ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

1億?総活躍?(その3)

2016-05-19 11:55:50 | 日記
大事なのは、働く場所の創出や提供よりも、高いスキルを持った人
材の育成だ。

安倍内閣の看板政策である「1億総活躍社会」。この政策の実現をテ
ーマにした社説で、毎日はそう主張している。今回はこの主張に注目し
たい。毎日のこの主張は、職場と生きがいとの関係について、有意義な、
無視できない見方を含んでいるように思えるからである。

政府の「1億総活躍社会」の発想には、「職に就ければ、人は生きがい
を持って暮らせるはずだ」という考え方が、暗黙のうちに前提されてい
るように思われる。

だが、事はそう簡単ではない。長年勤めても、自分の仕事・職場に生き
がいを見いだせない人は少なくない。たとえば、長年勤めた職場に生き
がいもアイデンティティーも感じられず、早期退職して、山村に移り住み、
田舎暮らしを始める人が少なからずいる。そういう人たちは、生きがいと
の出会いを求め、見よう見まねで農業を始めたりするが、はじめての農
作業で勝手が分からず、大半が挫折してしまう。

そういう人たちに、農作業のスキルを伝授するというのはどうだろう。
生きがいとの出会いはきわめてプライベートなことがらだと書いたが、
それぞれが関心を持つ分野でスキルを磨き、畑でも田んぼでも山林でも
いい、自分のスキルを活かせる職場で働ければ、人は自ずと輝き、「活
躍」することができるのではないか。

「就職の場としての農業」とか「生きがいづくりの場としての田舎暮ら
し」といったお仕着せのハコモノを作り与えるのではなく、それぞれに
スキルを持った人材を育成するような、そういった民間団体の取り組み
に目を向け、そういう取り組みを財政的に援助するほうが、「1億総活躍
社会」の実現にはよほど効果的だし、建設的ではないか――。これが毎
日の提言なのである。

なるほどね。――あ、毎日さん、それから朝日さん、私もその一人だけ
ど、リタイアしても、高齢で体力が衰えても、脳卒中の後遺症に悩まさ
れていても、独りで日々ブログを書くことに生きる充実感を見いだし
て、生き生きと「活躍」している人も少なくないと思いますよ。
そういう人たちのこともどうぞお忘れなく。
コメント
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