ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

のるかそるかの桜田大臣

2018-11-10 17:12:56 | 日記
近頃、テレビのワイドショーでは、片山さつき地方創生担当相と並んで、桜田
義孝五輪相がしきりに叩かれている。しどろもどろの国会答弁や珍答弁を面白
おかしく「これでもか」というほど繰り返し見せられるたび、私はイヤ〜な気
分にとらわれる。実をいうと私は、桜田大臣のシンパというほどではないにし
ても、彼に悪い感情は持っていないのである。

たしかに、しどろもどろになりながらも、悪びれた様子を見せないあの厚顔無
恥を見せられると、その顔を一発ぶん殴ってやりたい思いに駆られることは否
定しない。しかし、彼のその顔は大汗を滴らせている。ハンカチで大汗を拭う
彼の姿を見ると、私はやはり同情を禁じ得ないのである。

新聞の報道によれば、彼は高校を出て大工になり、学費を稼ぎながら大学に通っ
た苦学生だという。二世が多いこの業界で、大工から国会議員にのし上がり、
大臣に登りつめるなんて、テレビドラマを見るようで、なんとも痛快ではない
か。

さらに別の報道によれば、桜田大臣の大汗は二日酔いのせいではないかとい
う。彼は大酒飲みで有名らしいのだ。

大工で大酒飲みといえば、落語「子別れ」の、あの憎めないクマさんを思い出す。
「神田堅大工町にすむ大工で熊五郎。
腕はいいのだが、惜しい事に名代のウワバミで、しかも酒乱というからタチが
悪い。
その日も、数日振りにベロベロになって帰ってきて、戻ってくるなり訳のわか
らない言い訳ばかり」
                          (Wikipedia から)

こちらの大臣のクマさんは、ベロベロに酔っ払っているわけではなく、あくま
でも素面(しらふ)の対応である。

人には得手不得手がある。このクマさんは、国会答弁が不得手なのだ。数年前
の問題発言(原発事故廃棄物や従軍慰安婦に関して)のこともある。彼は国会
議員としての発言には向いていないのである。とすれば、彼は大臣への誘いを
受けるべきではなかった。「その他大勢」の並び大名のままでいれば、彼は無
様な醜態をさらすこともなく、のほほんと地方の「名士」でいられただろう。

私は以前、本ブログで書いたことを思い出す。
「ヘーゲルは『従僕の目に英雄なし』ということわざを引き合いに出したうえ
で、『それは英雄が英雄でないからではなく、従僕が従僕だからだ』と付け加
えている。
ナポレオンのような英雄でも、屁をひれば糞もする。英雄の日常生活の世話を
する従僕から見れば、英雄もふつうの人間となんら変わるところがない。英雄
が行った事績の凄さが解らない従僕には、英雄の偉大さが見えないのである。
このヘーゲルの見解を敷衍すれば、一億総活躍担当相になった松山政司氏にし
ても、防衛相になった小野寺五典氏にしても、また「人づくり改革」担当相と
なった茂木敏充氏にしても、問題にすべきは、彼らがなし・なすであろう事績
であって、それ以外の何ものでもないということになる。」
              (2017.8.05《ヘーゲルで読む改造人事》)

これと同じ理屈で言えば、桜田クマさんに関しても、我々が問題にすべきは、
彼がなし・なすであろう事績であって、それ以外の何ものでもないことにな
る。
でもなあ・・・。我らがクマさんは、どう贔屓目に見ても、五輪相として立派
に事を成し遂げられるだろうなんて、とても思えないんだよね。大化けすれ
ば別だけど、やっぱり彼はヒラの議員に戻ったほうが良いんじゃないだろう
か。
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