羊日記

大石次郎のさすらい雑記 #このブログはコメントできません

うしおととら 2

2015-08-15 22:44:56 | 日記
槍が出入り口につかえた上に二人とも槍の柄に顔面をぶつけてしまった!「あれが中年の動きかよ」痛がっている内に紫暮は走り去って行った。
その日の夕方、潮は寺の墓所の蒼月家の墓の前に来ていた。「石の上に乗んじゃねー、俺の頭に乗っていいからよっ」「ほぉう」蒼月家の墓の上に乗っていたとらはフワリ、と浮かんだ。「人間は相変わらず、死んだ奴に気を使ってんだなぁ」潮の頭に乗るとら。「それが礼儀なんだよ」(母ちゃんはここにいるって言ったよな? 親父)潮は蒼月家の墓を見詰めていた。
夜、僧衣に着替えた紫暮は篝火を焚き、怯える幼い子と老婆を背に「拐っていった娘を返せば封じることはせぬ」数体の細長い妖怪と対峙していた。妖怪は鬼火を従えている。「どうだ? 塚は作る、大人しく眠ってはくれぬだろうか?」「ウガァアアーッ!!」細長い妖怪達は問答無用で襲い掛かってきた! 千宝輪を投げ付ける紫暮!「浅ましや、化生ッ!」妖怪達は引き裂かれ、積み上げた石の小山に封じられた! 小山の塚に数珠と経典を置く紫暮。「これでよし。歳を経るとこんな物も妖怪になる」紫暮は後ろで怯えていた子供と老婆に数本の裁縫針を差し出した。「これでもう、お嬢ちゃんは狙われることは無い」紫暮は微笑み掛けた。務めを終え、「ああ、終わった、ヘリの用意を頼む」紫暮は人気の無い駅前からどこかへ連絡を入れた。
ヘリでとある山の大きな寺院に向かった紫暮は奥の間で平伏した。襖が開いた。「何事じゃ? 御勤めの最中の我々を呼ぶとは?」上僧四人と、中心には黙する老婆もいた。「獣の槍が引き抜かれました」「まさか?!」「その時がきたと?」「この前地下への扉はピクリともせなんだのに?」「誰が引き抜いたのだ?!」「刺さっておった妖怪は?!」騒ぐ上僧達。「抜いたのは私の息子、潮。妖怪はとらと潮に名付けられ、
     3に続く

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