生産技術科の一日

設計・製図・加工・制御・・・メカニカルエンジニア達の記録。現在名・・・メカニカルエンジニア科

価値生産方式(22)現場での価値生産

2006年01月23日 | 2005
前回は標準時間の説明をしました。

ST(エステー)と呼ばれる標準時間に関しては、作業標準の尺度としても重要な
指標となりますが、きちんとした時間管理が出来ていない職場では、標準時間の資料も整備されていないために、大まかな出来高しか把握していない場合が多く見受けられます。

実際の工場で、この標準時間を管理を徹底して実施した事があります。
対象となった工場は、変速機の組立て工場です、作業者50名ぐらいで、組み立てを行っているのですが、派遣作業者の組み立て時間にバラつきが大きく、工程計画を立てる段階で投入工数が読めないために、10人程度の作業者の標準品の組み立て時間を測定して、3ヶ月程度で問題点を出して、改善しました。

各自にバインダーを持たせて、実施した製品の組み立て時間の実績と記入するようにして、無駄な時間と項目を設定して、実際の組み立て時間と無駄時間を比較しました。

道具の用意が出来ていなかったり、作業の手直のために、おくれが発生する場合がありましたが、一番大きな無駄時間としては、作業の中で組み立て方や組み立て順位がわからず、そのまま時間がたってしまう問題が大きくクローズアップされました。

問題に対応するために、各作業者には個々の製品組み立て時間を個人のレベルで設定してもらい、目標管理を行いました、自分自身で課題や整理すべき問題点を挙げて、アドバイスを行いながら、作業を改善しました。

もちろん、作業手順が途中でわからなくなり、作業がストップする問題に関しては
黄色の旗を職場の決められた場所に設置して、ヘルプの表示をするように変えました。

ヘルプが出ると班長がそこに行くようにして、作業内容の修正をして、指示事項を
バインダーのファイルに記載するようにしました。

同じ内容が何回もでて、そのたびに、作業のやり方を変えたり、指示書や手順書を
修正して、自分たちもわかりやすくして、難しい作業は、治工具(作業をやりやすくするために、保持したり仮止めしたりする器具)を作って、実際に現場で使いながら効果がでるものは、積極的に現場に導入しました。

現場では最初抵抗がありましたが、毎週問題点を話し合う時間を30分設けて、作業改善をすることで、現場で相談相手もいなかった状態から、作業に関心を持つ人も出てきました。

中には、仕事が向いてないという事で、班長に相談があり、やめていった人もいましたが、最終的には目標達成が出来た事がその後の仕事への自信につながり、前後の工程と工数を見ながら仕事をする能力が身につきました。

そうした改善を行い、10人中8人までは標準時間内で作業を終了できるようになりました。