道端などにユウゲショウがピンクの花を咲かせています。
安倍首相の発案で再び改憲問題が表面化している。問題提起者が時の首相であること、加えて北朝鮮の動きが絡んで、今回は本格的な政治課題になりそうな雰囲気である。
我が国の憲法問題は、戦後ずっと妙な位置に置かれていて、一部の人には改憲を議論の爼上に登せること自体さえ譴責の対象とするような思想風土がある。いわゆる戦後民主主義至上主義の風潮であって、その中心は第九条を中心とする、戦争放棄と軍備の不保持の原則である。
この原理は、争いを嫌う主婦や戦争の残虐性などに絡められ、戦後ずっと支持されてきた考え方である。ところがそうは言え、自衛のための軍隊として、以来着々と整備が進み、今日ではアジアでは屈指の軍隊として存在するようになった。まさに違憲状態である。これをどう扱うのか?
本来、軍隊は国家共同体と不可分に結びついている。軍備を本気で廃棄するには、国家を廃絶することなしにはありえない。しかし、憲法改悪反対、九条至上主義者たちは、こうした国家と軍隊の本質に関する見解を深める思想的な営為をまったく怠ってきたばかりか、世界連邦のような国家を止揚するような構想についても、これっぽっちも検討してこなかった。立憲主義があきれるのだ。
私は、現状では、この軍隊を暴走させないよう憲法で明確に縛ることが喫緊の課題だと思う。軍隊は意図に反し、状況によっては暴走することがあり得るからだ。
ところで、現在の自衛隊を法的に規定しているのは主として次の二法である。
自衛隊法
有事法制関連−武力攻撃事態対処関連三法
である。その自衛隊法に次のような記述がある。
第三条 自衛隊は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、我が国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たるものとする。
第七条 内閣総理大臣は、内閣を代表して自衛隊の最高の指揮監督権を有する
気になるのは「公共の秩序の維持」という規定である。
軍隊は国内問題、いわゆる政治的問題や治安に関与してはならない。いかなる意味においても、それは国民の武力による弾圧になるからだ。だから、公共の秩序云々といったような規定を設けるべきではないのである。これが場合によっては暴走の契機になるからだ。戦前の日本、またどこの国でも軍隊の出動は国家のため、公共の安寧と平和のためだったのである。憲法論議よりこちらの方の検討こそ、最重要課題である。
わたしは、従って次の点を明記し、自衛隊を憲法で縛っていくべきだと考える。
1 自衛隊は国外からの武力による侵略に対してのみ攻撃防御できる
2 自衛隊は災害救助隊を結成し、要請があればどこへも派遣できる
3 自衛隊は内閣総理大臣を長とする国家安全委員会の指揮のもとに、活動は国会の承認を得なければならない。
現在問題なのは改憲云々ではなく、自衛隊のあり方なのである。【彬】