ミャンマー国軍がクーデターを起こし、実権を握った昨年2月以降、日本の防衛省がミャンマー国軍の幹部や幹部候補生4人を留学生として受け入れ、軍事訓練を行っています。国際人権団体からは「ミャンマー国軍の残虐行為に加担するリスクが高まる」と批判が高まっています。赤旗紙の取材に同省が認めました。
防衛省によると、2021年2月以降に、ミャンマー国軍から防衛大学校に2人、陸上自衛隊教育訓練研究本部に1人、航空自衛隊幹部学校に1人を受け入れました。現在在籍しているのは計10人だといいます。
留学生の受け入れは自衛隊法100条2項の教育訓練の受託に基づくもの。防衛大学校ではタイ、シンガポール、フィリピン、インドネシアなどから留学生を受け入れ、日本の学生と同様の教育訓練を実施。留学生は、日本語教育(1年間)と、防衛学や語学など基本的な教育と戦闘訓練(4年間)を計5年間受けます。
残虐行為加担の恐れ
自衛隊法は発展途上国の留学生である場合は、給付金を支給できると規定しており、ミャンマーも該当。防衛大学校は1人あたり月8万3000円、陸自の教育訓練研究本部と空自の幹部学校には1人あたり月14万4000円が支給されています。21年2月に受け入れたミャンマー国軍関係者4人にはこれまで計約355万円を支給。また授業料も免除されています。
防衛省は、ミャンマー国軍関係者への教育訓練の実施目的について、「隊員と留学生との人的関係を構築して、相互理解を醸成する」と説明しています。
国際人権NGO「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」は1月、「防衛関係の維持は、日本がミャンマー国軍による残虐行為に加担するリスクを高める」と批判。「クーデターに対する非難と矛盾し、国軍幹部を『人道に対する罪』を含む人権侵害で責任追及している国際社会の努力を弱体化させる」と指摘し、軍事訓練の中止を求めています。
— しんぶん赤旗より —