羊日記

大石次郎のさすらい雑記 #このブログはコメントできません

蟲師 続章

2014-12-14 20:23:34 | 日記
着物だけを残してシゲルの娘、ユリが消えた。「山に取られたんだ」村人は言った。村には死体を山に棄てる習慣があった。
年月が流れ、シゲルの村で足に痺れを伴うイボができる奇病が流行り出した。奇病はムクロソウという蟲の仕業だった。死体に寄生して喰う蟲で、踏めば生きている者にも幼生が寄生し、種を広めてゆく。村を訪れたギンコは蟲下しを処方し、手際よく蟲を鎮めた。
ギンコが村に点在した蟲の痕を始末しながら辿ってゆくと、蟲に感染した草介と出くわした。草介の伯父も感染しているらしい。蟲の痕もこの伯父の家へと続いていた。
伯父はシゲルだった。シゲルの症状は酷く、薬も効かない。草介が先日亡くなり山に葬られた父のシノブに会いたがった為、山へ連れて行き、蟲に集られたシノブの死体や周囲の蟲に触れて二人共感染したのだ。だが、薬の効かない異常な感染をしたのはシゲルだけだった。
シノブを殺したのはシゲルだった。先日、かつてユリが死んだのは自分が誤って荷車で轢き潰してしまったからだと告白され、発作的にシノブを石で打ち殺し、山に棄てた。
ギンコに自分の感染の異常さを知らされ、死んだシノブが異形の姿で夜中に訪れる悪夢にうなされるシゲル。後日、ギンコは「追求するつもりはない」と断った上で体に染み付いた『死臭』を洗い落とし、薬を使うよう告げて村を去った。
川でシゲルは体を洗い始めた。そこに草介が来た。「父さんを殺したの?」草介はギンコの話を聞いていた。「そのことを誰かに言ったか?」足の効かないシゲルは杖を突きながら草介に掴み掛かり、振りほどかれ川へ落ち、流されていった。
それから暫くして、下流の川原で、ギンコは『何者か』に憑いて発芽したムクロソウを見付けた。「山へ帰れなかったのか」ギンコは呟いた。

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