クラプトンはやはり何だか書きにくい。
そもそも、僕自身が真剣に聴いたといへるのは、ブルースブレーカーズ、クリーム、デレク&ザ・ドミノスまで、といふのもある。
それにしても、ブルースブレーカーズに在籍してゐた時のクラプトンは確か若干20歳。正直、未だにこの境地にすら辿りつけない、といふか一つの峰である。
レスポールとマーシャルアンプのコンビネーションの代表的サウンドといはれてゐるが、実際の所どうだつたのか、よく分からない。しかし、艶やかでゐてやさぐれてゐる、あの独特な温かみのあるギターサウンドはいづれにせよ一つの理想である。
ブリティッシュブルースのギタープレイヤーはフレディ・キングの曲を必ずといつていい程カバーしてゐるが、特にクラプトンの場合はフレディの楽曲をダシにして、いかにオリジナリティあふれる演奏ができるかといふことに勝負を賭けてゐた感じだ。「ハイダウェイ」はやつぱり瑞々しいギターフレイズの宝庫だなあと未だに感心してしまふ。
「それだけに」といふ接続の仕方でいいと思ふのだが、この時期のクラプトンの演奏を未熟であるとか、下手であるとか、ブルース的でないとかいふ人も、どうやら結構ゐるやうだ。ある意味、若さに任せた勢ひある演奏なので、荒削りの部分も、まああるのだらう。ただ、僕にはそんな荒削りな感じすらも分からない、といふか、もはや既に完成された演奏をしてゐるといふ印象の方が強い。だつて、実際にコピーをしてみると良く分かるのだが、その後のロックギターの基本ともいふべき節回しがこの時点でほとんどすべて定義づけられたといふやうな演奏なのだから。前回の話とも通じるが、基本でありながら、滑らかで、流麗で、かういふ風に弾けば「カッコいい」といふお手本が、エリック・クラプトン在籍時のブルースブレーカーズの演奏には充満してゐる。これは理屈の問題ですらない次元だ。
つまり、ブルースブレーカーズのギターのコピーができれば、おおよその古典的ロックのギターが弾けるといふ寸法になる。
それに追ひ打ちをかけるのがクリーム時代の演奏だ。しかし、といふ接続詞でいいのか疑問だが、クリームの編成はトリオである。小編成のバンドはいかに隙間なく音の壁を作るのかといふことが非常に重要な点である。
ああ、眠くなつてきた・・・。また続きは次回としようかなあ・・・。