羊日記

大石次郎のさすらい雑記 #このブログはコメントできません

ヤロカ火 14

2016-06-22 18:18:04 | 日記
「ぐっ! 何であれ、野間の異常に化生(けしょう)を引き寄せる特質が必要何だ。被害が拡大する前にさ」
 貴代は目を細めた。
「・・・フォローはあんの?」
「二人とも御守りは持ってるだろ? それで居場所もわかるし」
「他にはぁ?」
「人形だけそっちに四枚飛ばしてる。ちょっと待てよ」
 鏡の中で聡が念じると人形が四枚、出入り口の隙間から入り込んできた。
「お? 来た」
 四枚の人形は宙を舞って貴代の胸ポケットに収まった。
「これからターゲットをそっちに囲い込む、近くまでくれば『100%』野間に引っ掛かるはずだ」
「野間ホイホイだね」
「まあな。とにかく『本体』を押さえるのが難しい化け物だ。遭遇したら、ヤツの『火』に触れない事と、ヤツの『問い掛け』にも応えないように気を付けてくれ」
「何か難しくなぁい?」
「大丈夫だ。姑獲鳥(うぶめ)の時のような無茶はさせないさ」
「疑わしいぃ~っ」
「前向きに善処する」
「代議士かよっ!」
「よしっ、じゃあな!」
「何、今の『よしっ』は? オイっ!」
 聡は面を被り直して、さっさと鏡の中から姿を消してしまった。
「くっそぉ~、山元のヤツっ。記憶が戻る前から何かオカシイと思ってたんだよっ。ややっこしいなぁ、もうっ」
 そう言いながらも貴代は御守りを鞄から学生服のスカートのポケットに入れ直し、さらに持ち物の中から使えそうな物を手慣れた様子で物色し始めた。
「火がどうとか言ってたから、燃やす系はダメかぁ?

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