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気候危機を打開する日本共産党の2030戦略 ③  2021年9月1日

2021-09-08 | 日本共産党

5、脱炭素と貧困・格差是正を二本柱にした経済・社会改革で、持続可能な成長を

(1)脱炭素社会の実現は、「耐乏」でも「停滞」でもなく、持続可能な成長に道を開く

 脱炭素化、省エネルギーと再生可能エネルギーの推進は、生活水準の悪化や耐乏生活を強いるものでも、経済の悪化や停滞をもたらすものでもありません。それどころか、新しい雇用を創出し、地域経済を活性化し、新たな技術の開発など持続可能な成長の大きな可能性を持っています。

 省エネは、企業にとっても中長期的な投資によってコスト削減とまともな効率化をもたらします。リストラ・人件費削減という経済全体にマイナスとなる「効率化」とは正反対です。住宅などの断熱化は、地域の建設業などに仕事と雇用を生みだします。 
再生可能エネルギーのための地域の発電所は、石炭火力や原発などより、はるかに多い雇用を生み出し、地域経済の活性化につながります。海外に依存してきた化石燃料への支払いは大幅に減り、日本経済の弱点である低いエネルギー自給率は大きく向上し、再エネの普及によるコスト削減もあり、電気料金の値下げにもつながります。

 ある研究グループの試算では、2030年までに、エネルギー需要を約40%削減する省エネと、再生可能エネルギーで電力の44%を賄うエネルギー転換を実施すれば、年間254万人の雇用が新たに創出され、エネルギー転換で影響を受ける産業分野での現在の雇用者20万人をはるかに上回ります。投資額は、2030年までの累計で202兆円となり、GDPを205兆円押し上げ、化石燃料の輸入削減額は52兆円になるとされています(未来のためのエネルギー転換研究グループ レポート2030)。

 国際エネルギー機関(IEA)は、クリーンなエネルギーシステム構築、クリーンな交通システム、産業部門の省エネなど、持続可能性を重視した施策に3年間で3兆ドルを投じれば、世界のGDP成長率を、年平均で1.1%ポイント増加させると予測しています(「持続可能なリカバリー(経済復興)」2020年6月)。

 脱炭素社会の実現は、「耐乏」でも「停滞」でもなく、持続可能な成長に道を開くものなのです。

(2)コロナからの復興はグリーン・リカバリー(緑の復興)で

 経済成長と脱炭素化を同時にすすめるという認識は世界に広がり、コロナで落ち込んだ経済を立て直すにあたって、グリーン・リカバリー(緑の復興)が世界的規模での大きな課題になっています。

 EUは、新型コロナからの復興予算の30%を気候変動対策などのグリーン・リカバリーに投じるとして、7年間で140兆円に上る長期予算案と約95兆円の経済復興策を打ち出し、再生可能エネルギーの普及や電気自動車への転換のための巨額のインフラ支援などが盛り込まれました。

 フランス政府は、経営難に陥ったエールフランスに資金を融資するにあたって、列車など代替手段がある2時間半以内の国内路線を縮小することを条件にするなど、脱炭素化を促す方向性が明確になっています。 

 しかし、日本政府はこのような考え方を対策の基本に位置づけていません。本気で2050年にCO2排出実質ゼロをめざすなら、“コロナ前”に戻る従来型の「経済対策」ではなく、省エネ・再エネの推進を軸にしたグリーン・リカバリーこそすすむべき道です。

(3)気候危機の打開は、貧困と格差をただすことと一体のもの

 気候危機打開の取り組みをすすめるためには、財界いいなりの政治を変え、石炭火力利益共同体、原発利益共同体の抵抗を排除しなければなりません。

 とりわけ、90年代から顕著になった新自由主義の政治の根本的な切り替えが必要です。大企業の目先の利益拡大と株主利益の最大化をめざす新自由主義によって、企業は省エネや再生可能エネルギーのような中長期的な投資より、短期の利益確保に追われ、金融投機やリストラによるコスト削減にはしりました。

 気候危機の打開は、貧困と格差をただすことと一体のものです。どちらも根っこにあるのは、目先の利益さえあがればよい、後は野となれ山となれの新自由主義の政治であり、その転換こそが求められています。

 脱炭素化は、大きな社会経済システムの転換、「システムの移行」を必要とする大改革です。再生可能エネルギーは、将来性豊かな産業であり、地域経済の活性化にもつながる大きな可能性をもっていますが、そこでの雇用が非正規・低賃金労働ということでは、「システム移行」への抵抗も大きくなり、地域経済の活性化どころか、衰退に拍車をかけるものにもなりかねません。脱炭素化のための「システムの移行」は、貧困や格差をただし、国民の暮らしと権利を守るルールある経済社会をめざす、「公正な移行」でなくてはなりません。

 自公政権は「解雇規制などの労働者保護があるから古い産業から新しい産業への労働移動が起きない」と言って、労働法制を改悪し、非正規雇用を増やす新自由主義の政治をすすめてきました。しかし、現実に起きたことは、労働法制の改悪で「新しい産業」でも不安定・低賃金の非正規雇用が急速に広がり、それと一体で正社員の長時間労働が激化したのです。労働条件が悪化する「雇用移動」は、リストラ・解雇などの強制力がなければ起きませんし、それが雇用の不安定化と貧困と格差の拡大をまねき、日本社会と経済にとっても大きな打撃となったのです。

 脱炭素化のための「システムの移行」にさいして、こうした誤った道を繰り返してはなりません。再生可能エネルギーをはじめとした新しい成長分野でも、エネルギー転換の影響を受ける産業でも、人間らしく働ける雇用のルールを確立し、雇用と暮らしを抜本的に向上させることが「公正な移行」のために必要です。

 気候危機の打開は、貧困と格差の是正と一体に――「公正な移行」として推進してこそ、達成することができます。

(4)脱炭素に向けた民間投資の促進と公的投資のための財源について

 脱炭素に向けて、省エネや再生可能エネルギーのための民間投資と、脱炭素化に必要なインフラ整備のための公共投資が必要です。専門家の試算では、2030年までにCO2半減を達成するためには、民間投資が150兆円、公共投資が50兆円という規模です(未来のためのエネルギー転換研究グループ)。

■企業にとって利益を生み出し、将来性のある投資

 省エネや再生可能エネルギーは、企業にとって利益を生み出し、将来性も大きく期待できる投資です。日本の大企業は400兆円を超える巨額の内部留保をもっています。史上最高の利益をあげてきたものの国内の需要が冷え込んでいるために、新たな投資先がないためです。脱炭素化を国家大プロジェクトとしてすすめることは、こうした資金の新たな投資先になります。

■公共事業、エネルギー関連予算の転換で

 公的投資は、先の試算では年間5兆円程度の規模が必要になりますが、現在でも年間25兆円規模の公共投資が行われており、巨大開発の見直しなど公共投資の転換でまかなうことができます。

 中小企業や住宅などを支援するための無利子融資への利子補給などの財源は、それほど大きくありませんが必要です。こうした財源は、公共事業の転換とともに、原発に大きな比重を割いているエネルギー関連予算の抜本見直しでつくります。

 2021年度予算をみると、エネルギー関連予算のうち、割合が最も多いのが原子力で33.8%(4,121億円)、次いで石油、石炭、ガスなどの化石燃料及び資源で20.7%(2531億円)です。省エネルギーや温暖化対策は19.8%(2,418億円)に留まっていす。エネルギー予算の7、8割を再生可能エネルギーに振り向けます。

■炭素税の拡充

 炭素税は、スウェーデンではCO21トン当たり約1万7000円、フランスでは約5600円を課していますが、日本では温暖化対策税で1トン当たり289円と極めて低額にとどまっています。炭素税などのカーボンプライスは化石燃料の使用を抑制する効果があるとともに、当面の財源にもなります。炭素税は、脱炭素が完了するまでの一時的な財源ですから、脱炭素に必要な公的な事業、支援策の財源としても検討していきます。

気候危機打開へ――いまの政治を変えるために力を合わせよう

 脱炭素社会の実現は、私たち一人ひとりの決意と行動にかかっています。

 一人ひとりが気候危機打開の主人公です。ライフスタイル、生活様式を見直すことも、自分の地域にある再生可能エネルギーを、地域のみなさんと力をあわせて開発・利用することも大切です。

 同時に、個々人や家庭の努力だけでは、脱炭素は実現できません。気候変動の重大な危機は、石炭火力や原発に固執する、いまの政治を変えることなしには、打開することはできないからです。

 いま、気候危機の打開を求める動きは世界で大きく広がっています。とくに、「Fridays For Future」(未来のための金曜日)という、若い人たちを中心にした運動が世界でも日本でも広がっていることは、明日に向けた力強い動きではないでしょうか。

 地球を守り、将来の世代に豊かな自然環境を引き継ぐために、いまの政治を変えましょう。思想・信条の違いをこえて力をあわせることをよびかけます。

 

終わり

 

                                  — しんぶん赤旗より —  


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