あな惜しいかな鬼籍のヒト…いやマイマイになってしまったベッコウマイマイ。。。
と、いうわけで約2ヶ月間このオモシロマイマイを見てきて私が思ったことを今回は勝手に書いてみることにしますね。
その1:とにかく最大の謎は尾っぽの突起だった!
…突起自体ピンと角状に尖っていたり、小さくヘコんで見えにくくなるのも興味深かったが、休んでいたり起きた直後は殻よりも先にこの突起を舐めて(きれいに磨いて)いたことから、身体のなかでも最もデリケートで大切な部位であるのは間違いないと思う。以前、博物館の方が「なにかのセンサーかもしれない」と言っていたように確かに生存するうえでとても重要な役割があの黒いトンガリには潜んでいるに違いない。
あわせて、突起から出てきたあの衝撃の白い露状の液体はいったい何だったのか。
状況としては、いじったり、写真を撮ろうとしてる最中に興奮して(あわててが近いか?)動きが活発になったときに出てきたことから、もしかしたら早く進むことで腹足からの水分(もしくは体液)が最後部の突起に集まって排出されたのかもしれない。
というのも、突起を後から見ると溝状のスジが垂直にあることからなんらかの水分がそこを通ることはあり得そうなのだ。
その2:飼育するうえで、エサが最後までなんだかわからなかった。
…いろんなエサを与えたがあまり食べず、それでも糞はだいたい黒かったことから、野菜よりも樹木もしくは朽木や腐葉土を好むとは思う。もともと山育ちのマイマイなのでそれもそうだが。
その3:行動面では、よく言われるように、ベッコウの長い尾っぽは自在に動く…といった姿はいちども見受けらず、この関東ベッコウに限ってはあくまでもフツーのかたつむり同様、腹足の一部としか見えなかった。
…もちろん尾っぽを上げた威嚇行動など皆無で、どっちかというと野生のマイマイらしく読みにくい気質でヒトが怖い~!といった印象。
ただ、他の小型のマイマイに比べてかなり俊足だったのは印象的で、もともと山岳地に生息することから平地の都市型マイマイと比べて活動範囲が広く自然と早足になり、おまけに殻がかなり薄く(指で持ち上げようとすると潰してしまいそうなほど)防御の役割を果さない一方、山には自分の脅威となる対象も多いことからますます逃げ足も早くなったのかもしれない。
そして、これも最後まで謎だったが、このマイマイが完全に殻に籠って寝るのを見たことがなかった。
このように仮眠程度に軽く寝ることはあったが、常に尾っぽの部分は先を丸めて表に出したままで、全体的にはフック状のかたちで寝ているのをよく見かけた。気配に敏感なため残念ながらその写真は撮れなかったけど…。
もしかしたらベッコウマイマイは他のマイマイより身体に比べて殻の割合が小さいことから、身体全体を殻に入れることができないのかもしれない。
じゃあかたつむりの最大の弱点、「乾燥」はどうやって防ぐか? …というと自らの殻を頼らず、生息する環境に依存をしているのではないか。
ベッコウのこの種は山岳地のなかでも特に湧水地周辺で岩場のある広葉樹か混合林が主の尾根(林床に絶えず水分量の多い)のような場所を好むはずだから。
また、自らの殻を頼らず…とは書いたが、じつはベッコウの殻の表面は他のマイマイと比べてかなりツルツルヌメヌメしていたため、これもより脱水状態を防ぐ工夫かもしれない。
そんなこんなで夏場の乾燥は問題ないかもしれないが、厳冬期の山ではいったいどんな風に過ごすのか。。。
……そこなんですよ!じつは今回観察していたヤツもいよいよこれからの季節どんな風に寒い冬を過ごすのかい?なんて楽しみにしていた矢先にこんなことになっちまって…ヨヨ。。。
ここまで勝手に書いてるので最後にもうひとつ。
もしかしたら…関東ベッコウって…越冬はせず、寿命に完全なサイクルがあって寒い冬場は生息してないんじゃないんでしょうかね~!?だから木枯らし1号と共に逝っちゃったとか…?
また、もし私の目の前にこの不思議マイマイが現れることがあれば…是非!もう一回観察してみたいものです。
「ベッコウマイマイの観察」はじめからは、ここから!