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2023年世界の3大テーマは?

2023年01月17日 | 政治・経済
今日は国際関係アナリスト・北野 幸伯さんのメルマガからお伝えします。

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全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは! 北野です。

まずお知らせから。
先日亡くなった江沢民。
・彼と国際金融資本の真実
・江沢民に騙され、利用された日本の真実
・米中同盟が日本を破壊した動機と真実
について、動画で解説しています。

非常に重要な内容ですので、是非ごらんください。↓


では、本題。
今日は、「2023年世界の3大テーマ」についてです。

▼プーチンの戦術核使用を止められるか?
一つ目のテーマは、「プーチンの戦術核使用を止められるか?」です。
プーチンは、ウクライナ侵攻で、敗北を重ねてきました。

1回目は、首都キーウ攻略に失敗したこと。
プーチンは当初、「ウクライナ侵攻は、2~3日で終わる」と見ていた。
だから「戦争」ではなく、「特別軍事作戦」という用語を使ったのです。

「戦争とか大げさなものじゃない。すぐ終わるんだよ」と。
「ゼレンスキーは逃亡し、キーウは速やかに陥落するだろう」と。
しかし、ロシア軍はキーウを落とすことができませんでした。

2回目は9月11日、ハルキウ州での戦いに大敗したこと。
プーチンは、この敗北に衝撃を受け、二つの重要な決断を下しています。
9月21日に「動員令」を出したこと、
そして9月30日にルガンスク州、ドネツク州、ザポリージャ州、ヘルソン州をロシアに併合したことです。
プーチンは、「ルガンスク、ドネツクで迫害されているロシア系住民を救う」と主張していました。
ところが、ちゃっかりザポリージャ州、ヘルソン州も併合した。

3回目の敗北は、11月11日にヘルソン州の首都ヘルソン市を失ったこと。
ロシアは、9月末に「併合した」州の州都を、40日後に奪われてしまったのです。
この事実は、これまでプーチンを支持してきたロシア国内の極右勢力をも激怒させています。

というわけで、ロシア軍は戦場で勝てなくなっている。
そこで、プーチンはどうしたかというと、
「ウクライナの電力インフラを集中的に攻撃せよ!」と命じた。
それで、ウクライナでは今、電気がなく生活している人が数百万人いる。

プーチンの目的は、何でしょうか?
電気がなくなる→ 暖房が使えない→ ウクライナの冬は寒い→ 国民は家の中でも凍える→ 反ゼレンスキーの動きが強まる
こういう目論見です。

ですが、そうはなっていません。
怒りは、民間人を凍えさせる残虐な作戦を指揮しているプーチンに向かいます。

いずれにしてもプーチンは、追い詰められています。
それで、彼が戦術核を使う可能性がある。
彼自身が、核使用に何度も言及しているのです。

たとえば2022年9月30日ロイター
<ロシアのプーチン大統領は30日、ウクライナ東・南部4州の併合を宣言する演説で、米国が第二次世界大戦末期に広島と長崎に原爆を落とし、核兵器使用の「前例」を作ったと指摘した。
プーチン大統領は最近、自国の領土を守るために核兵器を使用する用意があると述べ、核兵器使用が懸念されている。プーチン氏は演説で「米国は日本に対し核兵器を2回使用した」とし「米国が核兵器使用の前例を作った」と述べた。>

つまりプーチンは、「アメリカが最初に核兵器を使ったのだから、ロシアが使ってもOKだろう!」と主張している。

アメリカが77年前に核兵器を使ったから、ロシアが今使ってもいい????????????
この主張を聞いて、「そうだよね~~~」と納得できる人はいないでしょう。

何はともあれ、2023年最大のテーマは、
「プーチンの戦術核使用を止めることができるか?」です。

この件で、アメリカのサリバン大統領補佐官は、ロシアのパトルシェフ安全保障会議書記と何度も話し、
「戦術核を使えば、ロシアもプーチンも終わりだ」と脅しているそうです。
脅しがうまく機能し、プーチンが戦術核を使わないことを願いましょう。

もし使えば、NATOがロシア軍に反撃し、第3次世界大戦がはじまります。
残念ながら、「そういう可能性がある」という認識をもっておいた方がいいでしょう。


▼習近平の「台湾侵攻」を止められるか?
2023年、2番目のテーマは、「台湾侵攻を止められるか?」です。
この件で、「アメリカは、中国が台湾に侵攻するように煽っている」という人たちがいます。
つまり、「アメリカが台湾有事を望んでいる」と。実際は、全然違います。

習近平が台湾侵攻に踏み切る条件は何でしょうか?
・欧米と日本が弱いので「台湾に侵攻しても大丈夫」と考えたとき。
ですが、台湾侵攻時の欧米日の反応を、どうすれば知ることができるでしょうか?

「モデルケース」がありますね。
ロシアによるウクライナ侵攻です。
結果、ロシアが勝利してプーチン政権が安泰であれば?
習近平は、「ウクライナに侵攻したプーチンはサバイバルできた。俺が台湾に侵攻しても、サバイバルできるだろう」
と考え侵攻するリスクが高まります。
だから、プーチンを敗北させることは、習近平に台湾侵攻を思いとどまらせる効果があるのです。

習近平が台湾侵攻に踏み切る二つ目の条件は、
「引っ込みがつかなくなった時」です。
たとえば蔡英文さんが、台湾独立を宣言すれば?
習近平は、日本や欧米の反応はどうあれ、独立を止めるために台湾に侵攻せざるを得なくなるでしょう。

だから、もしバイデン政権が「台湾有事」を望んでいるのなら、それを起こす簡単な方法がある。
蔡英文さんに台湾独立を宣言させ、欧米と日本が台湾を国家承認すればいい。
これをやれば、確実に台湾有事がはじまります。
しかしバイデンは、やりません。

アメリカの基本的対中政策は二つです。
・中国の台湾侵攻に反対
・「一つの中国の原則」を支持

つまり、アメリカは、1970年代に米中で合意したように、台湾を独立国家として認めていないのです。
もしアメリカが台湾を独立国家として認めれば、習近平が台湾に侵攻する可能性が高まるからです。

バイデン政権は、何を考えているのか?
・中国の台湾侵攻に反対
これは、「中国が台湾に侵攻したら、習近平も中国も大変なことになるぞ!」という脅しです。
侵攻を思いとどまらせる効果。

そのために、
クワッド、AUKUS、IPEF、民主主義サミットなどによって着々と「反中包囲網」を築いています。

それでも確信がもてないので、バイデンは、
「中国が台湾に侵攻すれば、アメリカが台湾を守る!」
これまで3回明言しています。
習近平は、「台湾に侵攻すれば、アメリカと戦うことになるな」と考えざるを得ません。

・「一つの中国の原則」を支持
その一方で、バイデン政権は、習近平が侵攻を決断せざるを得ない状況に追い込まないよう、注意しています。
具体的には、「一つの中国の原則を支持する」という。


バイデン政権の戦略は、基本的な
「バランス・オブ・パワー戦略」であることがわかるでしょう。

アジアは、中国が強くなりすぎてバランス・オブ・パワーが崩れている。
だから、アメリカは、クアッド、AUKUS、IPEF、民主主義サミット
などで反中包囲網を築き、バランス・オブ・パワーを回復させていきます。

その一方で、中国がバランス・オブ・パワー破壊に動かないよう、
「一つの中国の原則を支持」というのです。

バイデン政権の動きはすべて、
「アメリカが中国の台湾侵攻を望んでいない」ことを示しています。

しかし、問題は中国国内です。
中国は2021年10月に起こった「恒大ショック」から不動産バブル崩壊の過程にあります。
さらに、「ゼロコロナ政策」をやめたことで、感染爆発が起きている。

中国経済は、江沢民、胡錦涛の時代と比べれば、ほとんど成長しない。
自慢の「ゼロコロナ政策」は破綻した。

なすすべなしになった独裁者が、侵略によって支持率を高めようとすることは、よくあることです。
(例、クリミア併合とウクライナ侵攻で支持率を爆騰させたプーチン。)
今年は、「習近平に台湾侵攻を決断させない戦い」がつづきます。


▼金正恩の暴走を止められるか?
北朝鮮は2022年、70発の弾道ミサイルを発射したそうです。
なぜ金正恩はアクティブになっているのでしょうか?
これは、ウクライナ侵攻と関係があります。
ウクライナ侵攻で、ロシアと日欧米の関係が決定的に崩れた。

そのロシアは、国連安保理で拒否権を持つ常任理事国。
北朝鮮がいくらミサイルをぶっ放しても、国連は制裁を強化することができません。
ロシア、そして中国が拒否権を使って制裁強化を阻止してくれるからです。

金の願いは、アメリカとの交渉でしょう。
しかし、ロシア、中国と戦っているアメリカは、北朝鮮をかまっている余裕がありません。
それで、金はますます頻繁に挑発を繰り返すようになっていく。

というわけで今年は、
1、プーチンの戦術核使用を止められるか?
2、習近平の台湾侵攻を止められるか?
3、金正恩の暴走を止められるか?
大きく三つのテーマがあります。

2023年が終わった時、
1、プーチンは、戦術核を使いませんでした。
2、習近平は、台湾侵攻を決断しませんでした。
3、金は暴走しませんでした。
ということになれば、「よかった」といえるでしょう。

どっちに転んでも、2023年は「歴史的な一年」になります。

---owari---
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