最近動画サイトで昔のCM及びそのCMを使用したMAD(狂つてんですね、あれが)動画といふものを結構観る。
いやあ、懐かしい、といふか、恐ろしい時代になりました。公共広告機構とかJAROとか、皆もはや忘れてゐたのではないかといふやうな動画までアップされてゐる。ポストモダン的状況でございます。まあ、何がどうポストなのかと問はれると困りますが。
「あよね」と俗に呼ばれてゐる公共広告機構のCMがある。♪あーよーねーえ、ねええよーおねーえ・・・といふアフリカかどこかの歌がバックに流れ、アフリカかどこかの子供が何やら物を食べてゐるのか、ゐないのか、といつたやうなCMだ。覚えてゐるかたも多いだらう。あのCMだ。
ネットの世界では4大恐怖CMの筆頭として扱はれてゐるやうだが、僕にはこれよりも、サティの音楽がバックで流れてゐる油を被る人魚のCMの方が怖かつた。
公共広告機構のCMといふのはスポット枠の埋まらなかつたところに埋め合はせとして入れられるものである。従つて、早朝や深夜に頻繁に流れてゐた。(最近はテレビ局の自社関係CMの方がよく流れる気がするが。まあ、公共広告機構もACジャパンに改称しましたしね。これは規模縮小といふことだらうか?広告業界は大変だ。)そんなこともあつてか、AC=怖い、隙間的、都市伝説的・・・といふイメージが付きまとふ。変な想像力をかきたててくれるんですな。
しかし、ネットの世界はきちんとした歴史認識といふか時代認識がなつてゐない。例へば、JARO(因みにJAROは日本広告審査機構。公共広告機構とは別の法人だ)のCMで鍵盤ハーモニカの伴奏(調べた所によるとピアニカ前田といふ人の演奏らしい)に合はせて♪変だな、どうして、おかしいぞー、と女の人(調べた所によると小林由美恵といふ人らしい)が歌ふCMがあつた。これは1991年頃のものだが、1980年代初期と勘違ひしてゐる人がゐたりする。それから、90年代後期から00年代初頭の公共広告を「懐かしい」と平気で言つてゐる人がゐたりする。全然懐かしくない。懐かしいと思ふスパンが短くなつてゐるんぢやないのか?
まあ、ネットの世界のメインユーザーが若年齢化してゐるといふのもあるんだらうが、しかし、感覚が狂ふ。
自分は小学生の時から同時代認識といふものに敏感な性質だつたもので、といふか特に公共広告機構等の怪しげなものに対して敏感だつたので、一般的にはどうでもいいやうな認識の間違ひが気になつてしまふ。でも、やつぱり、もう少し正確に認識すべきだし、間違ひは正して行くべきだと思ふ。
あと、公共広告機構のCMがフィルム映像ぢやなくなつてきたのが1992年辺り(サイの被りもののCMが出てくる辺りだ)なのだが、さういつた所に敏感な人がもつとゐてもいいはずなのに、あんまり検索してもどういふ事情があつてなのか出てこない。技術的な転換点がこの時期にあつたんぢやないかと思ふんだけれどなあ・・・。