E-P1 + Lumix G 20mm/F1.7
Photokinaのプレスカンファレンスで、オリンパスのマーケティングディレクターが、フォーサイズレンズの
開発を終了する旨の発言をしたみたいです。
それを受けてネット上では散々な状況になっていますが、それは差し置いてビジネスとして考えても呆れ果て
る話です。
そもそも、システムの開発終了なんて言う話は非常にデリケートな話ですから、まだ現役でラインナップして
いる間は口が裂けても言ってはならない話なんです、しかもE-5の発表直後だってのに。
それこそ『ソニーはベータマックスをやめません』くらいの発言をしないとだめです。
もちろん、そういう行動は不誠実だという人もいるかもしれませんが、不誠実どころか当たり前の話です。
少なくともE-5であと2年はビジネスやんなきゃいけないんだから。
上層部が撤退発言をするのは、在庫がはけて事実上保守のみになって、世間一般でも撤退やむなし/事実上撤退、
くらいの状況になってからじゃないと話になりません。
誠実か不誠実かは、その上で古くからのユーザーにきちんとした受け皿を作れるか否かです。
もちろん、何となく上層部発言の背景は推察できます。
だいたいメーカーの戦略は2~5年先を見据えてラインアップを考えていますから、上層部の頭の中には2012
~ 2015年の状況があります。
要は、ミラーレス機が市場を席巻している状況、そして韓国(サムソン)や台湾のミラーレス機が台頭してい
る状況。
キヤノンもニコンも強力なミラーレス機を出しているでしょうし、機械的な部分が少ないため、価格競争も一
眼レフが比較にならないほど起きているかもしれません。
多分2012年以降はそういう状況になっていると思います、それは否定しません。
だから今の段階でミラーレス機に集中して、キヤノン/ニコン、そしてサムソンがユーザーの囲い込む前に手を
打たなければならない、というのもわかります。
ただ、それはあくまで『将来の戦略』の話です、外に話す話ではありません。
そして、将来の戦略のために『今のビジネス』をつぶすのは本末転倒です、だって会社は『今のビジネス』で
食べてんだから。
まして、うっかり『将来の戦略』をしゃべったばっかしに、『今のビジネス』をつぶして、そのせいで『将来
のビジネス』までつぶれたんじゃ本末転倒もはなはだしいです。
そんなことはオリンパスの上層部は考えないんでしょうか?
考えてないんだとしたら末端でがんばってる社員はかわいそうです、もちろんユーザーも不幸です。
アップルだったら、くだんのマーケティングディレクターはジョブスの逆鱗にふれて、即クビなんじゃかかろ
うかと思います。
そもそもオリンパスのフォーサーズシステムは、Standard/High Grade/Super High Gradeの3つのフルライ
ンナップを持つ、かなり贅沢なシステムです。
レンズ一本一本を見てもハイレベルなレンズがそろっています。
一方、マイクロフォーサーズは今年末にようやくStandardレンズが出そろう程度で、マクロレンズすらないシ
ステムです。
なんでオリンパスはフォーサーズシステムをもっと有効利用しないかなー?
だいたい、ハイスピードイメージャーAF対応のレンズであれば、フォーサーズレンズだって問題なくマイクロ
フォーサーズで使えるんだからなおさらです。
マイクロフォーサーズが出そろうまでは、しれっと『ハイスピードイメージャーAF対応のフォーサーズレンズ
なら、フォーサーズ、マイクロフォーサーズの両方使えてお得!』、『明るいズームレンズは、フォーサーズ
でも使えるZuiko Digitalで!』くらいのマーケティングをやっときゃいいんです。
少なくとも、2009 ~ 2011年に35 mm/F3.5と50 mm/F2.0、あと11-22 mm/F2.8-3.5と、可能なら
50-200 mm/F2.8-3.5をハイスピードイメージャーAFに対応させたバージョンアップを出せば出来た話です。
そうすれば、2015年前後にマイクロフォーサーズに収束しても、5年前のユーザーは問題なく使い続けられる
し、Super High Gradeシリーズをフルに使えるミラーレスのAFシステム開発の時間稼ぎも出来たでしょう。
資産は有効に使うから資産なんです、じゃないと不良債権に成り果てます。
ボディーだってそうです。
E-620で手ぶれ補正、多点AF、秒4コマ連写、ハイスピードイメージャーAFというメカニカルな部分の必要用
件はクリアしました。
はっきり言って、一般ユーザーにはE-620の性能があれば、大抵の写真は写せます。
なので、わざわざ開発中止を明言しなくても、あとはPENの技術を流用してHDムービーや新作のアートフィル
ターでお茶を濁すアップデートを3回やれば2015年まで逃げ切れたはずです。
それでE-5とE-620を順々にマイナーアップデートすれば、何となく続いている感じが出ます。
2013年に『E-System10周年モデル』とかいって最後に打ち上げ花火でE-7(中身はE-5のアップデート版)
でも発表すれば、スムーズにマイクロフォーサーズに移行できたはずです。
なのに、なんでE-5が出た今のタイミングで先の発言が出るかなー?
繰り返しますが、2015年の主流は各社ミラーレス機になっていると思います。
そのために、どうやって今のユーザーを引き止めつつ、ソフトランディングするかが重要なはずです。
パナソニックは泥沼にはまる前にフォーサーズから撤退しました(これだってまだ直接明言はしていません、
それが普通です)。
サムソンも同様です。
ソニーは半反射ミラーを使ったAマウント機でOVF→EVFの移行を先に行い時間を稼いでいます。
ニコンは基軸を変える構えのようです。
キヤノンは今のところ静観の様子です。
(そもそもキヤノンはレッドオーシャン戦略なので、主流になることがはっきりしてから参入するはずです)
そんな中、なぜオリンパスはおわなくてもいい傷を負ってハードランディングしようとするかな?
ビジネスが続けられなくなれば、製品が出せなくなりますので、それはユーザーにとっても不幸な話です。
フォーサーズユーザーの中には、フォーサーズシステムの理想に共感した人間がたくさんいます。
実際、E-Systemはよく考えられたシステムだと思います。
だからこそ、無理にフォーサーズを続けるのではなく、気持ちよくユーザーがマイクロフォーサーズに移行でき
るように『仕向ける』のがオリンパスのビジネスではないでしょうか?
市場は感情によって動かされますし、先が知れてるシステムは見向きもされません。
オリンパスが本気でミラーレス市場でビジネスをするつもりであれば、そのことをきちんと考えないと同じ轍を
踏むだけになってしまいます。
単純な話、オリンパスががんばってもらわないと、E-Systemが尻すぼみになり、そうなるとユーザーの僕が困
ります(笑)だからこそ、「オリンパスの上層部、しっかりせーよ!」