うまがスラムダンクの続き

うまがスラムダンクを勝手にアレンジ。
スラムダンクの続きを書かせていただいています。

#71 【進路】

2009-03-13 | #03 県決勝 選抜編
最上段の柱に寄りかかり一人の男が立っている。

足を交差し、ズボンのポケットに手を突っ込み、Vネックのセーターを着た男がつぶやく。


「誰にも負けるなっていっただろう。どあほう。」


『トコトコトコ・・・』


会場を後にする。




「最後の23秒は、最後まで手を抜くことなく、攻める姿勢を貫き通した海南と、
同じく最後までゴールを奪おうとした陵南とのドラマチックな攻防だったわね。」

「はい・・・。両チームの想いがわかる、心を動かす23秒でした。
もう、涙ばかり、溢れてきます。」ぐすん。

「これで海南が17年連続優勝か。この鉄壁の牙城がなかなか崩せないわね・・・。」

(でも、来年はもしかすると・・・。)




海南コートのゴール裏、中段よりやや上の観客席に、4名の学生らしき男たちが座っている。

「決ーーめた!俺は、陵南に行く!仙道さんは、やっぱりすげーよ。
俺は、あの人と一緒にやりたい。」

「そうか。大蔵は、やっぱり陵南に決定か・・・。
センターの大蔵が入れば、陵南は今より数段強くなるな。」

「田岡っていうあの監督は、あまり好きじゃないけど、積極的に俺のところに来てくれているしな。
俺は、陵南に決めた!」


「空斗と海斗は、どうすんだ?やっぱり、同じ高校に進学するのか?」

4人の中で、一番小柄な男が尋ねた。



「俺は海南!」



「俺は陵南!」



2人の男が同時に答えた。



「おっ、珍しいな。双子の意見が分かれるとは。」

にやけている大蔵。


「俺は、海南で神奈川県王者を守り続けたい。それに、神さんの3Pに惹かれた。」

「俺も大蔵と一緒だ。仙道さんと一緒にプレーしたいと思った。」

「いいのか、海斗?」

「空斗こそ、いいのか?」

「あぁ、お前とはいつか決着をつけなければと思っていた。ちょうどいいな。」

「そうだな。違う高校に通えど、俺らは双子だ。
縁が切れるわけじゃないし、憎しみあうわけじゃないからな。よきライバルってことで。」

空斗と海斗が笑った。


「春風は、決まっているのか?」

「あ~、俺か・・・。まだ、時間があるからな。これから決めるよ。
青葉中の3人は、翔陽らしいな。」

「青葉中は頭がいいからな。俺らじゃ、翔陽は無理だ。」

大蔵が笑って答えた。


「武石中の白田、東厚木中の神谷と天沼あたりは、どうなってるんだろうな?」

「わかんねぇな。だが、誰かしらと同じ高校でプレーすることになりそうだな。」

「あぁ、楽しみだ。新しい仲間も、お前たちと戦うことも。」

春風の問いに、海斗が答えた。



4人には、笑顔が溢れている。




「仙道をもってしても、牧を倒せなかったか。
結局、牧は3年間無敗となり、俺たち神奈川県勢が牧を倒すのは、大学となったわけだ。」

花形がいう。

「牧は、やっぱり深沢なのか?」

と三井。

「いくつかの推薦の話は来ているが、まだ迷っているっていっていた。
牧が、どの大学に行くかで、今の大学バスケ界の構図が大きく変わる。
大学のバスケ関係者も興味津々ってわけだ。」

「牧が深沢や名稜に行くようなことがあれば、俺はまた勝てないかもしれないな。」

藤真のあとに、笑いながら花形が答えた。


「俺はまた勝てないって・・・、なに!?
今年、国体にしか出場していない花形にも推薦が来ているのか?」

驚く三井。

「あぁ、一応な。毎年、拓緑大学にうちからの1名の枠があってな。
来年は、俺が行かせてもらうことになった。」

「拓緑大学だと?関東二部の大学じゃねぇかよ!まじかよ!?
じゃあ、藤真はどーしたんだよ!?」


「俺は、慶徳義塾に決まったよ。」



「慶徳義塾!!!!」



赤木、三井が驚愕の表情で声を揃えて答える。



「学力の推薦のほうで受かったんだ。
ただ、慶徳義塾のバスケ部は、毎年ほぼ全員が推薦組だから、一般の入部テストに合格しないとバスケ部には入部できない。
毎年1名かそこいらのかなり狭き門と聞いているが、この入部テストで落ちるようなら、
日本一や打倒牧なんて、夢のような話だったってことさ。
もし、合格できなければ、俺はそこまでの男だったと諦めて、楽しいキャンパスライフを過ごすよ。」

と笑いながらいう藤真を、赤木は無言で見つめている。



「・・・。」

(藤真は慶徳義塾か。)



「慶徳義塾か・・・、関東一部じゃねぇかよ。入部できれば、間違いなく牧と対戦することになるだろう。
すげーな・・・。俺は、関東三部の大学だし・・・。いつ、牧やお前らと対戦できるかわからねぇよ。」

三井がテンションを下げながらいう。


「そういうな。大学でバスケができるだけましだろ。」

と魚住。


「・・・、それもそうだな。俺が大学にいけるなんてな。
半年前までバスケができるなんてこと思ってもいなかったことだからな・・・。
これも安西先生と田岡のおかげだ・・・。
ところで、赤木は深沢ダメだったんだろ?どこに決まったんだ?」

「俺は、受験だから、今しばらくかかる。大学は、今検討中だ。」

「お前も、選抜出てればよかったんだよ。俺みたいに、他の推薦もらえたかもしれないのに。」

にやけながら、三井がいう。


「ふん!!」




その後、赤木は実力で進学し、ある大学のバスケ部に入部する。




そして、導かれるようにあの男と全国制覇を目指すのだが、それはまた別の話・・・。




(あいつと同じ大学に通うかもしれん・・・。)

赤木は、うすうす感じている。




そのころ・・・。



コート上では、表彰式が行われていた。




優勝 海南大附属高校 

準優勝 陵南高校

第3位 翔陽高校

第4位 湘北高校 



MVP  牧 紳一


得点王  流川 楓


得点ランキング
1 流川 楓(湘北) 33.2
2 神宗一郎(海南) 29.3
3 福田吉兆(陵南) 27.5


アシストランキング
1 藤真健司(翔陽) 15.5
2 仙道 彰(陵南) 11.2
3 牧 紳一(海南) 10.3


リバウンドランキング
1 花形 透(翔陽) 13.1
2 高砂一馬(海南) 11.0
3 秋田智成(武里) 9.6


ベスト5
G 牧 紳一(海南)
G 神宗一郎(海南)
F 仙道 彰(陵南)
F 流川 楓(湘北)
C 花形 透(翔陽)




選抜県予選は、17年連続で海南大附属高校が優勝し、神奈川県代表として、全国高校バスケ選抜優勝大会に出場する。



牧は、日本一の高校生PGを証明するために。



選手は、IHのリベンジをするために。



海南は、神奈川県勢の想いを叶えるために。




一方、敗れた陵南はというと・・・。


仙道は、相変わらず練習に遅刻していた。



(ふぁーー、眠い・・・。なんで、彦一、呼びにこなかったんだろ??)



そのころ・・・。



「魚住に代わるセンターだ!センターを獲得する!湘北には獲られんぞ!!」

「武石中の白田君、要チェックやー!常盤中の黒川君、要チェックやー!」

田岡と彦一は、センターを獲得すべく、主要中学を巡っていた。








03 県決勝 選抜編 終了
04 海南 番外編 に続く。