「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

老婆は一日にして成らず Long Good-bye 2021・08・21

2021-08-21 05:06:07 | Weblog

  今日の「お気に入り」は、上野千鶴子さんのご著書

おひとりさまの 老後 」から。

「 長生きすればするほど、みんな最後はひとりになる。

 結婚したひとも、結婚しなかったひとも、最後はひとりになる。

 女のひとは、そう覚悟しておいたほうがよい。
 
  少子高齢社会 のいま、女性にとって ” 家族する ” 期間 は短縮している。配偶者がい

 ても、平均寿命からすればほとんどの場合、夫のほうが先に逝く。子どもは、せいぜ

 いひとりかふたり、彼らもいつかは家を出ていく。

 だとすれば、女性の生き方も ” 家族する ” のにふさわしい ノウハウ を 身につける ば

 かりでなく、” ひとりで暮らす ” ための ノウハウ を準備しておいてもよいのではない

 か。だれでもいずれはひとりになるなら、早めにスタートするか、遅めにスタートす

 るかだけのちがいだ。」

 
( 中 略 )


「 ・・・ 親を介護しながら『 おかあさん、わたしがいてよかったわね 』と言うウラ

 で、『 わたしのときにはどうなるんだろう? 』と不安にかられた経験をもっている 。

 おもえばシングル女性は、これまでどれほど『 歳をとったらどうするの? 』という

 脅かしにさらされてきたことだろう。そのうえ、世の中には老後の不安をあおるメッセ

 ージがあふれている。子どもがいてさえ頼りになるかどうかわからないのに、まして

 『 子どもに頼る老後 』がはなからないあなたはどうするの? と 。

  結婚しないと不幸せ、といわれてきた。

  でも結婚しなくてもそれなりにハッピーだった 。離婚したら人生は終わり、かと思

 ったが、してみたらぜんぜんOKだった。親にならなければ半人前、といわれたが 、

 成熟へ至る道は、親になることばかりではないことも知った。シングルであることは 、

 ちっとも『 カワイソー! 』でも『 不幸 』でもない 。

  長生きすればするほど、シングルが増えてくる。超高齢社会で長生きしたひとは

 『 みーんなシングル 』の時代 、がすぐそこまで来ている。ひとりで暮らす老後を

 怖がるかわりに、ひとりが基本、の暮らしに向きあおう 。不安がなくなれば 、なあー

 んだシングルの老後って 、こんなに楽しめるのだから……そう思って 、わたし(たち)

 自身のためにこの『 おひとりさまの老後 』を書いた 。

 ( 中 略 )

 「 不安とは、おそれの対象がなにか、よくわからないときに起きる感情だ 。ひとつひ

 とつ不安の原因をとりのぞいていけば 、あれもこれも 、自分で解決できることがらだ

 とわかる 。もしできなければ、最後の女の武器がある。『 お願い、助けて 』と言え

 ばよい。

  なに、男はどうすればいいか、ですって?

  そんなこと、知ったこっちゃない。

  せいぜい女に愛されるよう、かわいげのある男になることね。 」

       ( 上野千鶴子著「 おひとりさまの老後 」㈱法研 刊 所収 )


  「 中 略 」の 部分 をお知りになりたい向き は、私同様、ご本を購入して読んでくださいませ。

  買ってご損はないと思います、多分 。

   老婆 は 一日にして ならず 。




  Rome was not built in a day.

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