このゆびと~まれ!

「日々の暮らしの中から感動や発見を伝えたい」

台湾侵攻、勝つのはどっち?(米シンクタンクCSIS)

2023年01月18日 | 政治・経済
今日は国際関係アナリスト・北野 幸伯さんのメルマガからお伝えします。

~~~~~~~~~~~~~
全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは! 北野です。

アメリカは今年、三つの戦いをしています。
一つは、「プーチンに戦術核を使わせない戦い」です。
二つ目は、「習近平に台湾侵攻をさせない戦い」です。
三つ目は、「金正恩を暴走させない戦い」です。

世の中には、「アメリカが台湾侵攻を煽っている。軍産複合体の利益のために戦争を望んでいる」と主張する人たちもいます。
もちろんそうではありません。

もしアメリカが、台湾侵攻を望むなら、簡単な方法があります。
蔡英文さんに独立宣言をさせ、アメリカが台湾を国家承認すればいい。
これをやれば、習近平は、勝ち負けはともかく、威信をかけて台湾侵攻を開始するでしょう。

ところがバイデンは、台湾に独立を促しません。
彼がやっていることは二つです。
一つは、「台湾に侵攻したら、中国は勝てない」と習近平に思わせること。

たとえば、台湾にどんどん武器を売る。
クアッド、AUKUS、IPEF、民主主義サミットなどで、中国包囲網を築く。
さらに、バイデンは「中国が台湾に侵攻すれば、アメリカが台湾を守る」と3回いった。
これで習近平は、「台湾に侵攻したら、米軍と戦うことになる」と考え、侵攻のハードルが高くなりました。

もう一つは、習近平を追い込まないことです。
既述のように、蔡英文さんが独立宣言すれば、習近平は
「侵攻せざるを得ない状況」になるでしょう。

だから、バイデン政権は、反中包囲網を築く一方で、
「一つの中国を支持する方針に変化はない」というのです。

これは、何でしょうか?
要するに、アメリカは、「台湾は中国の一部であり、独立国家と認める予定はない」と。
中国を封じ込めつつ、一つの中国を支持する。
この一見矛盾した行動が意味するところは、
「アメリカは、現状維持を望んでいる」
「アメリカは、中国との戦争を望んでいない」
ということです。

バイデン政権は、伝統的な「バランス・オブ・パワー戦略」をしている。
しかし、「バランス・オブ・パワー」は、「くずされること」があります。

ナポレオン、ヒトラー、プーチンのように、自信過剰の独裁者は「力でねじ伏せることができる」
と勘違いし、バランス・オブ・パワーを壊しに動く。
それで結局敗北することになるのですが、負けるまでにものすごい数の犠牲者を出す。

習近平も、欧米を侮ったり、自信過剰になったり、あるいは追い込まれたりして、台湾侵攻に走る可能性があります。
その結果は?

▼台湾侵攻、勝つのはどっち?
アベマタイムス1月10日に、米シンクタンク「戦略国際問題研究所」(CSIS)のシミュレーション結果に関する記事がありました。
<アメリカのCSIS(=戦略国際問題研究所)は9日、中国が2026年に台湾侵攻した場合のシミュレーション結果を公表した。
中国軍の被害が最も大きく、約1万人の兵と155機の戦闘機、138隻の艦船を失い、台湾支配は失敗に終わる可能性が高いと予測している。>

「台湾侵攻は、失敗に終わる可能性が高い」そうです。
<一方、アメリカ軍は3週間で兵士約3200人が死亡し、空母2隻が撃沈されるほか、台湾は約3500人の兵が死傷すると想定している。>(同上)

ここで重要なのは、米軍参戦が前提で語られていることです。
やはり、バイデンさんがいうように、「台湾侵攻時には、米軍が出る」と見られているのでしょう。

日本は、どうなのでしょうか?
故安倍元総理や、麻生元総理は、
「台湾有事の際には、日本もアメリカと一緒に戦う」旨の発言をされていますが。

<日本も大勢の自衛隊員が死亡する可能性があり、在日アメリカ軍基地が攻撃されると指摘した。>(同上)
「そうだろう」と思います。

というわけで、CSISは、「アメリカ、日本、台湾は勝つ」「中国は負ける」という結論でした。

▼世界一の戦略家も、中国敗北を予測
台湾侵攻で米中が激突したら、どっちが勝つのか?

いろいろな意見があります。
「世界一の戦略家」といわれるルトワックさんは、
全国民必読の名著
◆『ラストエンペラー習近平』の中で、重要な指摘をしています。

<国防総省のいう「世界一の海軍」とは艦船の数などを指しているが、
アメリカの攻撃型原子力潜水艦がたった3隻あれば、台湾海峡のすべての中国艦船を撃沈できるということだ。>

この指摘は重要です。
たとえばウクライナ戦争のことを考えてみましょう。
ロシア黒海艦隊の旗艦「モスクワ」は2022年4月、ウクライナの対艦ミサイル「ネプチューン」で沈没しました。使われたのは、「ネプチューン」たったの2発です。

ルトワックは、この問題をさらに掘り下げます。
<現在の海軍の艦船の分類を見ると、フリゲート艦から巡洋艦、輸送艦、強襲揚陸艦など実に様
々な分けかたができるが、本当の分類としてはたった二つしかない。
それは、潜水艦と潜水艦の標的(ターゲット)だ。

この標的のサイズは小さかったり大きかったりするのだが、標的であることに変わりはない。>
<実戦という意味で考えれば、水上艦の価値は、ダンボールでできた船と変わらないのだ。>
というわけで、世界一の戦略家ルトワックさんも、「台湾有事」で、中国は敗北するとみています。

そうはいっても、「台湾有事を起こさないこと」が重要です。
そのためには、「台湾有事になれば、中国は必ず負けて、習近平は失脚する可能性が高い」
という【情報を】拡散していくことが重要です。

これは、おそらく事実であると同時に、
習近平が台湾侵攻を決断しない大きなファクターになるからです。

ウクライナ戦争は起こってしまいました。
しかし、台湾侵攻が起こらないよう、できることを行っていきましょう。
できることとは、説得力を持って、「台湾に侵攻したら、中国は負けて、習近平は終わりだ」という情報を拡散していくことなのです。

ちなみに、「リアリズムに基づいた希望」を持ちたい方は、こちらの本必読です。↓
◆『ラストエンペラー習近平』
詳細は↓

---owari---
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 2023年世界の3大テーマは? | トップ | また消費税引き上げで中小企... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

政治・経済」カテゴリの最新記事