酒田 38
湘北 31
タイムアウトが終了。
湘北のボールからリスタートする。
宮城がボールを受け取り一言。
「いくぜ!!」
『ダムダムダム!!』
これまでよりも速く、そして力強いドリブルで一気に駆け上がる。
迎え撃つPG松山。
『ダムダム!』
(「湘北の切り込み隊長は君です。」
わかってますぜ。先生!)
宮城のドリブルは、止まらない。
「!!」
『キュ!』
『ダムダム!』
トップスピードにのったかと思えば、一気にシフトダウンからバックステップ、そして、再びトップスピードへ。
宮城の稲妻ステップが、松山を振り切った。
そのまま、インサイドへ切れ込む宮城。
「宮城がいったーー!!!」
「捌くか!そのままか!」
インサイドの吉田が、パウエルが、カバーに詰め寄る。
(来るならきやがれ!)
「捕まる!!」
「囲まれた!!」
だが、宮城は、囲まれるギリギリのところで、バックビハインドパスを繰り出した。
「巧い!!」
「白田へのパスだ!!」
『バチン!』
白田はボールを受け取らず、再び中へ弾き跳ばす。
「じまった!!」
(「白田君もインサイド勝負、パスを捌くことも考えてください。」
こういうことですよね。先生!)
そのプレーに、吉田とパウエルの動きが、遅れを取る。
「ナイスパス!!」
受け取ったのは、素早くパウエルの前でポジションを取った桜木であった。
『クルッ!』
眼で追えないほどの速いパスワークに、一瞬の遅れが生じたパウエル。
そのパウエルの上から、桜木は力強いシュートを放った。
『バス!!』
ボールは、激しくボードに当たり、ネットを豪快に揺らす。
「よっしゃーーーー!!」
大きな声で叫ぶ桜木。
「湘北の眼にもとまらぬパスワーク!!!」
「タイムアウト後に、しっかり決めてきたーー!!!」
「桜木!いいぞーー!!!」
(「リバウンドだけではないところを証明してください。」
トーゼン!誰にも負けねぇ!)
「花道!ナイッシュだ!」
「おうよ!リョーちん!!ハクタスもこの天才によくついてきた!!」
「キャプテンのパスと桜木先輩のポジション取りが絶妙だったんですよ。」
誉め合う3人。
テンションが高まる。
「もう1本いくぜ!!」
「おう!!」
「はい!!」
流川と柳が、顔を見合わせる。
(乗り遅れた・・・。)
「押せ押せ!ショーホク!押せ押せ!ショーホク!」
「ディ!ディ!ディフェンス!ディ!ディ!ディフェンス!」
「押せ押せ!ショーホク!押せ押せ!ショーホク!」
「ディ!ディ!ディフェンス!ディ!ディ!ディフェンス!」
会場がヒートアップ寸前。
隣で行われている洛安、北陽高校の試合をも飲み込む勢いである。
酒田 38
湘北 33
『キュ!』
『キュッ!!』
『キュッキュ!!』
再び、湘北の激しいオールコートマンツー。
「厳しいディフェンス!!」
「酒田、運べるかーー!!」
だが。
先程のお返しとばかりに、松山が冷静に確実にボールを運んだ。
(ちっ。ホントに動じねぇやつだぜ。)
観客席の山王、PG加藤とSG烏山の会話。
「宮城一人では、松山を止められないダス。」
「確かにな。夏輝でさえ、てこずったんだからな。」
「だが、今回は完璧に止めるダス。」
「もう一度勝負してぇってことか。こりゃ、酒田を応援しなきゃならないな。」
『キュッ!』
『ダム!』
『キュッキュ!』
湘北コート内で、両チームの激しい攻防のなか。
『ビィ!』
松山のノールックジャンプパスが炸裂する。
(!!)
受け取ったのは、随所に素晴らしいプレーを見せているSF田中。
現時点で、酒田がリードを奪っていたのは、田中が流川を抑えている功績が大きい。
その影の功労者、ディフェンスの男田中が、流川を抜きにかかる。
(ジュニアのようだが、そんなん関係ねーど!)
(来るならきやがれ!)
『ダム!』
重心の引く姿勢からのレッグスルー。
鋭く方向転換。
(抜いたど!)
そのまま、ジャンプシュートを放った。
『シュ!』
『ピシィ。』
「なんだど!」
(かすった!)
流川の懸命のシュートチェック。
(打たれちまったが。
「オフェンスでもディフェンスでもチームを勝利に導いてこそ、本当のエース。」)
「リバン!」
珍しく流川が叫んだ。
「おっ!気合十分じゃねぇかよ!!」
と笑う沢北。
その瞬間、ゴール下でポジションを取り合う4人の大男たち。
『ガシ!』
『ガシ!』
「ハクタス!ゴール下は死守だ!!」
「はい!!」
『ダン!!』
そして、この男が力強くコートを蹴る。
『キュ!』
「!!」
「あっ、柳君が走った!!」
「速すぎるスタートだわ!!!」
(「仲間を信頼することです。」
俺は、前に走るのみ!!)
柳は、仲間がリバウンドを獲るという前提の元、酒田ゴールへ走った。
(柳のやつ。)
それを確認する宮城。
ゴール下。
体が体を抑え、心を心が抑える。
『ガコン!』
軌道のずれた田中のシュートは、リングにあたり、跳ね返る。
「桜木君!!」
晴子が叫ぶ。
ボールは、桜木とパウエルのほうへ、跳んだ。
「上出来!!」
「グッド!!」
「だりゃーーー!!!」
「トォーー!!!」
両腕でつかみに行くパウエルに対して、桜木は右手1本で、奪いにいく。
「あれでは!!」
「獲られる!!」
と湘北ベンチ。
「ぬおぉぉー!!」
空中で一伸びする桜木。
右手が伸びる。
そして。
『バン!』
「リョーちん!!」
桜木の選択は、ティップアウト。
「いいぞ!」
『バス。』
受け取った宮城は、回転をしながら、サイドスローで前方へ放り投げる。
「受け取れ!!」
誰よりも速くスタートを切っていた柳に追いつけるものなど、誰一人いない。
「もう走ってやがる!!!」
「湘北の速攻だーー!!!」
『バチィン!!』
宮城からの絶妙なパスを受け取った柳。
背後を確認することなく、綺麗なレイアップシュートを打った。
『パサ。』
「決まったーー!!!」
「湘北が息を吹き返したーー!!!」
「3点差!!」
「捉えたぞ!!!」
柳は、湘北コートの4人を見つめ、小さく微笑んだ。
『クル。』
そして、5人が一斉に湘北ベンチの安西を見る。
(先生・・・。)
(オヤジ・・・。)
安西は、立ち上がり、小さく拳を握って、微笑んだ。
(その調子ですよ。)
安西の言葉が、湘北に復活の息吹をもたらしたのであった。
酒田 38
湘北 35
続く。
湘北 31
タイムアウトが終了。
湘北のボールからリスタートする。
宮城がボールを受け取り一言。
「いくぜ!!」
『ダムダムダム!!』
これまでよりも速く、そして力強いドリブルで一気に駆け上がる。
迎え撃つPG松山。
『ダムダム!』
(「湘北の切り込み隊長は君です。」
わかってますぜ。先生!)
宮城のドリブルは、止まらない。
「!!」
『キュ!』
『ダムダム!』
トップスピードにのったかと思えば、一気にシフトダウンからバックステップ、そして、再びトップスピードへ。
宮城の稲妻ステップが、松山を振り切った。
そのまま、インサイドへ切れ込む宮城。
「宮城がいったーー!!!」
「捌くか!そのままか!」
インサイドの吉田が、パウエルが、カバーに詰め寄る。
(来るならきやがれ!)
「捕まる!!」
「囲まれた!!」
だが、宮城は、囲まれるギリギリのところで、バックビハインドパスを繰り出した。
「巧い!!」
「白田へのパスだ!!」
『バチン!』
白田はボールを受け取らず、再び中へ弾き跳ばす。
「じまった!!」
(「白田君もインサイド勝負、パスを捌くことも考えてください。」
こういうことですよね。先生!)
そのプレーに、吉田とパウエルの動きが、遅れを取る。
「ナイスパス!!」
受け取ったのは、素早くパウエルの前でポジションを取った桜木であった。
『クルッ!』
眼で追えないほどの速いパスワークに、一瞬の遅れが生じたパウエル。
そのパウエルの上から、桜木は力強いシュートを放った。
『バス!!』
ボールは、激しくボードに当たり、ネットを豪快に揺らす。
「よっしゃーーーー!!」
大きな声で叫ぶ桜木。
「湘北の眼にもとまらぬパスワーク!!!」
「タイムアウト後に、しっかり決めてきたーー!!!」
「桜木!いいぞーー!!!」
(「リバウンドだけではないところを証明してください。」
トーゼン!誰にも負けねぇ!)
「花道!ナイッシュだ!」
「おうよ!リョーちん!!ハクタスもこの天才によくついてきた!!」
「キャプテンのパスと桜木先輩のポジション取りが絶妙だったんですよ。」
誉め合う3人。
テンションが高まる。
「もう1本いくぜ!!」
「おう!!」
「はい!!」
流川と柳が、顔を見合わせる。
(乗り遅れた・・・。)
「押せ押せ!ショーホク!押せ押せ!ショーホク!」
「ディ!ディ!ディフェンス!ディ!ディ!ディフェンス!」
「押せ押せ!ショーホク!押せ押せ!ショーホク!」
「ディ!ディ!ディフェンス!ディ!ディ!ディフェンス!」
会場がヒートアップ寸前。
隣で行われている洛安、北陽高校の試合をも飲み込む勢いである。
酒田 38
湘北 33
『キュ!』
『キュッ!!』
『キュッキュ!!』
再び、湘北の激しいオールコートマンツー。
「厳しいディフェンス!!」
「酒田、運べるかーー!!」
だが。
先程のお返しとばかりに、松山が冷静に確実にボールを運んだ。
(ちっ。ホントに動じねぇやつだぜ。)
観客席の山王、PG加藤とSG烏山の会話。
「宮城一人では、松山を止められないダス。」
「確かにな。夏輝でさえ、てこずったんだからな。」
「だが、今回は完璧に止めるダス。」
「もう一度勝負してぇってことか。こりゃ、酒田を応援しなきゃならないな。」
『キュッ!』
『ダム!』
『キュッキュ!』
湘北コート内で、両チームの激しい攻防のなか。
『ビィ!』
松山のノールックジャンプパスが炸裂する。
(!!)
受け取ったのは、随所に素晴らしいプレーを見せているSF田中。
現時点で、酒田がリードを奪っていたのは、田中が流川を抑えている功績が大きい。
その影の功労者、ディフェンスの男田中が、流川を抜きにかかる。
(ジュニアのようだが、そんなん関係ねーど!)
(来るならきやがれ!)
『ダム!』
重心の引く姿勢からのレッグスルー。
鋭く方向転換。
(抜いたど!)
そのまま、ジャンプシュートを放った。
『シュ!』
『ピシィ。』
「なんだど!」
(かすった!)
流川の懸命のシュートチェック。
(打たれちまったが。
「オフェンスでもディフェンスでもチームを勝利に導いてこそ、本当のエース。」)
「リバン!」
珍しく流川が叫んだ。
「おっ!気合十分じゃねぇかよ!!」
と笑う沢北。
その瞬間、ゴール下でポジションを取り合う4人の大男たち。
『ガシ!』
『ガシ!』
「ハクタス!ゴール下は死守だ!!」
「はい!!」
『ダン!!』
そして、この男が力強くコートを蹴る。
『キュ!』
「!!」
「あっ、柳君が走った!!」
「速すぎるスタートだわ!!!」
(「仲間を信頼することです。」
俺は、前に走るのみ!!)
柳は、仲間がリバウンドを獲るという前提の元、酒田ゴールへ走った。
(柳のやつ。)
それを確認する宮城。
ゴール下。
体が体を抑え、心を心が抑える。
『ガコン!』
軌道のずれた田中のシュートは、リングにあたり、跳ね返る。
「桜木君!!」
晴子が叫ぶ。
ボールは、桜木とパウエルのほうへ、跳んだ。
「上出来!!」
「グッド!!」
「だりゃーーー!!!」
「トォーー!!!」
両腕でつかみに行くパウエルに対して、桜木は右手1本で、奪いにいく。
「あれでは!!」
「獲られる!!」
と湘北ベンチ。
「ぬおぉぉー!!」
空中で一伸びする桜木。
右手が伸びる。
そして。
『バン!』
「リョーちん!!」
桜木の選択は、ティップアウト。
「いいぞ!」
『バス。』
受け取った宮城は、回転をしながら、サイドスローで前方へ放り投げる。
「受け取れ!!」
誰よりも速くスタートを切っていた柳に追いつけるものなど、誰一人いない。
「もう走ってやがる!!!」
「湘北の速攻だーー!!!」
『バチィン!!』
宮城からの絶妙なパスを受け取った柳。
背後を確認することなく、綺麗なレイアップシュートを打った。
『パサ。』
「決まったーー!!!」
「湘北が息を吹き返したーー!!!」
「3点差!!」
「捉えたぞ!!!」
柳は、湘北コートの4人を見つめ、小さく微笑んだ。
『クル。』
そして、5人が一斉に湘北ベンチの安西を見る。
(先生・・・。)
(オヤジ・・・。)
安西は、立ち上がり、小さく拳を握って、微笑んだ。
(その調子ですよ。)
安西の言葉が、湘北に復活の息吹をもたらしたのであった。
酒田 38
湘北 35
続く。
読んでて久々にテンションが上がってきましたよ
もうすぐ300話だし、湘北の活躍期待しますよ。
まぁ気付かれないほど早く動いた柳を誉めるのがいいかな?
最上級のお褒めの言葉ありがとうございます。
最近、上手く書けないので、嬉しいです。
ほささん
ありがとうございます。
300話・・・、こんなに続くと思ってもいませんでした。頑張るぞ!
しの(2番)さん
仰るとおりです。
青森も少し油断していた部分もあったかもしれませんね。