戒厳令下の国タイのチェンマイに来ています
日本に居て想像するするように街の至る所に銃を持った兵隊がいる姿とは全く違っています。
一箇所博物館の前で暇そうにたむろして居る軍人を見ました。
通常の生活を送っている何時ものチェンマイです。
現地の新聞でも治安関係 デモの様子もありません。
でも戒厳令の時には観光客の姿が消えたそうです。
やっとこさ夏休みで少し客が戻って来たそうです。
シーズンオフで何処に行ってもガラガラです。
することもなく、別荘に滞在しているつもりで平凡な日常生活をしています。
でも外国に居るだけで色々な人に接触して刺激はあります。
タイに来るにあたって真面目にタイに付いて知りたくなりました。
議会制民主主義の国でなぜこう易々と軍事クーデターが受け入れられるのか?
軍はなぜ国王にクデターの許しをえるのか?
国王はなぜそんなに力を持っているのか?
なぜ司法は首相を辞めさせる程の政治をコントロールする力を持っているのか?
欧米流にいえば民主主義の選挙で選ばれた人間が政権をとるべきではないのか?
様々な疑問が湧いて来ます。
いつも気楽に観光客として来てゴルフとマッサージを楽しんで帰るだけでなく
真剣にタイの事情を調べました。
タイに来てみると戒厳令夜間外出禁止令も6月13日に解除されています。
深夜まで遊んで酒を飲んで帰ってこれます。
その理由がサッカーのワールドカップ放映が時差の関係で深夜になるからでした。
国民の支持を受けるように軍事政権も気を使っています。
タイ国民も三か月たった軍事政権の案件の迅速な処理や治安維持社会の安定に満足しています。
強権政治も既得権の役得の廃止等透明性に優れた点もあります。
軍事政権は暫定的な政権を作り暫定憲法を一年かけて作ります。(今の憲法は既に廃止されています。)
暫定憲法の下で総選挙を行い普通の政権に移行します。選挙も2015 10月以降になります。
国民は混乱よりも今の軍事政権での政治の安定と経済の安定を願っています。
ここでなぜ軍事クーデターとなったかを簡単に振り返ってみます。
余りにもタイの事を知らなかったと反省しています。
☆タイを理解するには 王制 仏教 現代化という三つのキーワードがあります。
タイに付いて語る時王制に付いて理解しなくてはいけません。
タイの国王は日本の国民の象徴としての天皇と違って権力と経済力を持っています。
国民の父、という立場にいます。
国王は元首でありタイ社会のあるべき方向性を示す指導者なのです
それは国王という地位に与えられたものでなく現在の国王の人格パーソナリティーと
今まで実施した来た事により獲得されたものなのです。
国王は元首として1970から90年代半ばまで数多くの王室プロジェクトで国を開発指導しました。
1997年の通貨危機以降は国王は元首として軍 内閣 憲法裁判所まで人事権を持って支配しています。
又国王はは莫大な資産を保有しています。
王室財産管理局はタイの優良会社に出資し3000億円もの資産を運用しています。
タイ民族とは仏教に帰依して国王を崇敬する人々と考えるのが普通です。
日本の天皇とは全く違った存在なのです。
☆タイの経済について見ていきましょう!
タイは低開発国の国でなく工業国です。
既にタイは年間国民所得が3000ドルを超える中進国です。
タイはもはや農業国でなく工業国です。
輸出金額のトップは米でなくコンピュータ部品です。
また自動車 鉄鋼 石油化学に代表される重化学工業を軸に発展の道を歩んでいます。
通貨危機もバブルも経験しタイは消費社会や情報化社会の到来しています。
釣鐘型の人口構成 少子高齢化の進展、精神的ストレスの強化、高等教育の大衆化等日本が直面している問題と変わりません。
日本が現在直面している問題を全て持っています。
チェンマイにもモタリゼーションが進み郊外には近代的なアメリカにある様な巨大なスーパーマーケットが出来ています。
我々がウロチョロするのは本当の古都である観光地です。
微笑みの国でなく微笑みを失った国となっているのです。
☆タイの現在の 対立と混乱
タイの現在の問題は、赤シャツタクシン派の現代化政策の失敗と彼の失脚、黄シャツ王制派の復活との争いです。
背景に大きな格差の是正という問題が潜んでいます。
タクシンの現代化は中進国のタイをグローバル化の時代に適合した社会に改造していくことでした。
タクシンは国を企業になぞらえて 政治運営に企業経営のやり方をそっくりそのまま導入しました。
大統領の様に自分に権力を集中させて予算制度の抜本的改革して、政治体制、公務員制度社会保障なぞ
国の改造と現代化を急速に推し進めました。
当初彼の草の根経済振興策と国家競争戦略で成果をあげたました。
しかしながらタクシンの国王に対抗すような権力集中、異常な蓄財。ネポティズム(身内ひいき)があったため
今までの伝統的なタイの守旧勢力は不満をつのらせ、軍は改革に不安を抱いてクーデターを起こしました。
タクシンはタイ国の現代化改革を急ぎ過ぎたのです。
10年早かったタクシンの、改革が10年後の
今の国王が亡くなった後であったら違った形になったかもしれない。
☆タイの国民は政治の安定を望んでいます。
1973年を起点にとると2014までの41年間にクデター5回 憲法制定6回総選挙の実施は15回政権の交代は28回も経験している。
政治の不安定は日常的な事なのです。
その中で王制が一本背骨としてタイ社会を支えて来ました。
軍部によるクーデターという反民主主義的行為をを国民の大多数が受け入れているのは
赤シャツ(王政派) 黄シャツ(タクシン派)と出口のない対立と政治混乱に多くの人々がうんざりしているからに違いありません。
特定のイデオロギーに固執せず、自分の利害を重視してフレキシブルに対応するそれがタイ社会の特質といえます。
民衆の望むのは社会の安定と経済の発展です。
☆アングロサクソン型の民主主義が良いとは限らないと思います。
アングロサクソン的民主主義よりもその国の歴史と現状に合った政権が良いのです。
イラク国民は今の状況より独裁体制の方が良かったというと思うに違いありません。
中国も今の共産党支配を当分続けないと社会の安定がない。
タイも 王制の下での議会制民主主義を模索中です。
国王 政党 軍、官僚の利害調整が難しく どのような国の姿がよいか決まっていません。
王制 仏教 民主主義の調和した社会が目標です。
☆後継者問題が迫っています。
現在の国王、元首であるプーミポン国王は現在87歳です。
いま後継者問題が大きくなって来ています。
国王はその地位でなく個人的な人柄と今まで実施した施策によって信頼されています。
国王亡きあとその信頼を担うのは現在は王室一族では荷が重いと思います。
更なる混乱の可能性もあります。
☆タイは経済格差の大きい社会です。
税制も資産家に優しく出来ています。
不動産税もない。 株式の譲渡益に掛かるキャピタル税もない。個人所得税も最高で37%です。
その結果 タイの金持ちの資産はけた違いに大きくなっています。
タイのトップ50人の平均資産は2250億円となっています。
日本のソフトバンク 600億 ユニクロ580億 楽天320億と比較しても貧富の格差が大きい社会です。
今ままでのばら撒き政策 洪水対策等の為にタイの財政も黒字から赤字に転落しています。
その結果家計の借金の増加 中小企業の借入の困難 国営金融機関の不良債権の増加 国の公的債務の増加等に直面しています。不満を解消する為に格差の是正と適切な税制改正をしなければなりません。
☆タイは周辺国に囲まれてています。島国ではありません。
タイには外国人労働者が230万もいます。建築現場 漁業関連は彼らなくしてはたちいきません。
ミュンマー ラオスと国境を接する黄金の三角地帯に行って来ましたが、河を挟んで簡単に沢山の人々がタイに流れ込んできます。チェンマイでも北方から流れ込んで来る貧しい山岳地方の人々を良く目にします。
日本の様な島国と違って周りの国々からの影響が多く受けまうす。
いずれにしろタイ独自の政治的安定と社会の発展を目指す体制を作り上げなければなりません。
かなりの混乱と時間がかかると予想されます。
ゴルフとマッサージばかりしている訳ではなくタイの事を調べて見ました。
一般的な知識があるとチェンマイ社会の見方も違って来ます。
雨季のチェンマイからのレポートでした。
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