魔王
2011-04-02 | 本
今日読み終えたのは『魔王』。
伊坂幸太郎です。
ファシズムをテーマとしていて、ファシズムが発生していく様(ムッソリーニをモデルにしている)、世論がどのように動き、浸透していくのか。
大衆心理を汲み取り、その中で個人個人が本当に自分自身で「考えて」動いているのか、問題提起をしている作品です。
主人公はちょっとした超能力を持ち、その流れの中で足掻いていく兄弟を描いた2編で構成されています。
2人は異なる超能力を持って、自分たちがどうあるべきかを「考えて」います。
しかしこれまで読んだ作品と比べて、色々ちりばめられた仕掛を回収せずに終わった感がありました。
この回収作業こそ伊坂作品の醍醐味の一つと考えていたからです。
あえて読者に「考える」ことを残したようにも思えます。
続編として「モダンタイムス」という作品があるようなので、これも読まねばと思った次第。
「考えろ、考えろ」と自分自身に訴えかける場面が多々出てくるが、私自身の尊敬する上司が、以前私が仕事で頭を抱えていたときに横で「考えろ、考えろ」と言って叱咤激励してくれたことをついつい思い出しました。
魔王 (講談社文庫) | |
伊坂 幸太郎 | |
講談社 |
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