映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「約束」岸恵子&萩原健一

2019-06-23 08:47:02 | 映画(日本 昭和35年~49年)

映画「約束」を名画座で観てきました。
約束
岸恵子,萩原健一


岸恵子と萩原健一のコンビ、名作の誉れが高い1972年の映画「約束」はなかなかDVD化されず観そびれていた。名画座での「萩原健一特集」でいきなり「約束」が放映されるとなるといくしかない。列車の中で偶然出会った男女のつかの間の恋を映す。日本映画自体が下火になっていたころで、岸恵子と萩原健一の組み合わせは話題になった記憶もある。


海辺を走る急行列車の座席に蛍子(岸恵子)の前にチンピラ風の青年朗(あきら)(萩原健一)が座る。朗は盛んに話しかけるが、蛍子は何も答えない。停車駅で外に飛び出した朗は駅弁を三つ買ってきて蛍子と横に座る中年女性に渡す。そこで初めて言葉を発し、その弁当を食べる。列車の中では護送犯(中山仁)が刑事とともに乗車してきた。朗は護送犯に何をやったの?とちょっかいを出すが、警官に止められる。どこまでいくのと蛍子に聞くと、羽越までと答える。朗も羽越まで向かっているのであった。そのあとトイレに向かう蛍子の姿を横に静かに座っている中年女性が目で追っている。


駅をおりて用事を済まそうとしていた朗だが、横に座っていた中年女性と一緒に旅館の中に入る蛍子を見つける。しばらくして旅館から外出した蛍子の後を追っていく。蛍子は海辺の墓に向かい参拝するが、朗はそのあとを追う。同時に蛍子の付き添いの中年女性もひそかに追っていく。朗がさかんに蛍子に話しかける中、次第に朗と気があっていく。お互いにひかれつつあって翌日に旅館で待ち合わせる約束をするのである。

しかし、翌日の定刻には朗は来れなかった。戻るべきところがある蛍子は付き添いの女性とともに駅に向かい列車に乗車する。すると、朗も駅にきて、しばらくこの町に一緒にいようよと言うが、蛍子はかたくなに列車に向かう。そこで蛍子ははじめて自分の身の上を話す。そして列車に乗車するが、朗も改札を強引に入り込み、走り出す列車に無理やり乗車するのであるが。。。


1.萩原健一
小学生の時にGS全盛時代を経験している。比較的後発でテンプターズがデビューした。1968年「神様お願い」がヒットし、直後の「エメラルドの伝説」がヒットチャートナンバー1になる。まさに頂点のころ、クラスメイトの女子小学生はキャーキャーうるさかった。自分も幼心にリードボーカルがかっこいいと思っていた。しばらくしてGSが下火になり、沢田研二とのツインボーカルで「PYG」というバンドが結成される。でもバンドデビュー以降にマスコミに取り上げられたことは少なかったんじゃなかろうか?


そのころに制作されたのが「約束」である。当時22歳、顔の形成が中途半端な感じがする。ここで演じるチンピラのキャラは「傷だらけの天使」の木暮修とまさに同じだ。このころもGS時代からの女性ファンは数多いと思う。でも「太陽にほえろ」と「傷だらけの天使」でのショーケンはまだ中学生だった我々少年たちから圧倒的支持を受けていた。なんせ菊池武夫デザインによる「メンズ・ビギ」をここまでかっこよく着こなせる男はいない。真似をしようと思っても足元にも及ばなかった。まったく色彩の違う美しい女性芸能人とのゴシップが流れることが多かったが、彼女たちが魅かれる気持ちがよくわかる。



2.岸恵子

昭和40年代前半まで海外へはそう簡単には行けなかった。そんな中フランスの映画監督にもとへ嫁いだ岸恵子はあらゆる日本人から羨望のまなざしで見られた女性であったろう。まだフランスに住んでいたころにこの映画に出演している。「約束」の翌年1973年に上映された「男はつらいよ 私の寅さん」がシリーズ歴代最高の観客動員だという。それだけ岸恵子に対する思いが強い男性は多いのであろう。萩原健一との激しいキスシーンを見て動揺したオールドファンもいるかもしれない。

男はつらいよ 私の寅さん
渥美清,岸恵子


ただ、寅さん映画の時にもコメントしたが、自分はここでの岸恵子自体に華を感じない。陰りのある登場人物なのでそう見えるように演じているのだろうか。ただ、ここで陰のある女性を演じたことが市川崑監督「悪魔の手毬唄」での名演につながったのかもしれない。この下の写真は当時の写真であろう。萩原健一と一緒でうきうきしているリアルな女岸恵子は美しい。


3.海辺を走る急行列車
荒波の横を走り抜ける急行列車の映像が映る。これはどこかな?日本海かな?と思っていると、糸魚川駅に停車するシーンが出てくる。その後、柏崎駅も映る。なるほど、日本海沿いに北陸から新潟、東北方面へ向かっているのだなと感じる。萩原健一と岸恵子の2人は行き先が一緒でうえつ駅に向かうというセリフがある。とっさに「うえつ」って地名あったかな?と思うが、そのまま列車は進み、2人は下車する。

この映画の海をとらえるカメラ構図はなかなかいい。ワイドスクリーンであることを有効に活用して海辺の町を情緒あふれる映し方をする。建物の古い手書き看板に昭和の匂いがたちこめる。映画館で観たほうが断然いいタイプの映画だ。

うえつってどこかなと検索する。羽越本線の名称はあれど羽越という駅はない。そういえば2人が到着したとき敦賀って表示が見えた気がした。あれ?方角反対じゃない?このあたりはフィクションらしく架空の駅を用いてストーリーを描いているんだなと思う。


コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「ポジティブな人だけがうま... | トップ | 映画「アメリカンサイコ」 ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

映画(日本 昭和35年~49年)」カテゴリの最新記事