見通しが立たないと休業手当の支給を求める声が高まっています。他方で、現地紙ヒンドゥーの記者が市内を取材すると、道路建設工事などが各地で続いており、土ぼこりが舞い上がっていたといいます。
大気汚染によりぜんそくなどの呼吸器疾患で苦しむ子どもが急増。ニューデリーのマックス・スーパー専門病院の小児科長アルビンド・ボウントラ医師はロイター通信に対し、同病院で扱う子どもの呼吸器疾患患者が過去7~10日間に3倍に増えたと語りました。
— しんぶん赤旗より —