先月のバイクツーリングで京都の寺を回った折に仏様のバチに当たったのか、私ゃ取り憑かれたように仏閣への興味が高まったわけであります。
で、先日の出羽三山巡りドライブで立ち寄った「土門拳記念館」で古寺巡礼と題した展示写真を観た折、売店で「寺と仏像手帳」という本を見つけ買ったわけです。
で、昨夜それをパラパラと斜め読みしていたら京都の龍安寺が出て来たわけでありますが、載っていた写真を観て私ゃ魂消ました。
龍安寺 石庭 ほぼ全景
自分はこんな切り取りをしましたが
いや、土門拳が撮ったのは庭では無く石だけだったのです。
上の写真の左の石組みを塀を背景に抜き出し、載せた写真はそれ一枚なのであります。
石庭にあって印象の強い白砂と全体の造形を意に介さない切り取りは、言って見れば石を撮ったのであって庭では無い、と自分なら思うわけであります。
あれです、土門拳の撮影は1961年でして、当時の塀は瓦ぶきで重々しく、それを醜いと言い切ったのであります。
その後の改修で土門が指摘した、本来の杮葺になったようでありますが。
いや、土門拳の石庭評はボロクソでして、庭を一つも褒めていないのであります。
私ゃこの行を読んで感激しました。
自分が石庭で感じた造作の違和感を土門拳が指摘していたのであります。
で、何故土門拳はあの石組みを抜き出したのか、自分なりに考えたわけですが、石組みの後ろの築地塀だけ色が濃いのが決め手だったかと思うのであります。
いや、石と背景の組み合わせは土門拳が撮った位置と距離しか無かったのだろう・・・なんちゃって、土門先生、失礼いたしました。
で、よく見ると土門拳の写真に写っている石組みと自分の写真では塀の屋根の他にも大きな違いがあるんです。
それは、石組みを取り巻く砂の形であります。
簡単にいうと、現在は石の形状を無視して全体的に丸く砂で囲んでいるんですが、土門拳が撮った1961年では石の形状や組み方に沿って湾曲しつつ、立体感が出ているのであります。
自分は京都の日本庭園の白砂には少なからず違和感を覚えていたんですがそれの答えも土門拳の写真からいただきました。
で、2002年出版の「日本庭園」の見方 という本の写真で確認すると、白砂の形状は既に今と同じになっていまして、随分前から変わっちまっている事が伺えるのでありますが、まっ、いいでしょう。
と、まぁ、見る方は勝手な理想を並べるんですが、安い拝観料で見せていただけるだけ有難いわけで、これからも宜しくです、なんちゃって。