司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

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「ひとりでも遺産分割」に関する法務省民事局民事第二課長通知

2016-03-05 09:38:29 | 不動産登記法その他
 既報のとおり,「遺産分割の協議後に他の相続人が死亡して当該協議の証明者が一人となった場合の相続による所有権の移転の登記の可否について(通知)」〔平成28年3月2日付法務省民二第154号〕が発出されている。

「所有権の登記名義人Aが死亡し,Aの法定相続人がB及びCのみである場合において,Aの遺産の分割の協議がされないままBが死亡し,Bの法定相続人がCのみであるときは,CはAの遺産の分割をする余地はないことから,CがA及びBの死後にAの遺産である不動産の共有持分を直接全て相続し,取得したことを内容とするCが作成した書面は,登記原因証明情報としての適格性を欠く(東京高裁平成26年9月30日判決及び東京地裁平成26年3月13日判決)」

「上記の場合において,BとCの間でCが単独でAの遺産を取得する旨のAの遺産の分割の協議が行われた後にBが死亡したときは,遺産の分割の協議は要式行為ではないことから,Bの生前にBとCの間で遺産分割協議書が作成されていなくとも当該協議は有効であり,また,Cは当該協議の内容を証明することができる唯一の相続人であるから,当該協議の内容を明記してCがBの死後に作成した遺産分割協議証明書は,登記原因証明情報としての適格性を有し,これがCの印鑑証明書とともに提供されたときは,相続による所有権の移転の登記の申請に係る登記をすることができる」

 前段が否定されたことは,誠に遺憾であるが,後段が改めて肯定されたことは,理に適うものであり,善き哉である。

 特別受益証明書については,言及はないが,改めて肯定されたようである。

cf. 平成26年12月18日付け「ひとりでも遺産分割」の取扱い等(大阪法務局管内)
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