大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

中国の恒豊銀行、政府から資本注入?

2019年08月11日 | 日記

 フィナンシャルタイムズは2019年8月10日(土)、国有の中央匯金投資(ちゅうおうかくきんとうし:Central Huijin Investment)が恒丰银行(恒豊銀行:Hengfang Bank)に資本注入する話し合いをおこなっていると報じた。

 恒豊銀行の資産は2010億ドル(21兆円:1ドル=105円)。

 以前のブログで述べたように、中国では20近い銀行がいまだに2018年の決算を発表できていないが、その中でもっとも規模が大きいのが恒豊銀行。

 資本注入の規模などはあきらかになっていない。

 今年6月に包商銀行を公的管理にうつしたとき、中国政府は同銀行が抱えていた多くの債務を返済しないというハードな再建策をとったため銀行間取引などに大きな混乱が生じた(その後、債務返済に政策を変更)。

 このため、その後の銀行再建は国有銀行などによる資本注入といったおだやかなものになってきている。

  たとえば先月には、4大銀行のひとつ中国工商銀行が、おなじく2018年決算を発表できていない錦州銀行(Jinzhou Bank)に30億元(4500億円:1元=15円)の資本注入をおこない、同銀行の株式の10.82%を保有する筆頭株主になっている。

 それでも、日本のバブル崩壊後にみられたような銀行による貸し渋りが生じているようで、民間企業の一部では資金不足が深刻化しているとの報道もある。

 中国は6%という日本の高度成長期なみの成長を続けており、日本のバブル崩壊のようになる可能性は小さいと思うが(高い成長とインフレ率により、時間がたてば債務価値が減少していくため)、つみあがった不良債権をどのようなペースで解消していくのかこれからも注意してみていきたい。 

 

2019/12/21追記

 ウォールストリートジャーナルによれば、恒豊銀行は1株1元(1元=15.5円)で1000億株(1.55兆円)の新株を発行。その60%を中央匯金投資(ちゅうおうかくきんとうし:Central Huijin Investment)が、地方政府の傘下にあるShandong financial asset management Co.が360億株(36%)を購入する予定とされている。

 

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