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2022年、世界はどうなる?

2022年02月06日 | 政治・経済
今日は国際関係アナリスト・北野 幸伯さんのメルマガからお伝えします。

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全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは! 北野です。

皆さん、年末年始は、いかがお過ごしでしたか?
私は、妻子と共にスキーにいったり、温泉にいったりしていました。
どこに行っても人だらけで、活気が戻っているのがわかります。
ありがたいことです。

しかし、新型コロナの第6波がまだ終息していないので油断はできません。
それでも、2020年とは状況が違います。
2020年は、新型コロナのことが全然わからなくて恐怖でした。
マスクを入手するのも困難だった。

今は、新型コロナのことがよくわかり、マスクはどこでも買うことができる。
ワクチン接種で、高齢者の死亡率が下がっている。
飲み薬もできている。
大局的に状況はよくなっている。
ですから、凹まずに進んでいきましょう。

さて、「2022年、世界はどうなる?」を考えてみます。

(大局を知ろう)
私はいつも、大局の話をします。
大きな流れです。
1945年から1991年は、「冷戦時代」、別の言葉で「米ソ二極時代」でした。
アメリカとソ連が覇権を争っていたのです。

冷戦は1991年12月、ソ連崩壊で終結しました。
二極のうち一極が消滅し、一極だけ残った。
1992年から世界は「アメリカ一極時代」に突入しました。

この時代は、今もつづいているのでしょうか?
それとも、すでに別の時代になっているのでしょうか?
そう、「アメリカ一極時代」は2008年、リーマンショックからはじまった「100年に1度の大不況」で終わったのです。

2009年、「米中二極時代」が到来しました。
世界には、アメリカ、中国、二つの超大国がある。
さらに2018年、ペンス副大統領(当時)の、「反中演説」から、
「米中覇権戦争」がはじまりました。

今は、「米中二極時代」の「米中覇権戦争時代」です。
そして、「米中二極時代」がはじまった2009年から、2020年まで、重要なファクターがありました。
それは、2009年から2020年まで、「中国が有利だった」という事実です。
たとえば2015年3月、「AIIB事件」が起こりました。
中国が主導して作った「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)。

中国は、「皆さんAIIBに入ってください!」とよびかけた。
アメリカは、同盟国、親米諸国に、「AIIBに入るなよ!」と要求しました。
ところが、「特別な関係にある」といわれるイギリスが裏切った。

それにつづいて、日本をのぞくほとんどすべての「親米諸国」がAIIBに入ってしまったのです。
ちなみにAIIBの参加国は、すでに100か国まで増えています。
この事実から、「2015年時点で、中国が有利だった」ことがわかります。

では、2020年はどうでしょうか?
2020年といえば、「中国発新型コロナウイルスの年」です。
しかし、中国は強権を発動し、新型コロナの感染拡大をおさえこむことに成功しました。

一方、アメリカは、感染者数、死者数とも世界一でボロボロ。
この事実から、2020年の時点でも、まだ中国が有利な状況であることがわかります。

(2021年は逆転の年)
しかし、2021年は状況が変わりました。
アメリカでは、「親中」といわれるバイデンさんが大統領になった。

彼は、「反日」でもある。
私は一昨年末から昨年初め、「バイデンは、確かに親中反日です。しかし、米中覇権戦争はつづいていくし、日米関係はむしろよくなります」
といいつづけてきました。
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をご一読ください。
日本が中国に勝つ、確実な方法もわかります。)

バイデンというか、側近のブリンケンさんとかサリバンさんが優秀なのでしょう。
2021年、アメリカは、「反中包囲網」を強化拡大することに成功しました。

日米豪印の「クアッド」が強化された。
トランプ時代バラバラだったG7が再結束し、しかも反中になった。
トランプ時代バラバラだったNATOが再結束し、しかも反中になった。

BBC NEWS JAPAN 2020年6月15日を見てみましょう。
<北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議が14日、ベルギー・ブリュッセルの本部であり、中国の軍事的脅威に懸念を示す首脳宣言を発表した。中国の行動は「全体にとっての挑戦」だとした。>

このことは、とても重要です。
なぜ?
そもそもNATOは、「反ソ連、反ロシア軍事同盟」です。
それが去年、「反中国の軍事同盟」にもなった。

9月には、アメリカ、イギリス、オーストラリアの反中同盟「AUKUS」ができました。
「クアッド」「G7」「NATO」「AUKUS」
これらは、すべて「反中包囲網」です。

2020年まで、世界の「バランスオブパワー」が崩れていました。
要するに、中国が強くなりすぎていた。
バイデン政権は、1年かけて「バランスオブパワー」を回復させたのです。

(自滅にむかう中国)
一方の中国はどうでしょうか?
これは、習近平「二つの失策」で自滅にむかい始めました。

「二つの失策」とは何でしょう。
一つは、「戦狼外交」。
中国は、どの国に対しても強硬なのです。
それで、どんどん敵が増えています。

思い出してください。
「AIIB事件」があった2015年、世界の大部分の国がアメリカより中国を選びました。
しかし、その後、「香港問題」「台湾問題」「ウイグル問題」「新型コロナ起源問題」などで、
どんどん反中の国が増えていった。

ここ数年で、「親中」から「反中」になった国。
たとえば、イギリス、フランス、ドイツ、オーストラリアなど。
さらに、中印国境紛争再燃で、インドもさらに反中になりました。

反中になったのは、いずれも強力な国です。
中国は最近、台湾大使館開設を許可したリトアニアを
「ゾウの足の裏にいるネズミかノミ!」と呼び、バルト三国を敵に回しました。
中国外交、万事こんな感じなので、今後ますます敵が増えていくことでしょう。

もう一つの失策は「共同富裕」です。
最近、習近平は、こればかりですね。
意味は、「皆で金持ちになりましょう」。
しかし、実際は、「ただの金持ちバッシング」になっています。

そして、習近平は昨年、歴史的迷言によって、バブルを崩壊させました。
その「迷言」とは、
「マンションは住むためのもので、投資するものではない」です。

怖い独裁者がこんなことをいえば、誰も不動産投資できなくなります。
それで、「恒大ショック」が起こり、中国はバブル崩壊過程に入ったのです。

というわけで、2021年は、
「アメリカと中国の関係が逆転した年」
「アメリカが、2009年以降初めて有利になった年」といえるのです。

(2022年のトレンド)
では、2022年はどんな年になるのでしょうか。
まず新型コロナ。
現在オミクロン株が猛威を振るっています。

しかし、ワクチンがあり、飲み薬も出てきている。
2020年、2021年とは、状況が異なっています。
それで、20年、21年より、ずいぶんマシになっていくでしょう。
経済活動の再開が進み、世界経済、日本経済復活の原動力になります。

一方、世界経済のマイナス要因は、「中国バブル崩壊」です。
「経済活動再開」というポジティブ要因を、「中国バブル崩壊」というネガティブ要因が相殺する。
とはいえ、「経済活動再開」というポジティブ要因の方が強く、緩やかに回復するでしょう。

世界情勢を見ると、アメリカの反中包囲網は、ますます強化され、中国の孤立はさらに進みます。
注目地域は、台湾とウクライナですね。
皆さんご存知のように、ロシアは、ウクライナ国境に大軍を集結させています。

これは何でしょうか?
プーチンは、「アメリカは中国との戦いで手いっぱいだ。ウクライナにかまっている暇はない。妥協を引き出せる」と狡猾に状況を読んでいるのです。
彼の望みは、ウクライナをNATOとの緩衝地帯として残すこと。
アメリカとロシアの交渉がつづいています。

というわけで2022年の世界は、
・反中包囲網はさらに強化され、中国の孤立化がますます進む
・世界経済は、「経済活動再開」というポジティブ要因を「中国バブル崩壊」というネガティブ要因が相殺する。しかし、ポジティブ要因が強く、ゆるやかに回復する。
・紛争が起きる可能性があるのは、台湾とウクライナ。ということですね。

---owari---
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