大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

米でハイイールド債への資金再流入はじまる

2020年04月07日 | 経済

 

 リスク資産への資金再流入がはじまっている。

 フィナンシャルタイムズによれば、2020年4月1日(水)までの1週間にハイイールド債に投資するETFに70億ドル(7.7千億円:1ドル=110円)の資金が流入した。

 それまでは5週間連続で資金が流出していた。

 この背景にあるのが、Fed(米連銀)をはじめとした各国中央銀行による歴史的に例をみない資金供給

 たとえば昨年10月以降のFedの金融緩和政策は以下のようになっている。

 

(1)2019年10月11日

 短期資金市場を安定させるため短期国債を月600億ドル(6.6兆円)買い入れることを発表。

 

(2)2020年3月15日

 政策金利を1%引き下げ

 今後数か月で米国債を5000億ドル(55兆円)購入

 今後数か月でMBS(住宅ローン担保証券)も2000億ドル(22兆円)購入

 投資適格の企業が発行したコマーシャルペーパー(無担保の短期手形)の購入をはじめる(1年間)

 

(3)2020年3月23日

  国債、MBSの買い入れ額を「必要とされる額」つまり無制限に引き上げ

  MBS(住宅ローン担保証券)にくわえ商用不動産ローン担保証券もあらたに購入

 

  ①投資適格の社債(ETFを発行額の10%まで購入(2020年9月30日まで)

  ②クレジットカードや自動車のローンなどを証券化したものを購入する

  ③投資適格の企業に4年間のつなぎ融資をおこなう

   この①~③の3制度に3000億ドル(33兆円)を投入する

 

 大規模レポ(国債を担保とした短期融資)は継続

 

 Fedのこうした政策発表により金融市場の安定はもどった。

 しかし、いったんはじめるとやめるのが難しいのが金融緩和。

 新型コロナウイルスが欧米で徐々に収束にむかうなか、Fedは市場の安定をたもちながらどのように市場のオーバーシュート(過熱)をさけていくのかが次の大きな課題になりそう。

 

2020年5月2日追記

 2020年4月、AMC、フォード、ネットフリックス、Yumなどアメリカ企業は合計320億ドル(3.5兆円)のハイイールド債を発行した。単月としては過去3年で最高額。



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