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『杉玉』 初作品
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先祖から受け継がれてきた杉山がある。
わたしは一度も間伐や枝打ちを施したことがないので、今は荒れ放題の山になっている。
20年以上も前になるだろうか、当時足しげく自然薯掘りに山に入ったものの、いつしか山に近づくこともなくなった。
山には猛烈な台風によってなぎ倒された大きな杉の木が何本も横たわっていて、今となっては一層手入れを難しくしている。
久しぶりに山に入ると、自然薯の蔓が巻き付いた形跡がそこらじゅうにみられ、大きく成長したイモが隠れているのは間違いなさそうだ。
しかし、今の興味は自然薯掘りではない。
唐突に嫁が杉の葉がほしいと言う。
『杉玉』を拵えるのだそうだ。
よく造り酒屋の軒先に下げてある・・・あの真ん丸な・・・
『杉玉』づくりの師匠さんを見つけての仰せなのだ。
言いつけどおりに、どれ位の量が必要なのかも分からないまま、荒れた杉山へ行き、梯子をかけて切り出した杉の葉は約10kgにもなった。
その杉の葉たちがこんな姿になった。
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杉の新芽が出る6月ころの葉で作りたいらしいが、それまでにもっと腕を磨きたいのだろう。
我が家から杉山までの道のりは約60kmはある。
『杉玉』づくり
もちろん、彼女が新酒を仕込む訳ではない。