Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

民営化の不幸

2005-10-01 20:20:46 | 農村環境
 道路公団が今日から民営化された。普段通っていても公団だろうがそうでなかろうが、それほど変わらないだろうという印象を持っていたが、現在のETC割引と同様のことが、普通の現金払いでも実現してくるようだから、民営化によって通行料がさがればそれにこしたことはない。そう思うと、なぜ今まで通行料が下がらなかったのか、という疑問も出る。しかしである。確かに通行料は下がっても、サービス面では向上するとはかぎらない。気づいていない人たちが多いだろうが、この民営化を機会に、閉められるパーキングエリアの飲食店がけっこうある。「あれ、ここやってないの」と後で気がつく人がけっこういると思う。そうしたところは、赤字経営か、赤字が明らかに想定できるところを、あらかじめ、公団運営中に閉めることを宣言している(ホームページなんかでも公表されていた)。それはそれで仕方がないことかもしれないが、問題は、そうしたところは、だいたい通行量が少ないとか、利用者がそれほどいないといった、山間部のパーキングエリアだったりする。そうした場所にも働き場を持っていた人が、リストラという形で、職場を失っていく。民営化により利用者がメリットがあるいっぽう、やはり山間部、僻地といったところには金が落ちなくなる。まさしく、金のある人にはありがたいが、金のないところではありがたくない話となる。
 道路公団だけではないだろう。郵政も民営化されることになるのだろうが、今は、地方切捨てにはならないといっているものの、さてどうだろう。基本的に、郵便局は都市部ではそれほど必要ないかもしれない。いっぽう地方、とくに山間部では必要とされる。そう考えると、民営化されたことで、郵便局の必要性はどうなるだろう。経営が成り立たない場所では必要とされ、そうではない都市部で必要とされなかったら、運営はたちまち厳しくなる。民主党ではないが、民営化よりも廃止という方針のほうが、最終的には正しいのかもしれない。とりあえず民営化、という形のほうが受けはいいが、その背景は果てしなく暗いような気もする。そうならないことを望みたいが、果たしてどうだろう。
 民営化前に道路公団の談合問題が大きく話題を呼んだが、やはり都会と地方は違う。たとえば、新党日本の田中代表は、自ら入札改革を長野県で行ったら、入札率は大きく下がったといった。たしかに、かつては100パーセントもおかしくなかったが、最近は80パーセントとか、もっと低いことも普通である。測量設計などの委託業務にいたっては、60パーセントとかもっと低い。だいたいが、予定の価格とは適正な単価と、適正な歩掛で算出されたものであって、それが6割とか5割なんていう金額で落札されていたら、では適正価格ってなんなんだということになる。明らかに8割になりました、なんて偉そうなことを言う前に、では適正価格を8割に設定しましたので入札します、というシステムになぜできないのだ。基本的に割引することができますよ、という口述じたいが、まさしく話術ではないだろうか。
 とくに地方の場合、つまるところ、価格が下がれば地域に落ちる金は減少する。減少したから返せばよいということになる。ということは、地域に入る金は減少し、景気後退となっていく。まさしく長野県の姿である。昔にくらべると、公共性の高い職場が減った。その昔は法務局ももっとあった。学校はもちろん、農協なんかもそうである。今は合併によって役場がなくなる。役場がなくなれば、そこで仕事をもらっていた事業者は、根こそぎ近在から撤退する。過疎の促進、そして、格差の促進となる。何度も言うが、得をする人はますます得をし、損をする人はますます表現の自由を失ってしまう。果たして、民営化とは何か。
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1 コメント

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難しい話ですよね。 (BLs)
2005-10-02 01:26:54
ほんとに!

たとえば、本当の真実の自然保護を考えたら人間の生活自体を否定してしまうんです。

たとえば、道路公団の談合。細かく分割して入札しているーってやつ。あれは沢山の業者を生かす為にやっていたんでしょう。まとめて入札の方が効率が良いに決まってるもの。

じゃー本当に効率がいいのが良いことなの?って感じ。政治や社会政策は、落としどころはいろいろあるんだけど、じゃーどこがいいのかって?難しい話だよね。それと同じじゃないの?僕の友人が料理屋やってるんだけど、最近公務員や公共の宴会が少なくなって売り上げ減でまいってるんだって!

時代の流れかな~

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