トロルお爺の”Satoyaman”林住記

生物生産緑地にて里山栗栄太が記す尻まくりワールド戯作帳

子曰、学而不思則罔、思而不学則殆

2023-03-31 | 感じるままの回り道
 三月末ともなればフイールドの裸木も萌芽して全域が霞のかかったようなパステル調になってきた。一陽来復の後、日差しが戻ってきた地表は低草類のお花畑になっているのだが、これを「雑草が生えて疎ましい」と感じる者が少なからずいる。常日頃「農地でも宅地でも無い里山の環境保全するための作業」と言っても通じない。この雰囲気は周囲の保全団体会員にも通じる傾向なのだ。
 一方、街に視点を向ければ「三月二十八日」が小生の暦の上ではツバメの戻って来る頃なのだけれど近年は四月に入る事が多く育雛期でも巣の数は激減した。当然ながら雀の営巣部も稀になって環境が人為的に大きく変化している事を伺わせる。

 さて「歌は世につれ世は歌につれ」と言われるし「十人十色」とも言うけれど、こと「里山保全」活動の中にも矜持は求められると思っている小生なのだが、そんな事はあくまでマイナーであって、もっと正確に言うならばこの小さな活動範囲でも自らの意思で参加しているにもかかわらず保全活動者としての自覚や、それよりも何よりも保全活動の在り方さえ意識に上らない感じがしてならないのである。
 草が伸びれば「雑草茫茫で・・・」と丸坊主にされるし「綺麗でしょう!」と刈り払った跡には洋種の園芸花卉を植え込む感覚はとても理解できない「保全にたいしては何も頭にないのだ」と思わざるを得ない。

 桜満開の頃だからまだ「刈り払い」での破壊欲求は小さいだろうけれど里山保全のベースが宅地や農地と全く同じ視点で野草を見られては長年粛々と植生を創出して来た立場からすると暴虐極まりなく「生物的廃墟」を作り出す手先にしか見えてこない。しかしこの「植生が保全の基本」になると言う視点はとても理解できないのだと言うのがこの頃の小生の認識である。「綺麗にしましょう」がかけ言葉で裾群落や林床、トレイル脇を丸坊主にしていく作業など日常ともいえるグループも存在する。

 内包する問題と言うか課題は「学ばない」に尽きる。まあ、公僕と言えども「これ僕の…」で済む浮世なのだから推して知るべしではあるが・・・。フイールドの木々は萌芽で染まり始めてきたが、それより先に地表は緑になり春のお花畑が出来ている。
 写真の場所はやや日当たりが弱いからタンポポは少なめでカキドオシが満開だけれど、日当たりの良い場所にはタンポポやオオイヌノフグリ、タチツボスミレ、セントウソウなど低草種がお花畑を為している。

 こう言う環境を「素晴らしい」とも感じず刈り払い、あげくは外来園芸種を植え込む感覚はとても理解できないのだ。町内会や学校の「花いっぱい運動」ならまだしもなあ・・・。
 歌に「愚痴は言うまいこぼすまい。これが男の生きる道」とあるけれど既に齢お爺ともなれば男とも言えず単なる弱い高齢者だから愚痴ってもいいだろう。表題の如く「学ばず思わずでは無茶苦茶だし思わず学ばずでは環境破壊者」でまあ、兵器を持たせれば暴国のように振り回したくなるのが小人の小人たる所以であろうか。今期も唖然茫然愕然となる刈り払いの季節が巡ってくる。てなもんや三度笠。

        

心配の種・・・

2023-03-30 | 小父のお隣さん
 水域にカワセミが採餌に来るようになって随分と経過した。砂層の崖に巣穴を穿つ事もあるだろうと楽しみにしていたのだが無理だった。ところがあろうことか自宅をお化け屋敷にしないために二日ほど自宅周りの草抜きでフイールドへは立ち寄らなかった間にカワセミが巣穴を穿っていたのだ。

 この日、いつも通りの水見回りで上流部から下ろうと位置についたところで二羽のカワセミが飛び出したのだ。二匹目は嘴に何か咥えていたが魚とは見えなかった。飛び立ったところは陰になっていたのだが見張り台になるような場所も無く、すぐに「ビビビッ!」と妄想降臨である。確認のために見える位置まで移動したらそこには神々しいまでに新鮮な横穴があったのである。
 こういう横穴は明石原人や湊川人すら使わないカワセミ様御用達なのであった。飛び立った二羽は近くの林接池に一旦は止まったのだけれど小生の移動で飛び去ってしまった。

 ここで新たな心配の種が出来た。巣穴の位置は水面から1mも無いところにあるし丸太ダムの上からではハクビシンやアライグマなら手が届く。それは「無い」と仮定しても小生の水見回りのルート脇だし巣穴の上の平坦部は採土場でもある。ルートの一部をパスし採土作業を行わなければ脅かす存在にはならないけれどどちらにしても物理的環境が大きなリスクになるだろう。
 せっかく「愛の巣」を穿ったとはいえ二昔も前のカルガモの産卵を思い起こさせる。草むらの中に巣を作り9個の産卵を確認したのだが翌日には草むらになぎ倒されたルートが3本ほど出来ていて卵は消えていたのである。そうならない事を切に願うけれど場所が場所だけにどうしようもない。


林接池 堤の補修

2023-03-30 | 水辺環境の保全
 隣接するヤナギの林側二辺の嵩上げを終えた。対角の二辺は護岸木脇を威之志士様の跋扈蹂躙によりグズグズで補修せねばならないと思いつつ一旦は「水域の泥浚いへ…」と思いは向かったものの一夜明ければ「やっぱり完治させておこう…」と相成って我が愛はまたまた土盛りとなったのである。まあ、自由気ままにお手盛り出来る範囲と言えば土盛りか泥盛りが相場で、たまにはご飯に「しょうゆの実」てんこ盛りが出来るくらいの老後なのであった。で、最後のとどめは土饅頭が世界相場なのである。

 さて結局この日も一輪車で土運びして流路との間の堤に土を盛り胴突きで固めた。量的には少なかったものの「山の出湯」行きを返上しての作業なので勢いはなし。で、この日はここまで。

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 翌日は流路の中に散乱した瓦の破片を回収し上の棚法面下の犬走りならぬ猪走りでズブズブにされた一辺に投じて掘り返され難くしたのだ。流路の瓦の破片は耕作放棄した後の棚田に投棄された産廃で出水の侵食で少しづつ現れて来る。流路に堆積されても水生生物の環境には適さないし、ここはズブズブの畔に入れ込んだ方が納まりがつくのだ。
 四本鍬で搔き集めてみようとしたがうまく掻けない。ガーデンレーキを使ったら弾力が作用して掻き集めが楽だったけれど頭だけ出しているような破片には非力で、ここはスコップの出番だった。まあ、とにもかくにも流路の流れは平らかになり見た目も良くなったのだが出水時には流速が早まる。一定の間隔を置いて杭打ちし流速と侵食を弱める設えも必要になる。水辺の維持・管理は終わる事が無く水商売・自転車操業は続くのであった。
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 流路は平らかになり流れが広がった分、緩やかになるけれど出水時の緩和策が必要なまま残っている。

奥の院で除竹作業

2023-03-29 | 今日は真面目に
 水域の補修や耐久性向上の作業は終わる事が無いので掛かり切りだと他の作業が出来ない。土木は足腰肩肘に悪い作業ばかりでどこかで一休みさせないと身が持たん。
 そんな事で奥の院の除竹にしたのだがチェーンソーを持っての中腰作業は支えがないだけに腰に来る。とりあえずしゃがんだ不格好な姿勢で竹を地際から切断して行ったのだが、これはこれで立ち上がりが辛い。そんなわけで作業は遅々として進まず爺として極まったのである。

 とりあえずは除竹する範囲の切断を終えた。残りの作業は手鋸で枝を払い稈を分割し陥没孔に集積投入すれば片が付く。この近辺の地層はあちこちに深い陥没孔を露わにし易く、この作業現場でも地下水路に添って4カ所ほどの陥没孔が軽自動車さえ呑み込みそうな大きさで口を開けている。
 この日作業した脇の陥没孔は新たに崩落していて底まで3m近い深さがある。今まで除伐した材を投入して来たけれど新たに投入して少しでも底上げしておかないと危険だ。作業以外で入域するのは探鳥者くらいの者だけれどリスクは少ない方が良い。集積場所として使いつつ周囲に間伐材で杭打ちして目立たせる必要があるなあ、と思いつつ帰路についたのだった。

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もしかして粘菌かい⁉

2023-03-28 | 今日は真面目に
 粘菌のユニークさと言うか生命体の不思議とでもいうべきか、これを知ったのは確か南方熊楠の文献だったように記憶しているが既に忘却の彼方に行った。フイールドにも普通にある生命体のはずで、いつぞやのTV番組で「粘菌少年」を紹介していたが彼は都会在住で環境的には努力が必要だ。一方、小生は姥捨て山在住なので恵まれているはずであるがとんと興味がわかない。しかし年金の増殖や衰退は人生が掛かっているけど手の打ちようがないのだった。
 まあ、「介護認定してもらわなくては・・・」と思いつつ渋茶を飲めば忘れている手太楽ではここも手の打ちようがない。脳味噌の中の事だし…。

 この日、菜種梅雨の晴れ間に水見回りに行った。作業日和に見えるけれど対象は濡れているし足元はスリップ注意のあり様だから歩いて眺めて終わりである。
 ところがネザサの藪に見知らぬ色がたくさん見える。「なんだ⁉」と思いつつ触れてみたら軟らかい。付き方を見るとキノコには見えてこない。参考になるかどうか不明だったが「キノコ図鑑」を開いてみたら「メダケ赤衣病菌」が一番近い。だとすると粘菌ではないし大量に有っても年金でも無いから喜べない。フイールドには「赤衣病」、小生は「垢衣描」とまあ、袖すり合うも他生の縁で種に交われば垢くなる。
 ここで悶着起こしたいのは「赤くないのに何で赤衣⁉」なのだ。時折、復活する木久扇師匠回路で判断したら「黄色紋で無いのにモンキアゲハ」と言うが如し、イチゴサッテモウシタモウシタ。

         

*いずこなり冷たき廊下春の夜

2023-03-28 | 感じるままの回り道
      

                菜種梅雨一夜点描山野なり

                目借時耳はそばたつ池の声

                おぼろ陽や黄砂花粉のブースター

                昨週は居たジョウビタキ桜咲く

                一夜明け山笑いたり雨の後

                鳥去りて来る鳥はまだ山萌える

                天に星地にイヌフグリ我は塵

              

雀のお宿とイソヒヨホテル

2023-03-27 | 何よりの楽しみ
 蜂満神社から始まり蜂満大社、蜂満総社とやれば蜂好かん小六から見れば「差別だ!」と苦情が出そうなのだがそのガス抜きに「雀のお宿とイソヒヨホテル」も作り八方美人を演出する。と言えば利さとく気が利く風に見えるけれど実態は雨の日の手慰みなのである。
 とは言え伏線はあって近所のお宅の雨戸袋の上端面に昨年スズメガむき出しの巣を作り営巣していたのだ。雛の時は見ていたが無事に巣立ったかどうかまでは確認できず住宅難を感じていたのである。一方、イソヒヨドリは毎年、拙宅の玄関雨樋の下側に窮屈な営巣をし雛は数匹巣立ちさせていたのだが、ここも手狭だしワンルームを与えたいと思ってはいたのである。

 今期、既に営巣期に入りイソヒヨドリは高く澄んださえずりを見せているし旧宅に出入りはし始めたので「遅きに失した」感は否定できない、というより全く持って遅すぎるのであるけれど巣箱を二種類作って取り付けてみた。
 場所が場所なのだが日常的には使用しないからフラワーボックス下に固定してみた。入ってくれるとすれば雀の方が繁殖行動が遅い感じもするので期待もするし、いかにせん雨戸袋の上端面にむき出しよりはマシだろうと思っている。その上、出入り口も円形ではなく隙間風に作ったから習性からすれば配慮したつもりだ。イソヒヨドリの巣箱もモデルが無かったけれど奥長の形にしたから、これも好みだろうとまあ、爺我自賛、イソヒトリヨガリの巣箱なのである。どういうデザインであろうとも芸術は爆発なのである。

 しかしながら数年前にプラ鉢でワンコインで製作できる巣箱は不評で入居は無かったのだ。一言、申し添えるが小生は不動産屋を目指してはいない!。蛇足なのだがこの日届いた本の中で「プラスチックの外装は熱くなり過ぎて木製がベストです」とあった。そこまでは思いが及ばす「安いから・・・」ではいけないのであった。とは言え杉板で巣箱を作ると材料費だけでも千円を超えるから「ちょっとなあ…」になってしまったのがいけない。貧乏人の銭失い・・・。まあ、年金は下がるだけだし物価は上がるだけだし貧乏人には失う銭こさえ無いのが浮世であろう。

 スズメのお宿の出入り口はスリット風で奥長       イソヒヨドリ用も奥長だが出入り口は円形

カビルンルンでも美味しいですぅ!…

2023-03-26 | 小父のお隣さん
 「もったいない」と「可哀想」の二者択一をせねばならなくなって「結局は丹兵衛ドン」と相成ったのである。正確には「「可哀想」より「可愛相」に近いのだけれど大金をつぎ込み長ーい時間と手間をかけた自家製蘇チーズが粗チーズに成果てたとしても活かす道を考えたのだ。

 それは池のタナゴに与えてみる事で毒性があるなら死滅するし、食物と思えなければ食べないだろうと野生の感性にも頼ってみたのだった。それが最初の一投、投入した段階ではサッと集まったけれどすぐに散ってしまった。「これは駄目か⁉」と思いつつ眺めていたら一匹二匹と接近し突っつき出して、そのうち群って食べ始めた。一番食欲旺盛なところを見せたのは産卵もせず肥大化してきただけのドジョウたちでホントによく食べるのだった。

 夕方の給餌時間に梅干し大の団子で投入してきたがこの頃は躊躇なく集まってきて食べてくれるし健康状態も問題がなさそうである。ここでビビビッと来たのは「二枚貝の給餌にも使えるのではないか⁉」と言う事だった。貝の給餌のためになら一旦は水に溶かさなくてはならないけれど指にべたつく様な性状だから溶かすのは容易だ。
 昨年の産卵期間内の給餌には豆乳・ヨーグルト・ビール酵母・糀・酪酸菌・ミドリムシなどの混合粉末飼料、端的には生菌製剤、豆乳、ヨーグルトが主材で自作して与えていたから今回の「自製白カビチーズもどき」も「いける!」のではないかと妄想している。とは言え人工餌給餌はタナゴの産卵期4カ月ほどで残暑が来る前に避暑池に移し自然下養生させるのが生存させるパターンになった。

 前述のようにもともとの素材は蘇であり豆乳で、それを発酵させたものであるからして「使えるだろう!」の日和見感覚・正常性バイアスは強いのだ。
 今回の写真は氷の田んぼに小生と共に水没し儚い一生を終えた後継のタフカメラのデビューである。フラッシュをたかなかったけれど雨模様の暗いこの日の水中撮影としてはまあまあの出来だろう。タナゴに産卵管はまだ見えていないから越冬のためマイアミに避寒させているドブ貝やマツカサ貝の帰宅は急がなくても良さそうだ。ゴールデンウイークの頃合いで良かろう。今期は昨期に成功の兆しを確認できた親・仔魚同居池内繁殖、まあ、自然下状態に環境を近づけての試みが待っている。

        

水位が回復ひと安心!

2023-03-25 | 今日は真面目に
 今日も未明からシトシト雨で 夕方まで続く予報だから自宅軟禁状態だがデスクワークができたので暇つぶしはある。それよりなによりしっかり降雨があるから先日定植したマテバシイの発根活着が進んでくれるはずで、根鉢が小さかったから梅雨明けまでには活着して欲しいのである。

 さてこの冬期、降雨量が少なく三日月池は一部の底が露出するまでになって昨年に引き続きクロスジギンヤンマのヤゴに影響するかと心配していたけれど雨水頼みの池では手の打ちようがない。それでもなんとかお湿り程度が何回かあり水位の上昇は無理だったけれどようやく菜種梅雨の頃までこぎつけたのだ。

 3月になり18日に30mmの降雨、水位はやや回復したように見えた。23日には60mmの降雨があって、これだけ降雨があるとさすがにオーバーフローするだけ湛水する。満水位になったのは半年ぶりくらいかもしれない。池の中には昨秋に抜根したカサスゲが回復して侵出していてクロスジギンヤンマの羽化台に丁度良い密度になりそうな気配がある。

 池への集水機能を高めるため斜面に導水路を設えようと思っても杉の根が露わで水路を築けないままに来た。代わりの策として堤を厚く高くしオーバーフローの位置を高くする案も有るけれど用土の調達が難点だ。周囲の樹木が吸い上げる水の量を抑える除伐も役立つと思いつつ、モリアオガエルの産卵枝が減るし…老いたベルテル、いいえ老身男の悩みは尽きないのだった。

 18日の降雨の後。オーバーフロー部には到達は無理

23日満水位となった  

ニホンアカガエルの遅い産卵

2023-03-24 | 小父のお隣さん
 ニホンアカガエルの産卵は二月の中旬で終了とばかり思っていたのに22日、エノキ林の水槽に二卵塊発見した。久しぶりの降雨があったけれどそれで誘発されるほどとは思えなかった。卵塊二つはバッドと沢庵容器の中に産卵してあったけれどいかにせん、成長させるには手狭過ぎよう。そこでバケツで卵塊を掬いとり隣接池まで運び放流した。大きな池では無いけれど周囲はヤナギ林だし林床も草深い。尾根筋へも最短距離であるから上陸する環境としても良好だろうとの判断なのだ。

 沢庵容器に産卵          トンボ用のバッドに産卵

 一方、手狭な容器に産卵した結果は「どうなる⁉」との関心もあるけれど、ここは生存率優先するしかないだろう。池の取水管が前夜60mmほどの降雨で落ち葉が詰まっていたので清掃したのだが近くにニホンアカガエルの成体が居た。ニホンアカガエルは性格が鷹揚なのかダイレクトの反応は少ない。見かければ安心して撮影が出来る。

            

奥の院の林床は気持ちが良い

2023-03-24 | 感じるままの回り道
 「生物生産緑地」の考え方が生態系や生物多様性に寄与するであろうと「環境パッチワーク」としての1枚が奥の院の大径樹の林床だ。ここは奥まった場所でもあり水域の手当てに追われている日常では荒れ放題に近い様なものなのだが最低限の植生管理で林床の状態は他の草地より自然状態が保たれて言わばワイルドなのである。
 左端には定植したばかりのマテバシイ2本、その奥には切り倒したものの腰痛で放置状態の竹が寝ている。



 春爛漫になろうかというこの時期の林床に目立つのがウラシマソウやタチツボスミレ、在来種タンポポやセントウソウかどうかはっきりしない白花の低草が主である。タチツボスミレは年々その数を増やしているけれどウラシマソウも負けてはおらず群落で「どうだ!」と言わんばかりだ。

   タチツボスミレとは別にえんじ色の花で葉の形はひ針形みたいな種もあるが単なる「スミレ」でいいのかどうか、スミレも種類が多そうで小生の手には負えない。見て楽しむだけである。

 この一枚はナイスとは言えないけれど芽生えている植物を知れば奥の院の性質の一端が判りそうだと入れてみた。草本・木本など萌芽密度の参考で片手の数くらい種は有ると思うけれど小生には無理無理の特定だ。

**穀倉の大地、献花スノードロップ

2023-03-23 | 温故痴新
           幼子ら降る砲弾下地下室の長き長きを堪えし今日も
            娘子らが袖布留山の瑞垣の久しき時ゆ思ひき我は          巻四・五〇一  柿本人麻呂

           この世にし平和にあらば来む世には麦にも土にも我はなり南無
            この世にし楽しくあらば来む世には虫にも鳥にも我はなりなむ    巻三・三四八  大伴旅人

           意の中は惨き者ぞと知る時しいよいよますます守り固めよ
            世の中は空しきものと知る時しいよいよますます悲しかりけり    巻五・七九三  大伴旅人

           沫雪の弾着痕に降り敷けば首都の家族を思ほゆるなり
            沫雪のほどろほどろに降り敷けば奈良の都し思ほゆるかも     巻八・一六三九  大伴旅人

           黒髪が白くなりたる一夜でも国土守るぞ撃ちてし止まん
            黒髪に白髪交じり老ゆるまでかかる恋にはいまだあはなくに    巻四・五六三   大伴坂上郎

           ゲヘナとな東部の街は最弱者屠る侵軍今盛りなり
            あをによし奈良の都は咲く花のにほふがごとく今盛りなり     巻三・三二八   小野老

           避難所を撃ち崩されて這い出せば瓦礫の下に命ありける
            田子の浦ゆうち出でて見れば真白にそ不尽の高嶺に雪は降りける  巻三・三一八   山部赤人

           東の野に砲煙の立つ見えて返り見すれば街傾きぬ
            東の野に炎の立つ見えてかへり見すれば月傾きぬ         巻一・四八   柿本人麻呂

           七重八重弾は炸裂反撃の砲ひとつだに増えずかなしき
            七重八重花はさけども山吹のみのひとつだになきぞあやしき    雑五・一一五四  兼明親王




水、温めば泥浚い

2023-03-22 | 水辺環境の保全
 花だよりも聞かれる頃となったけれど園芸品種では気に染まずヤマザクラはこれからであるから小生の「春気分」はもう少し先になる。とは言え在来種のタンポポは開花が始ったしオオイヌノフグリやホトケノザなども日向に花の絨毯を見せてくれるようになって偏屈しようとも目じりが下がるのだ。

 温くなればなったで本格的な水商売もやらなければならず一番の大仕事は溜池の泥浚いなのだけれどニホンアカガエルのオタマジャクシが泳ぐようになってアズマヒキガエルが産卵するまでの短い期間だけがこの時期の泥浚い可能なのである。産卵されてしまうと泥浚いでの水の移動に伴い浚渫部に卵塊が入ったり千切れたりする可能性もあって、この時期を逃すとヒキガエルの卵が孵化してからでないとやり難い。まあ、半月以上は先送りになってしまう。

 泥浚い自体は喫緊の作業でも無いけれど池の水深を保つためには産卵期や仔魚期を除いての作業が適切だろうと思って手を出していく。溜池自体、かかわるようになったのは二昔も前なので水底も40cmほど上昇した。当然水深は浅くなるから維持するためにオーバーフロー部の嵩上げを施す。通常なら池を干し浚渫すれば良いのだが0.3馬力だけではどうにもならず、まあ、出来る範囲で泥浚い…てなもんや三度笠。

 この日は東側と南側の二辺の前を浚渫した。長柄のジョレンを使うので水際からほぼ3m近くまで浚えるけれど中央部はどうしても残ってしまう。胴長を装着して池の中央部の泥をタライで運ぶ事も思案の中ではあるけれど泥深い池の移動は厄介なのは明白で未だに手が出ない。
 それはともかく今回の二辺前は泥浚い出来たから冬季に途中で止めたままになっている西側の泥浚いを終わらせれば一段落する。北側の一辺は泥を上げる場所が無いので今のところは処置無しである。


         


浸食を相方に取水路の復旧、土砂掻き9年嘆きのセレナーデ・・・

2023-03-21 | 小人閑居して憮然
 昨秋、台風15号の大暴走で悲惨な思いをした水源維持作業だったがその後半年余りは奇跡的に送水が滞る事は無かった。しかし雨の季節を前に導水路や取水桝の整備確認は必要なので隣り沢の奥まで足を延ばしてただ溜息をつく事態と分かったのであった。

 2014/10
 思い起こせば2014年10月の台風18号は東日本太平洋側に上陸し、その雨量と暴風で各地に甚大な被害をもたらしたが我がフイールドも山腹崩壊が随所に発生し水源地も破壊されたのだった。上掲、現場写真では左側に導水路と取水升があり画面下側に取水堰があったのだが押し出された土砂の圧力で崩壊した。
 その結果、流路が右端に移動して取水できなくなったのだ。県の管轄地で部農会に水利権があったのだが「県は復旧の意思なし」で部農会も「それでは手を打てない」と言う事から「水が欲しけりゃ自分で・・・」という事になってしまった。とは言えそれではようやく水域を頼りに生物種が増加しているフイールドを元の木阿弥にする事になる。現在からほぼ十年前の事でまだまだ高齢者とは言えない頃だったから復旧に取り組めたのだ。

 下の写真は途中経過でほぼ段差工が終了しつつある頃の1枚であるが取水路は安定してきたとは言え増水すれば取水升や送水管内は砂泥で詰まり排砂復旧作業は年中行事となったのである。しかしながらこの水商売・自転車操業・緊急排砂を続けているからこそフイールドの水辺を頼りにしている生物種は増加傾向にあるのだった。
 写真では左側に流路が見えるが当時はこの部分にも崩落土があって、写真中央の取水堰の断片まで堆積しており右側に流路があったのだった。それを度々の段差工を経て上部崩壊部からの侵食流で堆積部と浸食部を使い分けしながら土砂を流し去る部分と貯める河床を区別させ安定させたのである。
   左岸が谷止工の跡、中央上部、取水堰上部・下部二つの小山は押し出された土砂の残り

 最初からの話に戻すと、とりあえず取水升に水が来るように崩壊土砂の上に水路を作って水を呼んだ。さしあたりはそれで済むけれど取水升の上部と下部に押し出された土砂の始末も必要だった。特に崩壊してしまった取水堰のため取水升より河床が下がってしまうのは必至で、そうなると未来永劫、取水は不可能となってしまう。
 だからと言って1馬力、実質0.3馬力以下では出来る事は知れている。崩壊し沢に押し出した土砂の始末など出来る訳が無いのだ。それでも河床安定化は必須なので思案した結果「沢の流れに助けてもらう」案を作ったのだった。丸太を用い、いわゆる「沢止め工」もどきで取水升の等高線まで河床を上げた上、導水路復旧と河床安定とを行う算段だった。

 そのため取水堰崩壊侵食で下がった流路左岸に丸太で段差工を施し、埋まればまたその上に段差工を施し、しつつ取水升との水平線では河床が低くならないように制御してきた。それから6年、写真上部の崩壊で押し出された土砂の流出も進み、流路も右岸取水升側に安定してきた。崩壊後に流路となってしまった左岸側も、ようやく段差工の働きでゆるい傾斜で安定しているように見える。
 取水升の下側に押し出された土砂も出水の度に元の取水堰オーバーフロー部から流出させた水流で浸食がすすみ、ようやく崩壊前の右岸流路が見えてきた。残りは現状の取水路河床を下げればほぼ完成と言えるのだけれど、堆積厚さ40㎝以上の砂礫を取り除く作業が必要で躊躇があったのである。

 そんな中、2022年9月の台風15号の降水量がすさまじくようやく安定をみた水源地の様相を下の写真の如く河床を更に埋没させ一変させてしまい更なる労力をつぎ込むことになった。それから6カ月、吐水口からの水量もほぼ安定していて、この間は雨不足気味だったから水源地には足を向けなかったのだが雨が降る季節になる前に取水升の排砂と取水路の整備確認のために行って見たのだ。
 取水升には砂泥が溜まっているのは予定内だったが山腹の更なる崩れと出水で河床が不安定に変わってしまった。このまま放置すればまた流路は取水升から離れた土砂の堆積しただけの自然堤防を崩して河床浸食を起すであろう。
 見てしまったのが運の尽き。何よりも優先して上流部で流路の移動を避ける仕切りを設えなければならなくなった。今までは伐採樹を横にし玉石を積み砂利を被せての設えだったのだが、この半年間の間の出水で跡形もなく流出し平河床となってしまった。腰の痛みが完治しないが少しづつでも流路の移動を防ぐ手立てをせねばならなくなった。
 作業は自主的であると言えるけれど現実は奴隷労働に近く、有無を言わせない圧力がある。「セレナーデ」とは「思いを寄せる女性の窓辺で夕べに歌い奏する音楽」と知っているけれど、おいらのように昼日中、汗水たらしてフウフウ奏し麗しき存在に想いを夢想して何が悪い!。ンーッ…腰が悪い・・・。

       

ヒキガエル産卵した

2023-03-20 | 小父のお隣さん
 17日、日中から合戦していたアズマヒキガエルなのだが18日はようやくまとまった40mmほどの降雨のお蔭で自宅軟禁、19日に産卵を確認できた。推定でしかないけれど18日には産卵していたのではないかと思っている。
 17日、昼日中から5グループ程度でヒキガエルボールを見せていたのだがやはり何匹かは捕食されていた。池の周囲に食痕だけ残したのが3カ所、食草園の中に腹部を破られた個体が1匹数えられる。

 ヒキガエルもニホンアカガエルも産卵する水域が狭まってきており理由は分からない。出現当時は上の池や二つ池、棚田部と泥水池など広範囲に産卵箇所があったにも関わらず今回はトンボ池1カ所だけなのだ。ものの本では「産まれた池に戻り産卵する」と記載された解説もあるのだが、そうなら産卵水域は移動しないことになるだろう。特にニホンアカガエルは木漏れ日の当たる浅い水溜りなどを「好むようだ」と経験値から判断して産卵の続いていた二つ池はそれなりの整備を続けていたのに今回はアカガエルもヒキガエルも全く産卵無しなのだった。

    

 ニホンアカガエルの卵塊は数を増やしているもののアズマヒキガエルの卵塊はさほど増えた感じがしていない。威之志士様の跋扈蹂躙に遭いやすい環境に住まう生物でもあるから捕食されたのかと思うけれど、これもあくまで推測の域を出ないのであった。
 今期の産卵、昨日は降雨が続いていたからなのかどうか「ヒキ」の名称がつけられた通り、草地に3カ所ほど歩きながら産卵した事を示す卵嚢が続いた。まだ生きているだろうから池に投げ入れるために摘まみ取ればいいところで切れてしまう。「ここは根気・辛抱」と言い聞かせしゃがんで摘まんでいたのだが膝には負担だった。